親が過干渉になる原因と5つの特徴 子どもへの影響は? 過干渉を避けるためのチェックリスト
子どものことが心配なあまり口を出し過ぎてしまい、「自分は過干渉な親になっているかも……」と心配になる保護者のかたもいらっしゃるかもしれません。親はいつも子どものためを思って頑張っているもの。ただ、よかれと思ってやっていることが、もしお子さまの成長にとって好ましくない影響を与えるとすれば本末転倒になってしまいます。
この記事では、過干渉の特徴やチェックポイントをご紹介。「過干渉かも?」と感じた際にどうすればよいのかを知ったうえで、対応のしかたを工夫していけるとよいですね。
過干渉とは? 原因と過保護との違い
過干渉とは、具体的にどのようなことでしょうか? まずは過干渉とは何か、過干渉が起きてしまう原因、そして過保護との違いを押さえましょう。
【1】過干渉とその原因
過干渉とは、一言で言えば“子どもの行動や考えを極端に制限してしまう関わり方”のことです。
子どもがまだ自分で物事を適切に判断できない段階では、親が注意や説明をしたりする必要があります。特に安全に関わることでは常に気をつけていなければなりません。
しかし、子どもの行動や考え方について指摘やアドバイスを続けているうちに、子どもが自分で判断できることでも親の考えや選択を押しつけてしまう場合があります。ある行動を極端に制限・禁止したり、過剰なルールを強要したりするといったケースです。
こうしたとき、親御さんの行動や考え方は「過干渉」になってしまいます。子どもの成長を見逃していたり、親としての責任感をとても強く感じていたりすることなどが、過干渉の原因になり得ます。
【2】過保護との違い
過干渉と比較されることに「過保護」があります。どちらも親御さんが子ども対する“関わりすぎ”があるという点は似ています。
過干渉と過保護の違いは、子どもの行動や考え方について制限しすぎるか甘やかしすぎるかという部分です。過保護とは、子どもの欲求を親がどんどん受け入れて叶えようとする行為を指すと考えてよいでしょう。
過干渉な関わり方に見られる5つの特徴
では、過干渉と見なされる行動にはどのような特徴があるのでしょうか? 親御さんの子どもに対する過干渉で見られる主な特徴5つを見ていきましょう。
【特徴1】子どもの発言中に口を出す
子どもの行動や考え方を制限する具体的な行動の1つが「子どもの発言を遮って親が口を出す」ことです。
たとえば、子どもが学校のことや何かの感想を話している途中に、それを遮って「それって…でしょ」「そんなのダメだよ」などと口を挟んでしまうパターンがあります。あるいは、子どもが質問されているとき、子どもが答えている途中に割り込んで親が答えてしまうといったケースも見られます。
「自分は子どものことなら何でも理解している」という思いから、ついこうした行動をとってしまうことがあるのです。
【特徴2】子どもの好みや選択に否定的 である
2つめの特徴は、子どもの好みや選択を否定し、自分の好みや選択を優先しようとすることです。
具体的には、買い物やレストランでメニューを選ぶ際に子どもが「これがいい」と選んでも、それが自分にとって好ましくないものであれば「それは似合わない」「そっちよりこっちのほうが美味しそう」などと否定し、「こっちにしなさい」と親自身の好みのものを選ばせる行為が挙げられます。
しかし、たとえ子どもが親の選択に従った場合でも、納得して従っているとは限りません。それにもかかわらず、親自身が「子どもに一度選ばせ、その上で相談して決めた」と考えている場合、子どもと大きなすれ違いが生じてしまうでしょう。
また、子どもにとっては「せっかく自分で選んだもの」を否定されるという経験が積み重なってしまうこともあります。
【特徴3】子どもの友人関係を勝手に決めたがる
3つめの特徴は、「その子と一緒に遊ぶのはダメ」「あの子と仲良くしなさい」など、子どもの友人関係について親自身の意見を強要してしまうことです。
もちろん、信頼できる人間関係を築くには多くの経験が必要です。子どもはまだ経験を積んでいる途中ですので、ときに好ましくない友人関係を築くこともあるでしょう。子どもがより安全で信頼できる友人を得られるようアドバイスすることは、とても大切です。
ただ、子ども自身が友達だと思っている子について、一方的に悪く言ったり遊ぶことを禁止したり、勝手にルールを作ったりすることは、アドバイスではなく強要になってしまいます。
【特徴4】褒めずに否定や指摘ばかりしてしまう
子どもの行動や考え方に関わりすぎる関係性になると、子どもの間違い探しにはまりこんでしまうことがあります。その結果生じるのが、親御さんの「子どもを褒めず否定や指摘ばかりしてしまう」という姿勢です。
勉強や習い事で子ども自身は頑張ってきたと感じていても、結果を重視するあまり「残念だったね。次はもっと頑張りなさい」「だから言ったでしょ」と、努力を褒めずに否定や指摘ばかり言ってしまうことがあるかもしれません。
しかし、それは「結果が出ていないのは、努力をしていないからだ」というメッセージになりかねません。子ども自身の頑張りを見過ごすことになるとともに、「次はああしなさい、こうしなさい」と過剰な指示やルールを与えるきっかけにもなってしまいます。
【特徴5】アドバイスのはずが命令になる
過干渉の5つめの特徴は、子どもへのアドバイスがいつの間にか命令になってしまうことです。
一般的にアドバイスは「…してみるのはどう?」といったように、アドバイスを受ける側が判断・選択する余地を残す言い方になることが多いもの。それが自分の選択を相手に強いるようになってくると、「…しなさい」という命令口調に変化しやすくなります。
命令口調は相手の判断や選択をする余地を残さない言い方。結果として、子どもの行動や考えを極端に制限してしまう関わり方がより強まってしまうでしょう。
過干渉が子どもに与える4つの影響
子どもへの助言や説明が行きすぎると、子どもが自ら考え判断する機会を奪うことにつながります。
ひいては子どもにとって必要な経験が減り、その後の成長に好ましくない影響を与えてしまうかもしれません。
過干渉によってどのような影響が生じ得るのかを確認しておきましょう。
【影響1】自信がなくなってしまう
過干渉な関わり方が続くと、子どもにとっては自分が決めたことが尊重されず、考えを否定される経験が続いてしまいます。それはやがて「自分は正しい判断ができないんだ」という思い込みにつながる恐れがあります。
さらに、親側の好みや一方的なルール設定は「なぜその選択をするのか」「どうすれば良い選択ができるのか」の理由や道筋が説明されないケースも。考え方や判断の進め方、選択の妥当性のチェックの仕方が理解できないため、自分の考えや決定に自信がなくなってしまうかもしれません。
【影響2】気力が低下する
自分の考えや決定が否定され続ける経験は、誰にとってもつらいものです。
良かれと思ってしたことが否定され続けたり、自分の気持ちとは関係なく行動を制限され続けたりすると、「どうせやったって…」という気持ちが強まり、自分から何かをしようとする気力が低下してしまう可能性があります。
積極性がなくなると、皆で相談して決めようという場面だけでなく自分の将来のことであっても、「周りの人たちがそう言うから」という受け身な姿勢につながってしまうでしょう。
【影響3】親に対して罪悪感を抱いてしまう
子どもの考えを否定する、子どもの行動を一方的に制限するといった関わり方は、「反発・違反したら叱る」という行為につながりやすくなります。
そして、日常的に叱られることは「自分は親に迷惑をかけている」「自分がダメな子だから」といった罪悪感を抱くことにもつながりかねません。
「親に迷惑をかけないように」が「親に叱られないように、否定されないように」という考え方を強めてしまい、自分の意見を言えなくなったり、そもそも自分で考えることをやめたりしてしまう恐れがあります。
【影響4】自分では決められなくなる
自分の考えや決定を合理的な理由もなく否定される、周囲の顔色を常にうかがいながら生活するといったことに慣れてしまうと、「自分では決められない」という結果を招く可能性があります。
過干渉な関わり方が長期にわたるほど、子どもにとっては自分で判断したり物事を選択したりする経験が少なくなるでしょう。否定されることへの恐れとともに、そうした経験の少なさが「物事を考える力」「自分の将来のために判断・決定する力」の成長を妨げてしまうかもしれません。
過干渉にならないようにするためのチェックリスト
では、過干渉にならないためには、子どもにどのような関わり方をすればよいのでしょうか? ここでは、日常的な場面をもとに過干渉まで進まないためのチェックポイントを紹介します。
【1】片付けは子どもと相談して進めているか?
1つめのチェックポイントは、毎日発生するお片付けの場面です。
子どもが遊んだり何かに熱中していたりすると部屋が次第に散らかるもの。そんなとき、「そのおもちゃは違う場所にしまうんでしょ!」「これは捨てるからね!」と、一方的に決めて子どもに指示ばかりしてしまうのは、過干渉の恐れがあります。
心がけたいのは、「これはどこにしまう?」「これはとっておく? 捨てる?」など、子どもの判断を尊重して進めること。時間のあるときに収納箱を用意して、「ぬいぐるみ」「ゲーム」「本」など、しまうべき場所を子どもと一緒に決めておくと少しラクになります。
箱の中は整然とおもちゃや本が並んでいなくても構いません。特に片付けが苦手な子の場合は「箱に入れてあればOK」という程度で完了し、「よかったね、片付いたね!」と褒めてあげましょう。
【2】子どもが自分のやるべきことを判断する機会があるか?
子どもにとって自分で考える経験を積むことは、とても大切。「明日は何をするか」「何を持っていくか」など、自分のやるべきことを判断する機会を積極的につくってあげたいものです。一方で、子どもの判断や決定が間違っていたり、不十分だったりすることもあるでしょう。
2つめの過干渉チェックポイントは、「やっぱり親が判断してあげなくちゃダメだね」という気持ちが強くなり「言うとおりに用意しなさい」という態度になっていないかどうかです。
たとえば、朝の準備をスムーズに進めるには前日までに「やることリスト・もちものリスト」などを子どもと一緒に用意するのがおすすめ。紙で作成してもいいですし、マグネットとホワイトボードを使っても楽しいでしょう。
「明日、行く場所は? 何を持っていく?」と質問をしながら書き出してみて。子どもが思いつかないものがあるなら、「ハンカチは?」などと聞いて要る・要らないを子どもに判断をしてもらいましょう。
必要なのに「要らない」「やらない」と子どもが言った場合は、その理由を聞くことを忘れずに。その上でやはり必要なものなら、「私は必要だと思うなあ。だって…」ときちんと理由を説明しつつアドバイスをして、子どもにもう一度判断してもらうとよいでしょう。
なかなか判断できないこともあるかもしれませんが、まずは子ども自身の決定をじっくり待ってあげてください。
【3】すぐに手出し・口出しをしていないか?
3つめは、子どもの行動や話の途中ですぐに「それは違う」などと遮っていないかどうかです。
子どもは大人よりもずっと経験が浅いため、物事の進め方や話し方がたどたどしいことは多いもの。他方、大人は「正解」を知っているので、つい「違うでしょ」「関係ないでしょ」と言いたくなってしまいます。
子どもの安全に関わることでは、子どもを制止したり行動を促したりする必要はあります。しかし、そうでない場合にも制限や強制をしているなら要注意です。
子どもはトライ&エラーをくり返しながら、状況に合った適切な行動や考え方を納得しつつ学んでいきます。親との会話を増やすことで子どものコミュニケーション能力も養われます。
そうした経験を積み重ねる機会を尊重するため、まずは子どもの行動を見守り、話を最後まで聞くことを意識しましょう。
【4】アドバイスは子ども自身で問題解決をする手助けになっているか?
子ども自身ではできないこと、判断が難しいことなどでは、親の助けが必要になりますよね。子どもから「助けて」「手伝って」と言われることもあるでしょう。その際、一から十まで指示を出すのではなく、一度立ち止まって考えてみてください。
アドバイスが行きすぎて過干渉に変わってしまうことが少なくないからです。
適切なアドバイスや手助けをするためには、
- ・子どもが助けを求めていることは、具体的に何か
- ・どのような解決手段があるかを子どもが理解しているか
- ・子どもが自分でできる方法はあるか
を意識し、なるべく子ども自身が多く関われる方法で手伝ってあげられる選択をすると、子どもも新しい経験を重ねることができます。
たとえば「高い所にあるものを取りたい」という子どもの希望に対しては、親がすぐに取ってあげる方法もありますし、踏み台や脚立を用意したり親が子どもを持ち上げて子ども自身に取らせる方法もあるでしょう。
子どもの安全や時間的余裕との関係で、親が取って上げる方法しか選べないこともありますが、もし子どもに判断・行動させても大丈夫なら、ぜひ子どもがより関われる解決法を優先してあげてください。
まとめ & 実践 TIPS
子どもの安全や成長のために、親が気をつけなければならないことはたくさんあります。忙しい日常生活の中で「ここまで助ける、ここからは子どもに判断・経験させる」といった線引きをするのは大変かもしれません。
それでも、子どもは試行錯誤して失敗や成功を積み重ねることで、よりよい判断力や自分で決める力を養っていけます。
「過干渉かな?」と感じたら“子どもが自分の経験を積める機会”をあげられているかどうかチェックを。命令にならないアドバイスを意識しつつ、温かく見守ってあげましょう。
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