子どもが友人とのトラブルで悩んでいる様子……親としてどう関わるべき?
- 育児・子育て
新学期が始まり、学校行事の準備で急に忙しくなったり、部活の大会に向けてより練習がハードになったりと、あわただしく過ごしているお子さまも多いのではないでしょうか。
元気がない様子に「疲れているのかな?」と思いきや、実は人間関係のトラブルを抱えているケースも。高校3年生の引退で部活内の人間関係に変化があったり、行事の役割分担でもめたりすることもあるようです。
そんな時、保護者としてはどう関わるべきなのか、コミュニケーションの技術であるコーチングの視点で考えていきたいと思います。
この記事のポイント
1.基本的には子どもの世界に踏み込まない
いじめに遭っているなど深刻な場合は別として、お子さまにはお子さまの世界の人間関係があり、保護者だからといってむやみに踏み込むべきではありません。その問題はお子さま自身の問題。「これは大変!」と保護者のかたまで問題視してしまうと、余計にその「問題」しか見えなくなってしまいます。
コーチには「問題を問題視しない」という大原則があります。コーチが見るべきは問題ではなく、問題を乗り越えた先にある理想の状態です。保護者のかたがお子さまをサポートするコーチとして一緒に考えるべきは「どうすればそこにたどり着けるのか」であって、問題をどう扱うかではありません。
たとえばお子さまが、文化祭の準備で「時間がないから装飾を細かく作り込むのはあきらめよう」というクラスメイトの意見に反発して気まずくなっているとしたら、相手とのトラブルをどう解決するかではなく、「どんな文化祭になったら理想的か」を考えることが大切です。何が達成できたらその文化祭は成功したとクラスみんなで喜べるのか? そのために装飾に凝ることはどの程度必要だと思っているのか? 相手は凝った装飾をあきらめることでどんな結果を期待したのだろう? ……などと考えることで見えてくるものがあるはず。そうした「問題しか見えていないから気付けないこと」をさりげなく指摘してあげると、お子さまも自分がどうしたいのかわかってくるはずです。
2.「感情」を聴く
何が起こっているのか話してくれず、どうフォローしてよいのかわからないという場合は、さりげなく今の「感情」を聴いてみるのもおすすめです。「なんだか浮かない表情だけれど、今どういう気持ち?」などと声をかけてみて、話したくなったら聴く準備はあるよ、ということを伝えてあげましょう。
話を聴いてもらうことには多くの効能があります。その一つに「人は話しながら自分の考えていることに気付く」という点があります。自分でもなぜこんなにイライラ、モヤモヤしているのかわからない。そんな時に「誰が悪い」などの評価や「自分ならこうするのに」といった一方的な意見の押しつけなどをされることなく、自分が何を思っているのかを深める働きかけをしてもらえると、思考や感情を整理することができます。
保護者自身の意見も言いたくなるところですが、そこはぐっとこらえて「どうしてイライラするんだろうね」「本当はどうしたかったのかな」などと話しかけてじっくり聞いてあげてください。
また、話を聞く時の座る位置は向かい側ではなく横並びに座るとリラックスして話しやすいのでおすすめです。でも話したがらない時に無理強いするのは絶対NG。そっとしておいてあげましょう。
3.自分の失敗談を共有する
どうやら友人関係でトラブルを抱えているようだけれど何があったのか話してくれないという時に、「保護者のかたご自身の経験」を話してあげるという方法もあります。「すべての悩みは人間関係に帰結する」と言われるほど、人間関係というテーマは誰にとっても非常に重要なもの。だからこそ、うまくいかない状況を深刻にとらえて思い悩んでしまいやすいのです。
そこで保護者のかた自身が学生時代に友人との関係に悩んだ経験や、その時に感じた感情、大事にした価値観などを「私はこうだった」とあくまで自分の体験として伝えてみてください。「人間関係に悩んでいるのは自分だけじゃない」と思えるだけでもほっとするかもしれませんし、人の価値観に触れることで「そういう考え方もあるんだ」という気付きになることも。人の話なら客観的に聞くことができるので、自分自身のトラブルについても一歩引いて冷静に考えられるようになるきっかけになるかも。
親子でさえ違う価値観を持っているのだとわかれば、その相手のことももっと知りたいと自然と思えるかもしれません。
まとめ & 実践 TIPS
友人とのトラブルは本人にとって深刻な問題ではありますが、保護者にできることは基本的には見守ることと、話を聴いてあげること。そしてその前提として安心して悩んでいられ、必要な時は話せるという雰囲気をつくってあげることが大切です。
相手の価値観を知ろうとする姿勢や、考え方が違うなかでどう折り合いをつけていくかという柔軟性を身に付けることは、お子さまにとって大きな学びであり、今後の人生に必要な経験。見守りながら応援してあげたいですね。
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