友達の輪に入れない……保育園や幼稚園の先生へ相談するタイミングは?

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幼稚園や保育園で、お子さまが一人で遊んでいるのを見かけたとき、お友達の輪に入れていないのではと、心配になってしまうかたもいるでしょう。園でのお友達関係など、気になることがあったときに、担任などの園の先生へ相談するのはいつがよいのでしょうか。教育心理学の専門家である松尾直博先生に聞きました。

この記事のポイント

お子さまの気持ちを考えてみよう

幼稚園や、保育園でお子さまが一人で遊んでいる姿を見かけてしまったとき、どうしたのかな、お友達の輪に入れてないのかなと、保護者は不安に感じることもあるでしょう。
直ぐに先生に相談したくなってしまいますが、それが正しいのか、それとも間違いなのか、それさえ悩んでしまうこともあるかもしれません。

まずは、お子さまがどんな気持ちで遊んでいるのかを考えてみることが大切です。保護者のかたの目線からだけでお子さまが一人で遊んでいることを理解するのではなく、お子さまの気持に寄り添って考えるとよいでしょう。先生からどう見えているかを知ることも大切です。

発達や年齢によって、お子さまがお友達と遊ばずに一人でいるのには、どんな理由があるのか、どんな気持ちなのかを考えてみましょう。一人で遊ぶのが好きなのか、お友達と遊ぶのが怖いのか、お友達やお友達がやっている遊びに関心があるのかなどが、気持ちを考える上でのポイントとなります。

年齢別!お子さまの行動や気持ち

年齢や発達によって、の遊び方、お友達との関わり方などには違いがあります。年齢や行動や気持ちを参考に、保護者のかたがどのようにお子さまに関わればいいのかをご紹介します。

【~2歳】
・一人遊びが主な時期
・自分の好きな遊びを一人で楽しみます
・物の取り合いなどで短時間友達と関わることはあります
・友達とのやりとりは、長くは続きません
・周りのことはあまり気にしません

この時期は好きな遊びをたっぷりと一人でできることが大切です。大人が遊びに付き合ってあげて、やりとりの相手になることもよいでしょう。

【2歳ごろ】
・他の子どもの遊びを見ることが増えてきます
・他の子どもの遊んでいるところとに話しかけることもあります
・他の子どもの遊びやその子自身に興味が出てきます
・他の子どもと同じ遊びを始めたり、遊びに加わったりすることは少ないです

この時期は「〇〇ちゃん、大きな山をつくってるね」「〇〇ちゃん、積み木をつむの上手だね」など、お子さまが興味を持っている他の子の様子について、言葉にしてあげて、一緒に注目してあげることが大切です。

【3歳ごろ】
・複数の子どもが同じ遊びを同時に行うようになります
・同じ遊びをしていますが、子どもの間に活発なやりとりはありません
・周りの子どもを意識していて、同じ遊びをしている気分ではあるようです

この時期は、同じ場所で同じ遊びをすることを見守ってあげつつ、物の貸し借りを促しをしたり、作ったものを見せ合うことを促したりすることがよいでしょう。

【年少3歳~4歳】
・子ども同士のやりとりが活発になってきます
・物の貸し借りや遊具の共有ができるようになってきます
・役割分担などは子どもどうしではまだ難しいです
・子どもがリーダーシップを発揮して遊びを展開するのも難しいです

この頃は、友達と一緒に砂場で遊んだり、ごっこ遊びができるようになります。ただし、まだ大人が導いてあげないと、同じ目標に向けて協力したりすることが難しく、ごっこ遊びも今一つかみ合わないことも多いです。口出しし過ぎるのを気をつけながら、より楽しく遊べる方法を提案したりしましょう。

【年中4歳~年長5、6歳】
・集団での遊びが楽しくなっていきます
・ルールや役割分担のある遊びも多くなってきます
・ごっこ遊びも子どもだけでやることができるようになります
・おにごっこ、サッカー遊びなどもできるようになります

この頃になると、子ども達だけで、役割分担があったり、ルールがあったりする遊びをある程度できるようになります。ごっこ遊びでも設定や役割を調整して、みんなが楽しく遊ぶようになります。ルールにしたがった鬼ごっこやサッカー遊びなどもできるようになります。大人は見守りつつ、よりよい役割分担やリーダーシップの発揮の仕方を適度に提案したり、お手本を見せたりしつつ、一緒に遊べるといいですね。

お子さまの特徴に合わせたサポート法

お友達の輪に入れないお子さまへのサポートは、特徴に合わせて行うのがおすすめです。お子さまのタイプに合わせて、無理のないサポートを心がけていきましょう。

■内気で引っ込み思案なタイプ
友達と遊びたいと思いながら、自分からはみんなの輪の中に入っていくことができないお子さまもいます。
最初の一言が言えないお子さまもいるので、「『いーれーてー』って言ってみようか?」と最初の一言を教えたり、まずは一緒に言ってみたりなどの後押しをするとよいかもしれません。最初はしばらく、みんなが遊んでいるのを見て、少し遊びに加わって、早めに抜けるということから始めてみてもよいでしょう

■1人で遊ぶのが好きなタイプ
一人の時間を楽しめることは、成長しても大切なことです。一人で行う好きな遊びに没頭できることもよいことです。しかし、3歳くらいになっても、全く友達と遊ばなかったり、他の子に全く興味がないことは少し心配です。 もしお子さまが好きなことと同じことが好きなお友達がいれば「◯◯ちゃんも好きなんだって」とさりげなく教えてあげられると、お友達とかかわるきっかけになるかもしれません。

■大人数が苦手なタイプ
大人数では、耳に入ってくるたくさんの人の声が苦手だったり、人数の多さによる圧迫感が苦手なお子さまもいます。そのような場合は、少人数で楽しく遊べる機会を作り、徐々に人数が増えても平気になっていくような促しをするのがよいでしょう。

先生に早めに相談しても大丈夫?

園の先生は、たくさんの子供の成長を見ていますし、何歳くらいの子どもがどのような特徴を持っているかも把握しています。心配なことがあったら、遠慮せずにどんどん相談してもよいと思います。何かのついでに立ち話でもよいですし、「お時間作ってもらえますか」と事前に伝えて、きちんとした面談という形でもよいと思います。

年中、年長になっても一人で遊ぶのが好きな子どももいます。ただし、友達と関わることが怖くなっていたり、過度に緊張する場合は少し心配なので、早めに先生に相談しましょう。また、あまりにも他の子には興味がない場合なども少し心配なので、早めに相談してよいと思います。

無理してお友達の輪に入れようとすると、子どもはそれを負担に感じてしまい、余計に声をかけるのが怖いと思ってしまうかもしれません。
・「今日は、お友達と遊んだの?」
・「どうして、一人で遊んだの?」
という言い方をしてしまうと、一人で遊ぶことが悪いことだ、と誤解してしまうかもしれません。
お子さまが、園で楽しく過ごせているのなら、一人で遊んでいても平気と思えるぐらい大らかな気持ちで、見守ってあげるとよいでしょう。

幼稚園、保育園でお子さまがどんなふうに過ごしているのか、とても気になると思います。 普段の様子に関しては、積極的に先生に聞きましょう。

まとめ & 実践 TIPS

おうちや家族、親族と一緒にいる姿と園での姿が違うお子さまも少なくありません。また、園の先生はたくさんの子ども達の成長を見守っており、保育、幼児教育の専門家です。気軽に、園の先生にお子さまの様子について聞いたり、心配な点は相談してよいと思います。

ケンカ、いじめ、暴力などがあった場合は、お子さまのためにも先生にすぐに相談しましょう。

プロフィール


松尾直博

主な著書『絵でよくわかる こころのなぜ』(学研プラス)『ポジティブ心理学を生かした中学校学級経営 フラーリッシュ理論をベースにして』(明治図書出版・共著)『コアカリキュラムで学ぶ教育心理学』(培風館・共著)『新時代のスクールカウンセラー入門』(時事通信社)など


博士(心理学)。公認心理師。臨床心理士。学校心理士。特別支援教育士スーパーバイザー。専門は、臨床心理学や学校心理学。幼稚園、小中学校でのスクールカウンセラーの経験多数。

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