合格した先輩発! 総合型選抜・学校推薦型選抜の面接対策

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「いよいよ大学の推薦入試! 面接ではどんなことを質問されるんだろう?」
「子どもが推薦の面接対策で困っているみたい……。保護者として協力できることは?」

推薦入試(総合型選抜・学校推薦型選抜)では、多くの大学・学部で面接試験を実施しています。
ちなみに2022年度入試では、総合型選抜で約9割、学校推薦型選抜で約8割が面接を実施しました。

高校生が、初めて会う大人を前に自分の思いを伝えるのは、ハードルが高いもの。
受験に臨むお子さまはもちろん、保護者のかたも不安を感じていらっしゃるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、実際に推薦入試で合格した先輩大学生が伝授してくれた「面接のヒケツ」をお伝えします。
「面接でよく問われる質問」に加え、一部の大学で行われているオンライン面接のコツや、大学生が「面接本番前にやっておけばよかった」と感じたこともご紹介します。
お子さまと面接の練習をする時や、オンライン面接の環境を整える時など、面接対策のサポートをなさる際に、ぜひ参考になさってくださいね。

※ここでは「学校推薦型選抜」「総合型選抜」をあわせて「推薦入試」としてご紹介しています。

この記事のポイント

推薦入試の面接の種類&よくある質問とは?

大学の推薦入試(総合型選抜・学校推薦型選抜)の面接試験は、大きく2種類に分けることができます。
受験生が面接室に1人ずつ呼ばれる「個人面接」と、同時に複数人の受験生が呼ばれる「集団面接」です。
集団面接では、面接官が受験生一人ひとりに質問する場合もあれば、受験生同士がグループディスカッションを行う場合もあります。

推薦合格を果たした大学生にご協力いただいたアンケートでは、「質問された内容」として多くの人が挙げたのは以下の3つ!

  • 「なぜこの大学・学部を選んだのですか?(志望理由)」
  • 自己PRをしてください」
  • 大学卒業後の目標・展望は?」

この3つの質問に対しては、最優先で回答を準備しておきましょう。
その他、「大学でやりたいこと」「最近印象に残ったニュース」などもよく問われています。
どの質問に対しても、答える時は「結論を先に&具体的に」話すのがポイント。
ちなみに合格した人は、「よくある3つの質問」に対して以下のように回答しています。

「なぜこの大学・学部を選んだのですか?(志望理由)」の回答例

私は公認会計士をめざしています。貴学には経理研究所や経営学部のCAP(高度職業会計人養成トラック)という制度があり、積極的に参加することで、より早くから会計に関する専門的な知識とスキルを身に付けることができると考えました。
(明治大・経営学部 M・Kさん)

「自己PRをしてください」の回答例

自分のよさは、その人が持っているよさや個性を見つけ、尊重できるところです。教員になってからも、児童一人ひとりのよさや個性を認め、尊重できるクラス経営をしていきたいと考えています。高校時代には、学業や部活以外の校外活動にも積極的に参加しました。両立の難しさもありましたが、大学生活や教員生活でも複数の物事を同時に進める経験が生かせると思います。
(宮城教育大・教育学部 N・Sさん)

「大学卒業後の目標・展望は?」の回答例

将来は、鳥取大学附属病院で勤務したいと考えています。鳥取大学附属病院は規模の大きい病院でさまざまな症状の患者さんがいらっしゃるので、臨床現場で豊富な経験を積むことができると考えたからです。
(鳥取大・医学部 M・Iさん)

個人面接では「面接官との対話」を意識する

ここからは、個人面接と集団面接、それぞれのポイントを押さえていきましょう。

個人面接は、受験生1人に対して、試験官は2~3名の場合が一般的。
本番では、以下の3点に注意しましょう。
ポイントは、「質問に答える」ことにとらわれすぎず、「面接官との対話」を意識することです。

  • 相手に視線を向けて敬語で話す(面接官が複数なら、質問者を中心に他の面接官にも目を向けて話す)
  • 準備した回答を丸暗記して答えるのではなく、語りかけるように話す
  • うなずいたり、「はい」と答えたりして、相手とコミュニケーションをとる

合格した先輩の声

学校の先生や友達と面接の練習を重ねるのがおすすめです。いろいろな先生に模擬面接をしていただくと、自分では気付けない視点からのアドバイスをたくさん得られます。また、友達との面接で試験官の役をやってみると、「面接する側はここを見るのか」と気付くきっかけになります。
(東京医科歯科大・医学部 S・Kさん)

集団面接では「周りの回答に惑わされず、しっかり自分の考えを述べる」

集団面接では、受験生4~6人に対して、面接官2~3人というケースが多いようです。

受験生全員に同じ質問をされる場合は、つい自分の前に発言した受験生たちの回答に引きずられそうになるかもしれません。
また、「ほかの人と違うことを言わなければ」と焦るお子さまも。
しかし、面接官はあくまで「自分の意見をしっかりと述べられるか」を見ています。
前の受験生の回答に惑わされず、自分の考えを述べることが大切です。

合格した先輩の声

学校では1対1の模擬面接を2回やっていただいたのですが、集団面接の練習ができないまま本番を迎えてしまい、独特の雰囲気に緊張しました。ほかの受験生の前で自分の志望理由を話す感覚を知っておけば、もう少し落ち着いて臨めたのではないかと思います。
(横浜市立大・国際商学部 M・Gさん)

オンライン面接は「1週間前からの準備」がキモ

コロナ禍をきっかけに、推薦入試にオンライン面接を導入する大学・学部も見られるようになりました。

オンライン面接の場合でも、問われやすい質問や答え方のポイントは対面と同じです。
ただし、ネット接続やカメラ映りなどオンラインならではの留意点もあります。
機材を追加で用意する必要が出た時など、何か問題があった場合に対処できるよう、遅くとも1週間前には本番と同じ環境でテストしておきましょう。

ちなみに、「カメラを見て受け答えできているか」(目線がずれていないか)を、お子さま本人が確認するのは難しいもの。
保護者のかたとお子さまで画面をつなぎ、一緒にオンラインで受け答えの練習をしながら、目線の位置などを確認しておくとよいですね。

<事前にやっておくべきオンライン面接の準備>

  • 「正しく接続できるか」を確認
  • 画面に映る自分の姿の明るさや顔の大きさ、位置の確認
  • 「どのくらいの声の大きさで話すのがちょうどよいか」を確認
  • 「長時間のオンライン接続で不安定な環境にならないか」の確認
  • 画面ではなく、カメラを見て受け答えする練習
  • 背景の確認(周囲に人がいないことを確認するため、360度カメラを回すことを指示される場合があります)

なおオンライン面接には、相手の表情が見やすいPCやタブレットがオススメ。
スマートフォンで面接をする場合は、面接中は手で持たずにスタンドなどに置いて固定すると見やすいですよ。

合格した先輩の声

「オンライン面接だし、見える部分がきちんとしていればいい」という考えになっていたようで、本番でシャツの袖のボタンが取れかけていることに気付いてドキッ。いくら画面に映らなくても気になってしまい、「ほかにも何か不備があるんじゃないか」と不安でした。
(中央大・経済学部 M・Iさん)

「面接のリアル」と、やっておけばよかったこと

どれだけがんばって準備しても、いざ面接本番には想定外の出来事が起こる場合も……。 合格した大学生がこっそり明かす「面接のリアル・やっておけばよかったこと」を参考に、本番に向けてできるだけ対策を立てておきましょう。

合格した先輩の声

「時事問題について質問される」という情報は得ていたので、高校での模擬面接に、時事問題に関する質問を盛り込んでもらいました。でも本番では、面接官の先生が「具体的にはどういうことですか?」とどんどん深掘りして質問してきたので、焦ってしまいました。
表面的な知識だけでなく、他人に説明できるレベルまで理解しておくべきでした……。
(名古屋市立大・薬学部 K・Yさん)

本番直前期は、学校や家での練習に力を入れすぎて寝不足気味に。そのせいか、当日に少し体調を崩してヒヤヒヤしました。実力を出しきるためにも、せめて前日には身体をしっかり休めることが大切です。
(阪南大・総合情報学部 T・Sさん)

グループディスカッションでは「よい話し合い」を心がける

ここで、面接の発展形ともいえる「グループディスカッション」についてもご紹介します。

グループディスカッションでは、「グループでの議論を活性化させるために、その受験生がどんな働きをしたか」が見られています。
自分の意見を主張するだけでは、評価してもらえない恐れも……。
グループ全体で活発で建設的なよい話し合いができるように、以下の4点を心がけるのがオススメです。

  • 積極的に発言する。
  • ほかの受験生の発言をしっかり聞き、それを受けとめたうえで、次の発言をするように心がける。
  • 議論に参加できていない人がいたら、「○○さんはどう思いますか?」などと水を向け、全員で議論できるようにする。
  • 多くの場合は、時間内になんらかの結論や意見を出すことが求められている。時間配分に注意し、話し合いの結果をまとめる時間も確保する。

ディスカッションでは、リーダー役だけが評価されるわけではありません。
自分の発言と同時に、タイムキーパー役や議論がそれた時に元に戻す役などを担う役割を意識しながら参加することも、重要なアピールになります。

高校によっては、推薦入試受験者を集めて集団面接の練習を実施してくれる場合もあります。
また、友達同士で少し練習するだけでもわかることはたくさんあるはず。
お子さまがためらっていても、「せっかくの機会だから」と積極的な練習を促してあげてはいかがでしょうか。

合格した先輩の声

提示されたテーマについて討論するスタイルの面接がありました。ほとんど知識がない分野の内容だったのでかなり焦って、あまりよい発言ができませんでした。学校の先生と面接の練習をする時は、かなり幅広い内容について質問してもらうようにしておくとよいかもしれません。
(名古屋大・工学部 M・Kさん)

まとめ & 実践 TIPS

面接では、予想外の質問をされることも多く、完璧に対策をするのは難しいかもしれません。
とはいえ、志望理由をしっかり答えられるようにしておくなど、合格に向けてできることはたくさんあります。

保護者のかたも、受験生のお子さまに向けてできるサポートはたくさんあります。
まずは「模擬面接の相手をしようか?」「オンライン面接の接続確認、一緒にやらない?」などの声かけから始めてみませんか?
お子さまはご家族の協力によって本番対応力を身に付けるのと同時に、「家族が応援してくれているんだな」と安心感も得ることができるのではないでしょうか。

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