「みんな持っているから」ゲームがないと可哀想?
- 育児・子育て
子どもにゲームを持たせるか持たせないか、どう使わせるか、どんなルールが良いのか……。迷いはいろいろ。保護者の意見が強すぎることも、時にはリスクになるようです。教育評論家の親野智可等先生に、親も子どもも納得しやすいゲームとの付き合い方を伺いました。
ゲームとの関係は一人ひとり違う
子どもとゲームの付き合い方でよく耳にする気がかりは、使用時間やゲームの内容、オンラインでのトラブルなどです。一方で、子どもがゲームをしないので、友達に仲間外れにされないか心配、まったく遊ばせないのも極端だろうか、など、使わせないことを心配するかたもいます。
どのような気がかりでもまず心にとめておくべきなのは、子どもにとってのゲームの価値は一人ひとり違うということ。純粋にゲームを楽しむ子もいれば、友達との共通の話題として楽しんでいる子もいます。ゲームの好みもそれぞれですし、ゲーム以外のことに夢中になっている子もいます。
また、どの程度自己管理ができるのかも一人ひとり違います。子どもが「友達もみんなしているから」と言ったとしても、親として子どもの個性や状況をふまえて対応を考える必要があるのです。
本人が欲しがっていなければ買わなくてよい
実際、多くの子どもたちにとってゲームは重要なコミュニケーションの手段であり、盛り上がる話題の一つになっています。子どもにも社会があり、保護者のかたの方針だからと一方的に押し付けることで子どもが生きづらくなってしまう可能性もあります。
かといって、子どもの希望を無条件に受け入れるのも、やはりリスクを伴います。子どもが「ゲームを買ってほしい」と言ってきたときは、初めに子どもの話をよく聞いて、なぜゲームがしたいのか、どんなゲームがしたいのか、どのように使いたいと思っているのかといった希望も具体的に把握しましょう。
学校で子どもが他の子とどのように付き合っているのかを見る機会があれば、ゲームの話題が多いのか、持ち寄って遊んでいるのかなどを遠目から見てみてください。保護者同士で情報交換をしてもいいですね。年齢が上がるとこうした機会は減りますが、子どもの話をさりげなく聞いたり面談で先生に様子を聞いたりして気にかけてみてください。
中には友達とゲームをするよりも他に楽しいことがある子もいます。こんな時、友達と話が合わないのではないかと気にかけるかたもいますが、グループ行動などの必要な場面でコミュニケーションがとれていれば大丈夫。本人が欲しがっていなければ、先回りする必要はないでしょう。
意見を伝え合うプロセスが大切
ゲームを与える場合は民主的に話し合いながら落とし所を探していくプロセスが大事です。ポイントは、
●子どもの気持ちや背景をきちんと聞く
子どもの話を聞くときは「そんなゲームがあるんだ」「面白そうだね」「友達と一緒に遊びたいのね」と、共感の言葉を返してあげると、子どもが本音を話しやすくなります。
●保護者のかたの気持ちや考えを丁寧に伝える
「勉強の時間が減ってしまいそうで心配だな」「課金のトラブルが怖いよね」など、具体的に、かつ保護者のかたの心配事として伝えます。「ゲームで勉強ができなくなる」「自分で管理できるようになってから(今は無理)」などの決めつける言い方は、子どもが自分を否定されたと感じてしまうので避けましょう。
●ルールは話し合いで決める
ゲームの使い方や使う時間などを決める時も、子どもの希望を聞きながら、親は大人の視点でこうしたほうがよいという考えを伝えましょう。オンラインで遊んだり見たりできる範囲を制限したり、ダウンロードや課金の際は親の許可を得たりすることは大切です。遊ぶ時間の長さ、時間帯も相談して決めてください。
決めたことはホワイトボードなどに書き出して、自然に意識できるようにするといいですね。
ゲームの話題を面倒なものにしない
ゲームを与えたあとも放任にせず、「そのゲーム人気あるみたいね」「お母さんもやってみたいな」などと声をかけ、子どもがゲームの話をしやすい雰囲気をつくりましょう。子どもからゲームの話が聞ければ、どんな楽しみ方をしているのかも把握できます。
ゲームを優先しすぎている、ルールが守れていないと感じる時も、「ダメじゃない」「だから言ったのに」と頭ごなしに叱らず夢中になってしまう気持ちには理解を示して。そのうえで、もう一度話し合い、納得できて実行できるルールを考えてもいいでしょう。
親子の間にゲームの話ができる信頼関係があると、オンラインゲームなどでの課金やネットトラブルなどが起こった時も、子どもがすぐに親に相談することができます。こうしたトラブルは、大人に相談できない間に問題が大きくなるので、日頃の関係性がとても重要になるのです。
まとめ & 実践 TIPS
子どもの気持ちと親の考えに差が生まれやすいゲームの話題。でも、好きなことを否定的にとらえられると、子どもは聞く耳を閉ざしてしまいます。子どもの気持ちを受け止めながら「悪いものではないとわかっているけれど心配」というスタンスで話をしてみて。お互いの考えや気持ちを共感的に伝え合うプロセスで、トラブルの種を早めに摘める関係性も築いていくことができますよ。
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