【小学生の持久走・マラソン大会のコツ】おすすめの練習方法、速く走る戦略は?

小学生の持久走・マラソン大会のコツ

冬の学校行事としてマラソン大会を実施する小学校もあります。長距離を本格的に走るのは初めてという子どもも多いかもしれません。マラソン大会に向けた練習法や当日の戦略について、シドニーオリンピックでマラソン代表に選ばれ、現在も旭化成の陸上コーチを務める川嶋伸次さんにアドバイスをいただきました。

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持久走で疲れないコツは?

持久走で疲れないコツ

長い距離を走る持久走は、疲れが出てうまく走れないことも多いものです。そのため、いかに疲れにくい走り方ができるかが大切。次の4つのコツを意識していきましょう。

1.自分に合った呼吸法

疲れにくくするためには、走るのに必要な酸素をしっかりと取り込むことが大切です。自分に合った呼吸法でしっかり息を吸って吐くようにしましょう。走るリズムに呼吸を合わせると良いでしょう。意識しすぎるとうまくいかないこともあるものです。「こうしなければ」と気にしすぎるよりは、自分に合った呼吸法を見つけるようにしてみてください。

走っている途中で苦しくなった際には、胸を開いて深呼吸するのがポイント。その後、しっかりと吸って酸素を体に取り入れることができるでしょう。

2.背筋を伸ばして走る

疲れにくくするには、背筋を伸ばして走ることが大切です。前かがみで背中が丸まっていたり逆に後ろに反ってしまうと呼吸がしにくかったり、歩幅を適切に調整しづらかったりします。歩幅は徒競走の時より「少し狭め」を意識すると良いでしょう。

背筋を伸ばして、遠く(10m先くらい)を見ながら走るようにすれば、体の軸もぶれずに負担を最小限にとどめることができるでしょう。

3.腕を軽くリズムよく振る

徒競走のように腕を大きく振ると、肩に力が入り、疲れやすくなってしまいます。ひじを後ろに引くことを意識して、手は軽く握り(生卵を持っているイメージ)リズム良く振れば自然と走りやすくなるはずです。

4.同じペースで走る

長距離はペースを一定にするほうがいい記録が出やすいものです。飛ばしすぎたり、まわりにつられてしまったりすることなく、自分のペースを崩さずに走るようにしましょう。

どんな練習が効果的?

おすすめの練習法

小学生の持久走の練習では、「無理をしない」ことがいちばんのポイントになります。中学生くらいになると体がかなり発達して、本格的な長距離走の練習ができるようになりますが、小学生には負担が大きく、ケガにつながったり、発達に支障が生じたりするリスクがあるためです。長距離を走る練習を繰り返すのではなく、次の3つのような練習をしていきましょう。

鬼ごっこやサッカーなど走る遊びで持久力をつける

小学生は、まずは体力や持久力をつけることが大切。そのため、毎日長距離を走り込むのではなく、遊びの中でたくさん体を動かして徐々に体力をつけていくことを心がけてください。例えば、公園を走り回ったり鬼ごっこをしたりアクティブに遊べば自然と持久走につながる体力は高まっていきますし、サッカーやドッジボール、バスケットボールなどの走るスポーツをするのもよいでしょう。

縄跳びなど跳ぶ遊びで心肺機能を高める

心肺機能を高めるために、跳ぶ遊びもおすすめです。縄跳びであれば、1人ですることも、みんなですることもできていいですね。

ペース走や5分間走で走るペースをつかむ

持久走の練習に保護者のかたと一緒にジョギングをすることもあるかもしれませんが、子どものペースに完全に合わせるのでなければ、あまりおすすめできないというのが本音です。大人のペースについてこさせるのは体力的に無理がありますし、自分のペースで走れないと、走ることは苦しいことだとインプットされて、運動嫌いになってしまうかもしれません。子どもが心地よさを感じて会話を楽しめるくらいのペースを保ち、疲れが見え始めたらすぐに歩くようにしましょう。

走る練習としておすすめなのは、ペース走や5分間走です。ペース走とは、一定のスピードで決められた距離を走る練習のこと。持久走は同じペースで走ることが良いタイムを出すコツになるため、ふだんの練習から意識していけるといいですね。

5分間走とは、5分間だけ走るというもの。フォームも崩れにくく、心肺への負担も少ないため、特に小学生に適した練習法です。

マラソン大会当日の戦略は?

マラソン大会で良いタイムを出すために、保護者のかたにアドバイスしてほしいのは、「同じペースで走りきる」ということです。長距離走は同じペースを保って走りきった場合、ベストタイムが出ることが多いからです。序盤に飛ばし過ぎてスタミナが尽きたり、逆に終盤で追い上げようとして体力が余ってしまったりすると、タイムが伸びないことが多いのです。

といっても、ゴールした時点で体力があり余っている状態だとベストタイムは出ません。初めてのコースで体力をちょうど使いきるペースで走るのは難しいので、事前に同じ距離を走って大体のペースをつかんでおくと良いでしょう。そして本番では、周囲がどんどん先に行っても、強い気持ちをもって自分のペースを守ることが大切です。

走り方にもコツがあります。持久走ではいかに無駄な体力を使わないかがポイントですので、「背筋をピンと伸ばす」「腕や肩は力を抜いてリズミカルに振る」「前に勢いよく踏み出したり後ろに強く蹴ったりしない」といった走り方を心がけましょう。また、しっかりと息を吸うことを意識すると、呼吸が安定しやすくなります。

マラソン大会当日の朝食は、スタミナをつけようとして食べ過ぎるのはNG。苦しくて走れなくなってしまいます。量はほどほどにして、エネルギー源となるバナナや炭水化物などを重点的にとるようにしましょう。胃腸内の炭酸ガスの発生を抑えるヨーグルトもおすすめです。スタート時間の3時間前までには食事を摂り終えているようにしましょう。

できる範囲でがんばれるように応援しよう!

持久走は、走っているときに苦しさを感じることもありますが、それだけに達成感を得やすく、「やればできる」といった自信にもつながります。勉強など他のことをがんばろうという気持ちにもなるかもしれません。決して無理をさせることなく、子どもができる範囲でがんばれるように応援してあげてください。そうすれば、走ることの楽しさを実感し、運動が好きになることにもつながるに違いありません。

監修:

川嶋伸次

1966年、東京都出身。日体大時代、箱根駅伝では山下りの6区を担当し区間賞を取るなどチームに貢献。卒業後は旭化成陸上部に入部し、各大会で活躍した。2000年の琵琶湖毎日マラソンで自己ベストとなる2時間9分04秒をマーク(日本人トップの2位)、シドニー五輪マラソン代表に選出された。その翌年に現役を引退、02年からは東洋大陸上競技部の監督に就任。現在は旭化成陸上部コーチ。

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