教育用語解説|総合型選抜 教育用語解説|総合型選抜

2022.12.20

総合型選抜(旧AO入試)とは?仕組みやメリット、対策を解説

大学入試には、①一般選抜、②総合型選抜、③学校推薦型選抜、の3種類があります。以前は、一般入試、AO入試、推薦入試、と言われていましたが、2021年度入試(2年前の高校3年生の受験年)から現在の呼び方に変更されました。このうち総合型選抜は、「その大学でこんなことを学びたい」という意欲や入学後の目標が特に重視され、学校長の推薦は基本的に不要です。志望理由書・調査書などの書類選考と面接、小論文を課すケースが一般的ですが、それらを通して、志望分野に関する知識や、思考力・判断力・表現力なども含めて多面的に評価します。

この記事を監修した教育スペシャリスト

監修スペシャリスト

谷本 祐一郎たにもと ゆういちろう


ベネッセコーポレーション 学校カンパニー
教育情報センター長

1985年、岡山県生まれ。2007年、(株)ベネッセコーポレーション入社。
九州支社にて、大分県・熊本県・宮崎県の高校営業などを担当し、2016年より東北支社にて学校担当の統括責任者。2019年より現職。講演会・研修会の実績も多数。現在は、大学入試の分析、教育動向の読み解きや、全国の高校教員向けの各種セミナーを企画し、情報発信を行っている。2021年度より島根県総合教育審議会委員を担当。

総合型選抜の特徴、旧AO入試との違いは?

総合型選抜は、大学の方針と受験生の希望の親和性を重視する入試です。総合型選抜を実施する大学の大半では、「アドミッション・ポリシー」(以下AP)という形で求める学生像を示しており、前身となる旧AO入試と比べて、大学入学共通テストや大学独自のテスト、一定の知識が必要な小論文を課すなど、何らかの学力を見ることが多い点が特徴です。例えば、東北大学の総合型選抜は独自の筆記試験を課しており、実施時期なども踏まえると、一般選抜よりも難易度が高いとも言われます。また、地方の国公立大学は一定の知識も問う小論文を重視する傾向が強いようです。
概して、一般選抜や学校推薦型選抜と比べて試験時期が早い傾向にあり、9~10月に出願、10~11月に1次・2次試験、11~12月に合格発表という流れが一般的ですが、年明け以降に試験を行う大学もあります。

入学者枠・受験希望者共に増加中。その背景は?

ここ数年、年内に行われる総合型選抜や学校推薦型選抜を希望する生徒は増えており、大学側も枠を増やしています。実際、2021年度入試では、総合型と学校推薦型を足した入学者数が一般選抜による入学者数を初めて上回りました。背景には、コロナ禍で不安定な状況が続く中、早い段階で合格者を確保しておきたい、総合型や学校推薦型で入学した学生の入学後の伸びが著しい傾向が見られるといった大学側の視点や、高校時代の探究活動の成果を生かしたいといった高校側の視点があります。そして何よりも、これからの時代は、正解がない・わからない問いが増える中で、単に知識量が多いだけではなく、目の前の問題に対して周囲と協力しながら、知識を使って考え、判断し、答えを導いていく力が重視されることがあります。そうした資質・能力をさまざまな観点から測り、合否を判定していこうというのが総合型選抜なのです。

入試の多様化・長期化に伴い、高校での指導に差

一般選抜以外の方法を希望する生徒の増加を受けて、高校での指導も難しさを増しています。総合型や学校推薦型が増えたとはいえ、不合格の場合は一般選抜を受けることになりますし、受験者のうち半数程度は一般選抜を受験するため、先生も生徒も両にらみでの対策が必要です。また、入試期間が9月から半年間ほど続くため、先生方の負荷も高まっています。指導内容の面でも、一般選抜の場合は基本的に合格点に達するまでに必要な点数を逆算して考えればよいのですが、総合型は各大学のAPに基づく多様な選抜形態になっているため、それぞれに応じた対策を講じる必要があります。

また、多くの大学が課している小論文の指導も簡単ではありません。理想は、小論文のテーマ領域に近い教科の先生が専門性を生かしてアドバイスすることで内容を深め、受験小論文としての完成度は国語科や進路指導の先生がアドバイスする形です。この役割分担がうまくいっていればよいのですが、国語科や進路指導の先生だけに負荷が集中している場合も見られます。

最新動向——「探究学習」で得た力を評価する大学が増加中——

多様な方法で生徒を多面的に見る点が総合型選抜の特徴ですが、最新の学習指導要領で探究的な学びが重視されていることもあり、探究学習を生かせる総合型選抜が増加しています。ベネッセの分析によると、その中でも3つのタイプがあることがわかりました。

【探究学習を評価対象として取り入れる総合型選抜の3タイプ】
① 実績プロセス評価型:探究活動の成果やプロセスから得たものを評価する。関西学院大学など。
② 高大接続型:高校での探究的な活動と大学が課す探究的な課題の両面から、そのプロセスを含めて評価する。金沢大学など。
③ 資質能力評価型:探究を通して身につけた資質や能力を評価する。島根大学など。

高校の先生の中には、すべての総合型選抜は探究学習の華やかな成果や実績がないと入試には通用しないと考えている方も多いですが、上記3タイプに分類できるように、一概には言えません。志望する大学の選抜方法やAPを早めに、かつ最新の情報を確認しておくようにしましょう。

家庭でも、振り返りを大切にして自分の歩みを「棚卸し」して価値 付ける

総合型選抜では、大学側が最重視している明確な志望動機をいかに練り上げるかがカギを握ります。そのため、高校では「総合的な探究の時間」に積極的に取り組むとよいでしょう。探究学習は1年次から設定している高校が多く、3年間を通して、社会の中の自分をイメージし、自分なりの価値観や将来像を持つきっかけになります。

また、どのような活動もやりっ放しではなく、節目ごとに振り返りを行い、自分の歩みを定期的に「棚卸し」することが重要です。感じたことをこまめに振り返ったり記録したりしておくことは、自分の変容や成長を言語化するうえでとても大切です。

通学先の高校が探究学習に積極的でない場合は、多様な体験機会を持てるように家庭が後押ししましょう。そして、体験したことを親子で話すことが、子どもにとって振り返りの格好の機会となります。

まとめ

大事なのは結果よりも「結果に至るまでのプロセスから得たこと」を語れるかどうか

総合型選抜を受けるかどうかは、子ども自身が高校生活を通して得た学びと、大学で深めたい学び、さらに、それらを生かして社会とどのように関わりたいかがつながるストーリーを明確に語れるかを判断の目安にしましょう。難しい場合は、一般選抜を第一選択とします。注意したいのは、学校推薦型選抜にも共通しますが、総合型選抜で大学が求めているのは、目立った受賞歴や実績ばかりではないということです。それらはあるに越したことはありませんが、たとえなくても、結果に至るプロセスを振り返り、結果につながる理由や、そこで学んだことを語れるかどうかを見ています。総合型選抜に関心がある場合は、普段からそれらを意識して生活していきましょう。

取材・執筆:神田有希子

※掲載されている内容は2022年12月時点の情報です。

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