キモい、きたない…人を傷付ける言葉への対策は?

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人を傷付ける可能性のある言葉は、我が子には使ってほしくないし、もしも言われてしまったらと思うと不安になりますね。
ネガティブな言葉を使わないように促すため、言われてしまった時に子どもを守るためにできることを、教育評論家の親野智可等先生にお聞きしました。

この記事のポイント

傷付ける言葉を遠ざけるためにできること

子どもや友達の口から「キモい」「きたない」といった言葉を聞いたらドキッとしますね。
そしてこの時、保護者のかたには2つの心配が頭をよぎるのではないでしょうか。

1つは我が子がその言葉を使って誰かを傷付けてしまわないかという不安。もう1つは、我が子が誰かに言われて傷付いてしまわないかという不安です。

誰かに対してネガティブな言葉を発する理由は、子どもの年齢や友達との関係性などでさまざまです。
強い言葉を使ってみたいという欲求だったり、じゃれつくような感覚の面白半分だったり、本人には悪気がない場合もあるでしょう。

けれど、言葉を使う側の意識がどうであれ、言われて嫌な言葉であること、言った相手を傷付ける可能性があることは変わりません。

我が子に対しては、そうした言葉について使うべきでないと伝えていく必要がありますし、誰かから言われて傷付くことからも守らなければなりません。
そのためにできることを考えてみましょう。

相手への思いやりには親子関係が影響する

実は、いじめにつながる言動を抑止するのにも、そうした言葉から自分を守れるようにするのにも、根は同じ「親子関係の安定」が重要です。

親子関係が安定している子は、相手に対してひどい言葉を使うことをためらいます。
相手の気持ちを考える余裕があり、不用意に傷付けたくないという思いやりもあります。

一方で、親子関係に満たされないものを抱えていると、周囲の人に対して落ち着かない気持ちをぶつけやすくなります。

これについては「子どもが自分以外の人へのいじめに遭遇した時、親子関係が良いと感じている子どもほどいじめを止めようとするのに対し、親子関係が悪いと感じている子どもほどいじめを増大させようとする」という研究データもあります。

普段の生活の中で子どもとの関係を良いものにしていくよう意識しましょう。そのために大事なのは、否定的な言葉をやめて肯定的で共感的な言葉で接することです。また、子ども本人がやりたがることや好きなことを応援してたくさんやらせてあげることです。

会話を通して「よくない言葉」をイメージさせる

子どもに使ってほしくない言葉を伝える時も、一方的にならないように気を付けましょう。

特に「そんな言葉を使う子は好きじゃないよ」という言い方は避けるべきです。
これは、子どもが「そういうことを言わないよい子でなければ愛さないよ」と条件を付けられたように感じてしまう可能性が高いからです。

子どもはいつでも無条件に愛されたいし、家族は何があっても自分のことが好きだと感じたいのです。

子どもは言葉に敏感なので「好きじゃない」という言葉には要注意です。
それよりも、嫌な言葉を言われた側の気持ちを想像できるようにしてあげるといいでしょう。
たとえば、「お母さんだったら、その言葉を言われたら悲しくなるな」とか「妹が誰かにそういうことを言われたら、あなたはどう感じる?」などと問いかけてみましょう。
こうした問いかけは、自分が言われたと仮定するより客観的にイメージしやすくなります。またはテレビなどでネガティブな言葉による笑いが起きている時に、「みんな笑っているけど、嫌な気持ちになることもあるよね」などと伝えてもいいでしょう。
「お母さんだったらその言葉は言われたくないな」というメッセージや「家族がそう言われていたらどう感じる?」という問いかけは、自分が言ったり言われたりするよりも客観的にイメージして言葉の意味を考えられます。

テレビなどで、ネガティブな言葉で笑いが起きている時に「テレビではみんな笑っているけど、嫌な気持ちになることもあるよね」などと伝えてもいいでしょう。

家族の愛情がネガティブな言葉から子どもを救う

親子関係が安定していることは、子ども自身を守るためにも重要です。
心ない言葉に傷付いた時、家族を信頼できなければ、それを一人で抱え込んでしまうでしょう。
でも、信頼関係があり、早い段階で嫌だったことを伝えて気持ちを受け止めてもらえれば、それだけでも少しは子どもの気持ちが救われます。

嫌な経験は言いたがらない子もいるので、会話の受け答えや表情から「いつもと違うな?」と感じた時は、注意深く様子を見て、ゆったりした時間をつくり、なんでも話してねというメッセージを伝えましょう。
無理に問いただすと逆効果になることもありますので、子どもが安心して話しやすい雰囲気をつくっておくことが大切です。

そして、子どもが話し始めたら途中で意見をはさんだりせず、共感たっぷりに受け止めながら本人が満足するまで話を聞きましょう。
そうすれば親もより詳しく状況を知ることができ、的確な対応を取りやすくなります。
いじめに発展してしまうのを防ぐため、場合によっては先生に相談するなどの対応もできるでしょう。

なにより、真剣に自分に寄り添って考えてくれる保護者のかたの姿を見て、子どもは家族が自分を受け止め、守ってくれるという安心感を得ることができるのです。

まとめ & 実践 TIPS

ネガティブな言葉と、まったく無縁でいることは難しいもの。安定した親子関係を築くことで、誰かに言ってしまうリスクを減らし、言われてしまった時にも安心して相談できるようにしておきましょう。

プロフィール


親野智可等
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・『子育て365日 親の不安がスーッと消える言葉集』(ダイヤモンド社)
・『反抗期まるごと解決BOOK』(日東書院本社)


長年の教師経験をもとに勉強法・家庭教育・親子関係などについて具体的に提案。
Instagram、Threads、X、YouTube「親力チャンネル」、Blog「親力講座」、メルマガなどで発信中。ドラゴン桜の指南役としても著名。最新刊『子育て365日』などベストセラー多数。全国各地の教育講演会でも大人気。詳細は「親力」で検索

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