成績UPに効く復習のやり方とは?おすすめ復習法と学年別や教科別ポイントを解説!
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成績UPのためには、復習が欠かせません。とはいえ、どのような方法が効果的か分からず、悩んでいる子どもは多いものです。そこで、科学的根拠により効果が認められた復習法をご紹介。効果的なやり方で、知識をモノにし、成績UPに繋げていきましょう。
復習する意味とは?得られる効果は?
学んだことは、復習しないと身につけることはできません。これは、科学的にも実証されています。
たとえば、心理学の教科書に必ず出てくる「エビングハウスの忘却曲線」では、人は数日後には学習したことの8割近くを忘れてしまうことが示されています。何か新しいことを学んだ際の記憶の定着を調べると、次のような結果となったそうです。
・20分後:42%を忘れる
・1時間後:56%を忘れる
・1日後:74%を忘れる
・1週間後:77%を忘れる
ここから基本的に人は、ただ学んだだけではほとんどのことを身につけることができないということが分かるでしょう。そのため、復習が重要となるのです。復習の意味と効果は、次の3つが挙げられます。
理解が曖昧な部分を洗い出す
復習をすることで、理解が曖昧だったり、苦手な部分がどこかが明らかになります。これは、自分の理解を客観的に把握することに繋がり、「わかったつもり」を防ぐことができます。
知識を定着させる
学んだ知識は「知った」というだけでは、実際に使えるようにはなりません。復習により、記憶に定着させることで、実践で使えるものとなります。
できなかったことを克服し、積み上げを可能にする
復習することで、解けなかった問題が解けるようになったり、理解できなかった内容を理解することができるようになったりします。これにより、さらなる知識や新しい学習を積み上げていくことができるようになります。「うまくいった」と実感を持てた復習の後には、次に学ぶことの予習も軽く行うのもよいでしょう。
おすすめの復習法
効果的な復習をするには、自己流ではなく、効果が実証されたやり方を参考にするのがおすすめです。授業の復習、テストの復習それぞれご紹介します。
授業の復習は科学的に実証された3つの方法で取り組む
日々の授業や教科書の復習については、実験心理学で科学的に実証されている3つの方法を使い分けていきましょう。
分散学習で復習効果を最大化
復習には、適切な時期があります。実験心理学の研究によると、学んだことをその日のうちに復習するよりも、3日ほど後に復習したほうが効果が高いことが実証されています。
これにより「分散学習」と呼ばれる適切な間隔を空けて復習することの重要性が指摘されています。分散学習が効果的な理由としては、先にご紹介した忘却曲線との関係が挙げられ、忘れかけたタイミングで復習すると、記憶への定着がしやすいと指摘されています。
復習というと「その日のうちに」と思いがちですが、3日ほど前の学習内容を復習するという意識を持つとよいでしょう。ただし、次に説明するように「分散学習」が向かないものもあるので注意してください。
理解が不十分な内容は、分散学習の前に「集中学習」を
授業で学習した内容の理解が不十分なケースは、分散学習による復習ではなく「集中学習」による復習が効果的です。
集中学習とは、学んだ後にあまり時間を空けずに理解できるまで集中して復習に取り組むこと。分散学習は、理解の穴を効果的に洗い出していく効果がありましたが、これはある程度の理解ができているという前提があってこそ成り立つものです。そもそも授業内容の理解ができていないと自覚しているのであれば、分散学習の効果は望めません。
そのため、まずは集中学習で理解の土台を整えるようにすることが先決。教科書を読み直したり、ノートを見直したりしたうえで、簡単なドリルに取り組むのが良いでしょう。集中学習により、ある程度理解できるようになったら、その後は分散学習にシフトしていくと効果的です。
苦手科目の復習は「単純接触効果」を利用する
復習の中でも、特に気が重い苦手科目。そんな苦手科目の復習は、「単純接触効果」と呼ばれる心の働きを利用するのがおすすめです。
具体的には、短時間でもいいので易しい問題に日々繰り返し取り組むこと。繰り返し触れることで、親しみや好意、印象が高まるという「単純接触効果」が発揮され、苦手科目への拒否感が薄れていくはずです。
ただし、その際、難しい問題や歯が立たない問題に取り組んでしまうと効果は望めません。難易度の高くないものに繰り返し取り組むという点に注意しましょう。
テストの復習の3つのルール
テストの復習に関しては、返却されたその日のうちに取り組むというのが大前提。難しい場合でも、なるべく返却から日を置かずに復習するようにしましょう。
復習の方法としては、間違えた原因別に3つの方法で行うのが効果的です。
ケアレスミスの復習
単位を書き忘れたり、小数点を打ち忘れたりするケアレスミスは「本当はわかってたからOK!」と軽く考えてしまいがち。でも、同じようなミスを繰り返さないようにするには、ケアレスミスをしてしまった原因まで掘り下げて復習することが大切です。
「時間がなくて焦ってしまった」のであれば、時間配分に課題があることが明らかになりますし、「自分の書いた計算式の字が汚くて読み間違えた」のであれば、読み間違えにくい書き方をマスターする必要性が明らかになります。
わからなかった問題の復習
わからなかった問題は、解答解説を参考に解き方を理解した上で、教科書や問題集で類題にあたるようにしましょう。そのうえで、わからなかった問題に再度チャレンジ。自分の手で解き直しましょう。
よくあるNG例としては、解答や解説を読んだだけでわかったつもりになってしまうこと。「理解した」と「実際できる」は別物であるため、実際に自分の手で解き直すことが大切です。
暗記事項を覚えていなかった問題の復習
漢字や地図記号などの暗記事項の暗記漏れは、しっかりと覚え直すことが大切です。ノートに繰り返し書いたりして知識を定着させたうえで、別のドリルにも取り組んで定着をチェックするようにしましょう。
テストの復習については、科目ごとに解き直しノートを作成することもおすすめです。自分の苦手を蓄積していくことになるため、後から見直すことで効率的な苦手克服に繋げていけるでしょう。
復習する際におさえておきたいポイント
前段でご紹介したおすすめの復習法の効果をさらに高めるためには、復習の取り組み方や、単元ごとに注意しておくべきポイントがあります。しっかりと意識していくようにしましょう。
復習時に注意すべきポイント
知識事項であっても丸暗記に走らない
漢字や県庁所在地といった暗記事項は、つい機械的に丸暗記しようとしてしまうものです。でも、丸暗記は短期記憶のため、定着しづらくなってしまいます。そうならないためには、意味づけや関連づけを意識しながら記憶していくのがポイントです。
たとえば、漢字を覚えることを例に見ていきましょう。「休」という字であれば、「にんべんと木で人が木の下で休んでいる様子からできた」と成り立ちを知ったり、「休けい」「休日」「休み時間」「休業」と辞書で調べた熟語を合わせて確認することで「やすむこと」という意味にかかわることが実感できるはずです。こうして、覚えておくための手がかりやひっかかりを作っておけば、丸暗記よりもはるかに記憶に定着させやすくなります。
覚える復習よりも、テスト形式で思い出すアウトプット型復習を
復習は、教科書や参考書を読むだけより、テストをしたほうが効果が高いと実験心理学で実証されています。これは「テスト効果」と呼ばれており、全体の学習時間を減らす一方で得点を高めることが期待できるとされています。
その理由としては、テストに取り組むことで「思い出す努力」をするためであると考えられています。「覚えること」と「思い出すこと」は、脳の働きとしては別物。そのため、ただ覚えるだけではなく、思い出すトレーニングが必要だと言われています。
読むだけの復習だけではなく、ドリルや問題集でテスト形式の復習も取り入れて、効果を高めていきましょう。
復習の効果を高めるための「学習の順序」を押さえる
学習は、最初に行ったことと、最後に行ったことの理解が他よりも深まりやすいと言われています。これは「系列位置効果」と呼ばれており、この性質をうまく利用することが効率的な復習には欠かせません。
たとえば、しっかりと学びたい科目や単元は、1日の勉強の最初か最後に行う、理解に偏りが生まれないよう勉強する科目の順番は毎日変えるなど、目的に合わせて学習の順序も計画できるようにできるとよいでしょう。
単元ごとに注意すべきポイント
小学校で学ぶ単元ごとにも復習の際に注意すべきポイントがあります。漢字、計算、理科、社会の4つに分けて解説していきます。
漢字の復習
よくあるNG法が1つの漢字を何回もひたすら書き取ること。それでは、書くことも作業化されてしまい、記憶に定着しづらくなります。さらには、一文字を書いているだけだとその漢字の使われ方を理解すつことができません。必ずその漢字を用いた「熟語」をセットにして覚えていくようにしましょう。
計算の復習
計算は積み上げ型の側面も強いもの。そのため、何度やり直しても間違えてしまう分野があれば、その分野の前の分野の理解に原因があるかもしれません。このように、つまずきのモトとなっている部分にまでさかのぼって根本解決を意識するようにしましょう。
たとえば、割り算ができなかったり、時間がかかりすぎたりする場合は、割り算そのものではなく、そもそも九九や掛け算の理解が曖昧になっている可能性も大きいでしょう。
社会の復習
「地図記号などの知識事項」「グラフや資料の読み取り」「考えたことの説明」のどこに苦手があるのかをまずは把握するようにしましょう。地図を読み取る問題が苦手といっても、そもそも地図記号や地図の表記のされ方を理解していないのか、地図から読み取れる地形などの特徴をつかめないのか、読み取ったことを解答にまとめられないのかで対策は異なってきます。
理科の復習
電気や電流、電磁石など、実際に目にすることがない抽象度が高いテーマは、具体的にイメージできないため苦手意識が大きくなりがちです。これらは、教科書や参考書を読んでいるだけでは、視覚的なイメージを持ったり、体感することが難しいもの。映像教材や、動画解説などを用いて、概念理解の助けとするようにしましょう。
保護者にできる復習サポート
復習の効果を高めるには、保護者のサポートも欠かせません。モチベーションを高めたり、つまずきがちなポイントをサポートしたりすることで、お子さまが意欲的に復習に取り組める土台を整えてあげましょう。
保護者は教えるのでなく、伴走する意識でサポートを
復習サポートで保護者に求められるのは、「teach」ではなく「coach」です。勉強を教えるのでなく、復習の仕方や作戦を一緒に立てたり、モチベーションを高めたりして伴走するコーチとしての役割を果たすことが復習成功のポイント。保護者が「勉強を教えよう」と力んでしまうと、「どうしてわからないの?」とぶつかってしまうことも多々あるので注意が必要です。
また、お子さまが保護者に復習で取り組んだこと、学んだことを説明するのもおすすめです。インプットしたことを、人に説明してアウトプットすることで学習の理解と定着は深まります。
学年ごとに注意すべきポイント
小学校1年生〜6年生それぞれの学年で、特に注意すべき単元や復習のポイントを紹介します。子ども自身で気づくことが難しい観点でもあるので、保護者から積極的にサポートしてあげてください。
小学1年生の復習
・ひらがな・カタカナ・漢字のとめ、はねがしっかりできているか。テストでも厳しく見られる点ですが、子どもだけでは気づきづらいため、保護者がサポートしてあげましょう。
・算数は、繰り上がりが最もつまずくポイント。10になる組み合わせの練習などでサポートをしましょう。
小学2年生の復習
・九九が最大の関門。覚えられたか保護者が聞いてあげることで、苦手な段を把握し、サポートしてあげるようにしましょう。
小学3年生の復習
・3年で始まる割り算が苦手な場合は、九九に穴があることが多いため、さかのぼり学習でサポートを。
・分数の概念理解ができない場合は、ピザやケーキで日常に結びつけて説明しましょう。
・社会では、地図記号の暗記に注意。成り立ちの説明をするなどして、記憶に結びつける手がかりを与えるようにしましょう。
小学4年生の復習
・47都道府県と県庁所在地の暗記に注意。位置まで含めて覚えておかないと、5年以降の学習で苦労することも。
・理科では、月や星の動きについてサポートを。教科書で読むだけでは、実感しづらいため、自宅で一緒に観察などするのがおすすめです。
小学5年生の復習
・算数では、平均や割合など内容が難しくなることに加え、文章題も増加。間違いが多い場合は、そもそも設問文を読み解けていないことも多いため、サポートが必要です。
小学6年生の復習
・理科の「水溶液の性質」「てこの原理」がつまずきポイント。動画解説や映像教材で視覚的な理解を促すことで、原理をつかめるようにしてあげましょう。
・社会では歴史の学習がスタート。全体の流れをつかむために、歴史漫画などでサポートをしてあげるのがおすすめです。
復習ノートの作り方
復習は、科目別に復習専門のノートを作るとより効果が高まります。問題集やテストで間違えた問題を解き直したり、まとめ直したりする「問題復習ノート」を作って、自分の苦手やつまずきポイントを洗い出していくことで、成績UPに役立てていきましょう。
問題復習ノートの5つのポイント
成績UPにつながる問題復習ノートを作るには、5つのポイントがあります。それぞれの冒頭の文字をとって「いくらまき」と覚えておきましょう。
【い】いつも自分のために書く
「先生に言われたから」「お母さんに言われたから」という受け身な理由でノートを作っていては、成績UPに役立てることは望めません。目標達成のためには、正しい目標を掲げることが第一歩。「自分の苦手を克服して、成績UPにつなげる」という問題復習ノートの目的をしっかり意識させましょう。
【く】くろ以外はあと2色
ノートに書く文字の色は3色まで。ノートはきれいにすることが大切なのではなく、苦手やポイントをわかりやすくすることが重要です。「黒色で問題や答え、解き方を書く」「赤色で、一番重要なポイントや忘れてはいけない知識などを書く」「青色で、まあまあ重要なことを書く」などルールを決めて運用すれば、一目でポイントがわかるものとなるでしょう。
【ら】ラインで区切ろう
ノートは、どこに何が書いてあるかが一目でわかるようにしておくのが重要。情報が整理され、後から見返した際にも効率的に見直しが進みます。たとえば、文章題であれば、解き方と解き方のポイントの間に1本線を引いておきましょう。漢字などの知識事項であれば、漢字と読み方、その漢字を用いた熟語の間にそれぞれ1本ラインを引いておけば、情報がわかりやすく整理されます。
【ま】まちがいは消さない
まちがいは、のびしろです。まちがいを把握しておくことで、自分がつまずきやすい点、苦手な項目を理解し、次に同じことをしないよう心がけていくことができるもの。決して、恥ずかしいものではありません。
【き】きづきをメモする
問題復習ノートは、どれだけ主体的に書けるかが成功のポイント。そのため、自分の「きづき」を積極的に書き込んでいくようにしましょう。「問題文のひっかけに注意」「ここのミスは痛い」など自分の心が動いたことであればどんなことでもOK。後からノートを見返す自分へのエールやアドバイスのようなつもりでメモしていきましょう。
まとめ & 実践 TIPS
復習が大切とわかってはいても、効果的なやり方や、気をつけるべきポイントはわかりづらいものです。そのため、自己流で非効率なやり方に陥ってしまうこともあります。今回ご紹介した科学的根拠に基づいた方法や、復習のポイントを参考に、成績UPにつながる復習法をモノにしていってください。また、復習効果を高めるために、保護者はコーチとしての伴走していくことも心がけていきましょう。
参照元
その日に復習をするのは非効率だった!? 「実験心理学」による効率的学習法【前編】
https://benesse.jp/kyouiku/201605/20160513-2.html
科学的な実証に基づいた「効率のよい勉強法」とは?
https://benesse.jp/kyouiku/202001/20200130-1.html
テストを活用した復習で効率アップ! 「実験心理学」による効率的学習法【中編】
https://benesse.jp/kyouiku/201605/20160514-2.html
ベネッセ教育情報サイト|「返却されたらすぐ」が鉄則!定期テスト見直し術
https://benesse.jp/kyouiku/201506/20150626-6.html
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成績アップに役立つ「問題復習ノート」の作り方
https://benesse.jp/kyouiku/202006/20200605-1.html
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