反抗期に悩む保護者に「自分の時間」が大切なワケ
- 育児・子育て
反抗期だからと頭ではわかっているけれど態度が悪すぎて怒ってしまう……逆ギレするなど子どものエネルギーが強すぎてこちらがまいってしまう……楽しく話せないので会話自体が減ってしまった……。
そんな反抗期の子どもと向き合うさまざまな悩みやストレスを軽くするヒントを、教育評論家の親野智可等先生に教えていただきました。
この記事のポイント
親はがまんするしかないの?
反抗期の子どもがいると、イライラすることが多いですよね。子ども自身もうまく気分をコントロールできていないので、「今は言っても無駄」「否定的なことは伝えても届かない」と割り切ることも必要です。
だからといって、親ががまんしたり与えたりするばかりでなくてもよいのです。
毎回気になることや言いたいことを飲み込んでいくことはストレスになるもの。今、目の前の子どもから返してもらうことは期待できないので、自分で自分のための時間をつくり、楽しむことをもっと肯定していきましょう。
たとえば仕事で忙しい時も「これも家族のための時間」と認めていいし、趣味の時間をもつことも「反抗期の子どもを許容するために必要な時間」と考えていい。気持ちに余裕が生まれる方法や考え方を積極的に取り入れてください。
また、子どもには、自分の言い分に共感し、受け入れてくれる人の存在が不可欠です。
だからこそ、子どもを受け止める保護者のかた自身にも、誰かに共感してもらう時間が大切。
「うちの子、こんな感じで困っちゃう」という悩みに解決策がなかったとしても「うんうん、わかる」「うちもそうだよ」と言ってもらえるだけで気が楽になり、共感してもらえたと安心できます。よい話し相手を見つけて、会話の時間をつくってほしいと思います。
自分の価値観から解放される
反抗期の子どもはとても不安定で、いろいろなストレスやいらだちを感じています。
この時期は、学校で友達同士で愚痴を言い合えたり、学校では言えないが塾の先生には話せたりと、子どもに気持ちを吐き出せる居場所があることが重要です。
もしも反抗が強い、ほとんど会話がないなどで心配しているなら、子どもにとって環境的なストレスがないか、またはストレスが発散できる場があるかを振り返ってみるといいでしょう。
学校でのストレスが大きいようならフリースクールや趣味のサークルなどの第三の居場所を提案してあげてもよいと思います。
これまでと違う環境や夢中になれる時間は、子どもの気持ちを楽にします。
一方で、子どもの環境を変えることには保護者のかたの手間や時間がかかります。さまざまなことに向き合い、考える必要があり、精神的な負担もあります。でも、その先にお互いに生きやすい状況が見えてきたなら、そこががんばりどころなのだと思います。
また、「学校にはきちんと行ってほしい」「始めたら結果を出すまで続けるべき」など、無意識の理想やこだわりが子どもを窮屈にしている場合もあります。
今はいろいろな生き方がある時代です。幅広い選択肢や型にとらわれず活躍している人の情報を知ることで、子どもの可能性も広がり親としての気持ちも軽くなるかもしれません。
コミュニケーションの方法を探す
●メモやSNSを活用して文字で伝える
言いたいことがいろいろあるのに最後まで聞いてくれない、前向きな相談をしたくてもコミュニケーションがとれないというときは、対話よりメモやSNSで伝えるほうが子どもが受け止めやすいことがあります。
「応援団でいい声出てたね」「困ったことがあったら言ってね」のような一言も、その場で反応がなくても子どもの心には残ります。
●謝る・ほめるは丁寧な書き言葉で
叱りすぎたあとで謝るときや、改めてほめたいときには、ですます調の書き言葉を使ってみるのもいいですよ。
「こちらも感情的に言いすぎました。反省中……」「最近勉強がんばってるね。応援しています」など、子どもからの反応がなくて一方通行に思えても気持ちは伝わるものです。
●周囲に同調して子どもを悪く言わない
家族間で反抗期の子どもの話をするときには、否定的な言葉をつかわないように気を付けましょう。
たとえば年下の弟や妹が反抗期の兄や姉の言動に反発するなどしたときは、「反抗期ってそういう時期なの」と反抗期の子どもをフォローしてあげましょう。
●専門機関でアドバイスをもらってもよい
あまりに情動的すぎるとか内向的すぎる(閉じこもってしまう)など、あるいは保護者のかたの不安が強い場合には、専門機関に相談してもよいでしょう。
本人を連れて行かなくても相談できる場所もあります。自治体、教育委員会、児童相談所などの窓口を探し、まずは話をしてみましょう。
ひとりで抱え込むのはよくありません。話を聞いてもらえる場所や相手、自分が楽しめることを見つけ、その時間を大切にしてください。
まとめ & 実践 TIPS
子どもに居場所が必要なように、親にも気持ちが安まる居場所が必要です。
さらに、親が自分を大切にする姿を子どもに見せることは、子どもの自立にもよい影響を与えます。反抗期を抜けた先の子どもの姿を楽しみに、同じ悩みを抱える人と励まし合って気持ちを軽くしていきましょう。
<親野智可能等先生の書籍紹介>
『反抗期まるごと解決BOOK』(日東書院本社 2023/7/10発行)
親野 智可等 (著), ぴよとと なつき (イラスト)
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