小学校の年間学校行事(イベント)一覧! 「5つの内容」と傾向、コロナ後の変化も

  • 教育動向

学校行事は、お子さまにとっても保護者にとっても楽しみなもの。
保護者世代にもなじみのある入学式・始業式・終業式・授業参観などはもちろん、近年ではユニークな行事も見られます。また、コロナ禍や時代の変化を背景とした行事の在り方の変化も。どのような学校行事があるのか、どのような背景をもとに、どのような変化が見られるのかについて、20年近くの公立小学校教員経験を持つベネッセ教育総合研究所 教育イノベーションセンターの庄子寛之主任研究員に聞きました。

小学校の年間学校行事(イベント)一覧

この記事のポイント

小学校の学校行事一覧

小学校の学校行事一覧

学年の始めに受け取る学校行事一覧表。普段の授業とは異なる特別な活動ですので、楽しみにしているお子さまも、少し不安になってしまうお子さまもいることでしょう。

一般的には、以下のような学校行事があります。

【小学校の学校行事一覧(例)】

(4月〜夏休み)
 ・始業式
 ・入学式
 ・身体測定
 ・春の遠足
 ・授業参観
 ・運動会(5〜6月開催の場合)
 ・プール開き
 ・終業式
(9月〜12月)
 ・始業式
 ・避難訓練
 ・授業参観
 ・運動会(秋開催の場合)
 ・秋の遠足
 ・学習発表会
 ・交通安全教室
 ・大掃除
 ・終業式
(1月〜3月)
 ・始業式
 ・書き初め大会、カルタ大会など
 ・校外学習
 ・授業参観
 ・卒業式、修了式
 ・終業式

保護者にとって、学校行事は書類や必要な持ち物を準備したり、お弁当を用意したりと忙しくなる日。同時に、保護者も観覧できる運動会や学習発表会などは、成長した我が子の姿を感じられる大切な日です。

どの時期に何をやるかは学校ごとに計画されるものの、4月には始業式・入学式・身体測定、学期末には終業式、3月には卒業式といったように、多くの学校で共通する場合もあります。行事一覧表が配られたら、カレンダーに予定を登録しておけるといいですね。

小学校の学校行事の目的と「5つの内容」とは?

小学校の学校行事の目的と「5つの内容」とは

さまざまな学校行事がありますが、どのような目的で開催されるのでしょうか。学習指導要領で定められた「5つの内容」と併せてご紹介します。

学校行事の目的

行事に向かって計画を立てたり、クラスメートと準備をしたりしていくことで、次のような幅広い力が身に付きます。これらの力を養成することが、学校行事の大きな目的の一つです。

 団結力
 協調性
 コミュニケーション能力
 自己表現力
 発表力
 リーダーシップ

学校行事では、先生の指示に従うだけでなく、仲間と協力することや、自分たちで工夫して取り組むことが求められます。これらをとおして、団結力や協調性が磨かれていくでしょう。また、学芸会や学習発表会で大勢の人前に立つことは、授業で発表するのとは異なる緊張感や難しさもあります。だからこそ、自己表現力が磨かれるでしょう。

このような学校行事をとおして身に付く力は、成長を支え、豊かな人生を築いていくために必要な非認知能力につながるものといえます。

学校行事の5つの内容

学習指導要領では、学校行事を5つの内容に分類しています(※1)。

(1) 儀式的行事(入学式・始業式・終業式・卒業式など)

学校生活に変化や折り目をつけ、厳粛で清新な気分を味わい、新しい生活をするきっかけになる行事

(2) 文化的行事(学習発表会・音楽会など)

普段の学習成果を発表して自己向上の意欲を高めたり、文化や芸術に親しんだりする行事

(3) 健康安全・体育的行事(身体測定・運動会・避難訓練など)

心身の健全な発達や健康の保持増進、事件・事故・災害から身を守るための行動、ルールに基づいた集団行動の体得、運動に親しむ態度の育成、責任感や連帯感を養う、体力を向上させるなどの目的のために行う行事

(4) 遠足・集団宿泊的行事(校外学習・遠足・修学旅行など)

自然の中での集団宿泊など、普段と異なる生活環境で学び、自然や文化に親しみ、集団生活の仕方や公衆道徳などについて体験する行事

(5) 勤労生産・奉仕的行事(学校行事の準備・大掃除など)

勤労の尊さや生産の喜びを体得し、ボランティア活動などの社会奉仕の精神を養う体験をする行事

お子さまと一緒に学校の行事一覧を見ながら、どんなことを目的としている行事か話し合ってみると、前向きな気持ちになりにくい行事も面白く感じられるようになるかもしれませんね。

アフターコロナや働き方改革による学校行事の変化も

アフターコロナや働き方改革による学校行事の変化も

学校行事は、保護者の時代から変わらないものもあれば、時代の変化を背景に形を変えているものもあります。特に、コロナ禍は学校行事の在り方に大きな影響を与えました。
2020年から2021年は、新型コロナウイルスの感染防止の観点から、多くの学校行事が中止や延期に。その後、行事は復活しているものの、時間の短縮やプログラムの見直しなど、コロナ禍以前とまったく同じとはいかなくなっていることも少なくありません。

他にも、働き方改革やデジタルツールの活用など、さまざまなことを背景に次のような変化が見られます。

運動会・体育祭のコンパクト化

小学校の運動会は、午前中で終わるケースが多くなっています。中学校では、1日かけて開催されるケースも少なくありませんが、コンパクト化は進んでいます。また、自分の学年のプログラムや自分が出場する種目の時だけ校庭に出て、それ以外は教室に待機というケースなども見られます。入場行進も簡素化が進んでいます。

コンパクト化の理由は、感染対策に加え、熱中症対策が挙げられます。運動会は5、6月に開催されるケース、9、10月に開催されるケースが多いですが、いずれも暑いことが多いもの。体への負担を考慮してのことです。

保護者の観覧に関しても、出場学年ごとの入れ替えを行うケースや、事前の場所取りを認めないケースも。午前中で終わることが多いので、家族でお昼をとるという光景も少なくなっています。また、お昼を挟む場合であっても、子どもは教室で親と別々に昼食をとるということが多くなっています。

また、学校の枠を超えた地域の合同運動会なども少なくなってきています。

学芸会の減少

学芸会をやらない学校も増えてきています。肌感としては、半数ほどの学校で開催していません。学芸会を単独で開催するのではなく「学習発表会」といった名称で音楽会や展覧会などとまとめるケースも多くなってきています。

この背景には、教員の働き方改革の影響や授業時間の無理のない確保といった狙いがあります。行事は授業時数に入らないため、行事が多くなればなるほど、代わりの授業時間を確保していかなければならなくなります。教員にも生徒にも負担がかかる可能性があるため、行事を簡略化することが増えています。

宿泊行事の変化

修学旅行やキャンプといった宿泊行事では、タブレットを持っていく学校が増えています。一人1台とはいかずとも、班で1台といった形で持参し、写真や動画を撮影して、学校へ帰ったあとに活動報告としてまとめるといった取り組みも見られます。

また、決められたプログラムを体験するのではなく、自分たちで主体的に行く場所や活動を決めるといったケースも、特に中学校で増えています。「探究的な学習」の一環として宿泊行事を位置付ける学校もあります。

オンラインの活用

行事へのオンライン活用も進んでいます。学校行事や説明会などをオンライン配信するというケースだけでなく、オンラインを活用して他校と合同の行事を開催するというケースも見られます。近隣の小さな学校を数校をオンラインでつないで、合同で学習発表会を開くということもあります。

保護者世代にはなかったプログラムや面白い学校行事も

保護者世代にはなかったプログラムや面白い学校行事も

保護者の時代には見られなかったプログラムや、ユニークな取り組みを行っている学校も出てきています。まだまだ一般的ではないケースもありますが、時代の変化を背景に今後広がっていく可能性もあるものをいくつか紹介します。

1つ目は、いわゆる普通の種目がない運動会を行っているケース。運動会では「徒競走」「団体競技」「団体演技」を行うことが多いですが、これらを組み合わせた独自のプログラムを行っている学校があります。たとえば、団体競技と団体演技を組み合わせた「ソーラン節綱引き」。ソーラン節の音楽が流れている間はソーラン節を踊り、音楽が止まったら綱引きを行います。

こういった取り組みは、先ほどもご紹介した運動会のコンパクト化の工夫から生まれています。「徒競走」「団体競技」「団体演技」をすべての学年で行っていると午前中だけではおさまりません。そのため、組み合わせでユニークなプログラムを生み出したというわけです。
また、保護者世代にとっては運動会の定番だった組体操や騎馬戦が危険性などの面から見直されていることも新しいプログラムの誕生に関係しています。
また、きれい・かっこいいだけじゃないダンス大会。「健康安全・体育的行事」に分類される行事で、子どもたちが自分で振り付けを考えたり、おかしな動きも取り入れたりしながら創作とダンスの両方を楽しむものも見られます。

他にも、学校で育てた作物を調理して皆で食べる収穫祭。また、通常の運動会であっても、児童の多くが外国にルーツを持つ小学校では多様性を理解するために民族衣装をまとって運動会を行うなど今の社会で学ぶべき大切なことに触れる学校行事も開催されています。

まとめ & 実践 TIPS

どのような学校行事をいつ開催するかは、それぞれの学校の個性でもあります。「これは何を目的とした行事かな?」と考えてみると、お子さまの学校の方針や大切にしていることが、よりはっきり見えてくるかも。保護者のかたの時は、こんなふうにやったんだよと違いを話してあげるのもいいですね。
また、学校行事がコンパクト化すると行事で育成される力が十分に伸びないのではないかと心配に思われる保護者のかたもいらっしゃるかもしれません。お子さまの興味・関心に合わせて無理のない範囲で習い事などでフォローしてあげられるといいですね。

出典:
※1
小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 特別活動編|文部科学省

プロフィール


庄子寛之

公立小学校の教員を20年近く務めた後現職。
臨床心理学科を修了し、人をやる気にさせる声かけや環境づくりを専門とする。
全国各地で研修を行い、研修回数は400回を超え、受講者も1万人以上となる。

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