E判定や不合格をどう乗り越えた?元受験生100人超に聞いた逆境からの5つの合格戦略

  • 大学受験

大学入試本番が近づく中、ピンチやスランプに苦しんでいるお子さまもいらっしゃるのではないでしょうか。

模試でE判定を取ったり、受かると思っていた推薦入試で不合格になってしまったり……我が子が逆境に直面して辛いときには、胸が痛みます。
そこで、逆境を乗り越えて合格をつかみ取った元受験生の先輩のエピソードから見えてきた5つの合格戦略を紹介します。

※この記事では、大学入試の学校推薦型選抜・総合型選抜を「推薦入試」として記載・紹介しています。

この記事のポイント

苦手科目、得意科目ごとに勉強戦略を立てる

思わしくない結果が出たときは、計画の立て直しや丁寧な挽回戦略が必要です。逆境を乗り越えた先輩からは、自分の得意科目や苦手科目、分野ごとに勉強戦略を見直したという声が多く寄せられました。
苦手対策に重点を置いた先輩、得意を伸ばして苦手をカバーしようとした先輩など戦略はそれぞれ。戦略ごとに実際の声をご紹介します。

苦手を集中対策

  • 共通テスト直前の最後の模試でも志望大学がE判定で、冬休みに共通テスト対策の総仕上げをして挑んだが共通テスト直前の模試でもC判定。しかし苦手だった化学を徹底的に対策して、学校の化学の教材を完璧になるまで毎日復習していたら安全校として受けた私立の入試では7、8割取ることができて自信になった。第1志望の国立の入試でも比較的いい点を取ることができ合格できた。(名古屋工業大学・工学部・1年・S.N先輩)
  • 12月の模試で判定が下がってしまい自信もどんどん下がっていってしまっていたが、得意分野はもう大丈夫と言い聞かせ軽い復習だけにし、苦手分野に集中した勉強をした。その次の模試、共通テスト本番ではよい点を獲得でき、難しいだろうと言われていた共通テスト利用入試で合格することができた。(明治大学・情報コミュニケーション学部・1年・S.S先輩)

得意を伸ばす

  • 模試でC判定以上を取ったことがなかったが、必死に苦手科目はもちろん、得意科目を伸ばすことを意識して勉強したら合格することができた。(専修大学・人間科学部・3年・S.S先輩)

苦手に集中しつつ、得意は要点を絞った対策

  • 受験勉強が本格的になる前の5月から最後の模試までずっとC判定から上がらなかった。がんばっているはずなのに何も変わらないことが悔しかったが、苦手な数学は20年分の過去問から基本問題を中心に解きまくり、得意な国語は5年分、英語は苦手な自由英作文と和文英訳の設問だけを10年分ほどと要点を絞って解きまくると合格できた。(大阪大学・経済学部・1年・N.S先輩)

苦手と得意のどちらに重点を置くかやバランスの取り方は、時期や実際の得点具合、過去問との相性などを踏まえて考えられるとなおよいですね。苦手克服で取れる点数と、得意を伸ばすことでプラスできる点数はどのくらいかも具体的に考えて。本番までの時間が限られている中だからこそ、最も効果的に点数が取れる戦略を立てることが大切です。迷う場合は、先生にも相談してみましょう。

過去問対策を工夫する

受験本番で力を発揮するには、過去問に取り組むことも効果的な対策のひとつ。先輩たちからは、ただ過去問を解くだけでなく、1点でも高い点数を取るために工夫して過去問に取り組んだとの声が多数寄せられています。

  • 今通っている大学は、ずっとD判定、よくてC判定という感じで、正直合格できるとは思っていませんでした。しかし、ただ勉強するだけでなく、自分が一番ベストを尽くせるような時間配分、問題を解く順番なども何度も試行錯誤したことで、本番では過去最高点を出すことができました。(早稲田大学・先進理工学部・1年・E.M先輩)
  • 共通テスト本番の点数が、「ゼミ」や市販の予想問題や模試と比較してかなり悪い点数だった。しかし、個別試験本番までに志望大学の『赤本』を繰り返し解くことによって、本番当日は過去問以上に手ごたえがよく、成績上位者に入ることができた。(東京薬科大学・薬学部・2年・M.H先輩)
  • 推薦入試で落ちたうえに、面接や小論文などの対策ばかりしていたせいで学力は右肩下がり、何度模試を受けてもE判定で、11月になっているという時間のなさに絶望し、志望大学を下げようとしました。でも、過去問を解いてみるとあれ、意外と点数取れる? ということに気がつき、まだ間に合う!! と思って最後の最後まで必死に勉強。好きなアーティストの曲に励まされながら何とか駆け抜けました。(立教大学・観光学部・2年・Y.K先輩)

過去問対策においては、ただ解くのではなく、時間配分や解く順番を考えながら解いたり、繰り返し解いたりすることが大切。
先輩の取り組み方を参考に、計画的に取り組んでいけるといいですね。

先生や友達、家族の力を借りてチーム戦で臨む

E判定や不合格を突きつけられると、弱気になってしまうことも。

だからこそ、先生や友達、家族の力を借りて乗り切ったという先輩も多いようです。添削などの勉強面で力になってくれることはもちろん、メンタル面でも大いに勇気づけられるでしょう。

先生に添削をお願いする

  • 共通テストの点数が悪く、試験後の第1志望の国立大学の志望校判定はEだった。ダメだと諦めかけたが、その学部に合格したいという強い思いから、小論文を書いては学校の先生や赤ペン先生に添削してもらうのを繰り返し、何度も書き直した。後期日程がなかったためあとが無かったが、前期日程で何とか合格することができた。くじけそうになった時は大学のパンフレットを見て自分を奮い立たせていた。(和歌山大学・観光学部・3年・A.M先輩)

友達と一緒に乗り切る

  • 学校で行う模試ではなかなかいい判定が出ず、直前の判定も第1志望はD判定だった。受験本番まで学力は伸びると信じて勉強を続けた。過去問に手も足も出ないようなこともあったが、挫けずに続けた結果、第1志望に合格することができた。同じ志望大学の友人と一緒に切磋琢磨することができたことが志望大学を変えずに勉強できた一つの理由だと思う(千葉大学・工学部・1年・Y.S先輩)
  • 私の受けた年は共通テストはかつてないほど難しく、思っていたような点数が取れず落ち込んだが、二次試験で巻き返せるよう約1か月必死に勉強した。二次試験も想像以上に難しく倍率が5倍だったこともあり落ちたと思ったが、合格できた。自習室を使って勉強をしていたが、友達も一緒だったから励まし合って最後までがんばることができたと思う。(熊本大学・薬学部・2年・H.T先輩)
  • 模試で悪い結果が出てしまったとき、周りの先生は「まだ諦めるな」と励ましの言葉をかけてくれるが、本当にその通りです。模試のE判定なんて所詮データに過ぎないし、受験生の半分以上はE判定を受けた人なのだから、諦めなければきっと合格すると胸に刻み続けて勉強を続けました。また、悩みがあれば自分で抱えず、友達や先生に頼ることも大切だと思います。他人の新たな視点も見つけられます。本当に「受験は団体戦」です。(大阪公立大学・経済学部・1年・T.S先輩)

家族のサポート

  • ずっとE判定だったのが共通テストでC判定にまでなったにもかかわらず、毎日進学指導の先生から面談で「合格は厳しいだろうから志望校を変えては」「A判定の公立校を受けたほうがよい」とすすめられていたが、母が小論文の対策本や新聞記事を探してくれていたり塾講師の姉が効率の良い対策方法などを教えてくれたりなど家族だけが合格を信じてくれていたことが励みになって一般選抜で合格することができた。(福島大学・人文社会学類・2年・A.Y先輩)

受験本番は一人で臨むもの。でも、受験勉強はチーム戦で臨むほうが成果も出しやすく、モチベーションを高く維持し続けることができます。家族が合格を信じてくれたことが励みになったとの声もうれしいですね。

結果を深刻に受け止め過ぎない

「模試の悪い結果は、あくまで受けた時点での結果」と深刻に受け止め過ぎないマインドが大切との声も多く寄せられていました。

受験勉強をうまく進めていくには、モチベーション管理も重要です。結果は結果として受け止め、いかに気持ちを切り替えていくかについて、多くのエピソードが寄せられました。

  • わたしは高校3年の春までE判定で、夏休みが明けてからようやくD判定になった。模試は返ってくるまでに何か月かかかるので、返ってきたときの結果が今の自分の実力だと思ってしまうけれど、模試を受けたときよりも今のほうが実力が伸びていると信じてがんばった。結果、第1志望の大学に合格することができた。(南山大学・総合政策学部・1年・T.M先輩)
  • 模試の判定がたとえE判定だとしても、結局合否を分けるのは本番当日の試験なので、「まだ模試だ亅とあえて開き直って自分ができなかった問題は自分を志望大学に合格させてくれるパズルのピースのように考えて一問一問丁寧に復習した。(愛媛大学・工学部・1年・T.A先輩)
  • 模試で第1志望はほぼE判定だったが、周りの人もそうだと信じて勉強していた。判定よりもどの問題ができなかったかを見るために模試を受けていると思い込む気持ちでやっていた。(早稲田大学・法学部・1年・A.K先輩)
  • 共通テスト本番で思ったように実力を発揮できず、第1志望はE判定でした。そのときは、とても絶望し、数日間落ち込んでいました。しかし、担任の先生から、第1志望校の去年の合格者の判定の分布表を見せられて同じE判定の人でも二次試験で挽回して合格した人がいるということを教えてもらったことで、もう後悔しないように二次試験をがんばって勉強しました。その結果、第1志望校に合格することができました。(東京都立大学・都市環境学部・1年・S.F先輩)
  • 入試前最後の大学別模試でE判定だったが、友人は同じ模試でA判定を取っており、悔しくて、負けたくないと奮起して勉強した。それまでにやってきたことに自信があったので、その悪い判定のことをずっと引きずって落ち込むということはなく、「自分は絶対受かる」と最後まで諦めなかった。(東北大学・教育学部・4年・S.T先輩)
  • 推薦入試も前期試験も不合格を取ってしまい絶望したけれど、大学には行きたかったので後期の勉強を諦めずに続けていたら合格して、なんとか大学には入れました。(弘前大学・人文社会学部・1年・Y.Y先輩)

模試の判定は、結果に一喜一憂するよりも、間違えた問題を克服するほうがより重要。模試は重要だけどあくまで模試であり本番ではないから、覚悟を決めて今できる勉強をするというマインドセットも必要です。こういった前向きな割り切り、冷静な態度が、受験本番でも焦りを起こさないことにつながるでしょう。

志望大学や入試方式を変更

ときには、志望大学や入試方式の変更を考えることも必要です。結果が悪かったからとただ志望校を変えるだけなのは避けたいところですが、実力や可能性、大学に入ってからも納得して通えるかなど総合的に踏まえて決断することは、消極的な逃げではなく積極的で前向きな選択です。
また、タイミングが間に合うのであれば、選択肢に入れていなかった入試方式を検討することも有効です。

  • 模試ではDやC判定でしたが総合型選抜の対策をしっかりしたことで総合型選抜で合格しました。(香川大学・農学部・1年・N.T先輩)
  • 志望大学の変更でかなり気持ちが楽になった。学費面からずっと国公立の薬学部を志望していたが、日常のストレスもあって勉強がうまくいかず、結局高3の夏の共通テスト模試で、このままでは国公立が厳しいとなった。そこで指定校推薦を取ろうと決断。今まで定期テストはがんばっており評定はかなり持っていたため、大きな不安はなく無事推薦の枠をもらうことができた。(京都薬科大学・薬学部・1年・N.I先輩)
  • 共通テストで目標点に届かず、志望大学を急きょ変更しました。変更したといっても共通テストはC判定、二次試験の前のテストはD判定という受かるかどうかぎりぎりの大学を受験しました。私立の入試が終わってから6年分の過去問を2周して一応合格できました。受験期でしたが、大学のパンフレットを見て、行きたいな、がんばろうと思えるようにしていました。(奈良女子大学・文学部・1年・A.U先輩)

まとめ & 実践 TIPS

E判定や不合格に直面すると、お子さまは不安に駆られて動揺してしまうものです。
保護者としては、弱気になってしまいそうなお子さまの気持ちに寄り添いつつも、「まだまだここから」と諦めずに前を向けるようなサポートをしてあげたいですね。
そのためには、保護者も結果に一喜一憂せずに、今回ご紹介した実際の先輩の声も例に挙げながら「あなたならできるよ」というメッセージを送ってあげてはいかがでしょうか。
自分を信じてくれている保護者の姿を感じることは、お子さまにとって何よりのエールとなるはずです。 

※記事内で紹介した体験談は2023年度10月に実施した「進研ゼミ高校講座」先輩大学生147名への「大学入試の逆境の時をどう乗り越えたかについてのアンケート」より。

プロフィール


谷本 祐一郎

1985年、岡山県生まれ。2007年、(株)ベネッセコーポレーション入社。
九州支社にて、大分県・熊本県・宮崎県の高校営業などを担当し、2016年より東北支社にて学校担当の統括責任者。2019年より現職。講演会・研修会の実績も多数。現在は、大学入試の分析、教育動向の読み解きや、全国の高校教員向けの各種セミナーを企画し、情報発信を行っている。2021年度より島根県総合教育審議会委員を担当。
https://benesse.jp/expert/10008.html

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