英語の授業の「好き・嫌い」は、小学校から高校卒業まで変化する 保護者は何をしたらいい?

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保護者のかたは学校での英語の授業が好きだったか、嫌いだったかと尋ねられると、どのように答えられるでしょうか。その答えは、好きだった、嫌いだったという単純なものではないかもしれません。ベネッセ教育総合研究所が東京大学社会学研究所と共同で行った、子どもを対象とした英語継続調査からも同じようなことがわかりました。

この記事のポイント

英語の授業の「好き・嫌い」は小学校から高校卒業まで変化する

小6~高3の7年間にわたり、同じ子どもに計5回「英語が好きかどうか」を尋ねた結果、5回とも「英語が好き」(「とても」「まあ」)と回答し続けた子どもは約3割、「好きではない(「あまり」「まったく」)と回答し続けた子どもは1割未満、残りの約6割の子どもは5回の回答が一定ではありませんでした。この結果から、半数以上の子どもの英語の授業の「好き・嫌い」は変化するものであり、「好き」が「好きではない」、「好きではない」が「好き」に変わることがあるとわかります。

出典:東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所「高3生の英語学習に関する調査<2015-2021継続調査>

高校卒業時に英語を好きだった生徒の最も印象に残っている英語経験とは?

高校卒業後も英語学習を行う可能性はあるでしょう。好きな気持ちで学習するほうが効果は高いと考えられますので、できるだけたくさんの生徒に英語を好きな気持ちを持って高校を卒業してもらいたいと思います。では、英語を好きな気持ちを持って高校を卒業した生徒は、高校生の時にどのような英語経験をしていたのでしょうか。先ほどの調査の中で「これまで(幼い時から高校卒業まで)英語や外国に関わる経験のうち、最も印象に残っている経験について教えてください」という質問を高3調査の時に行いました。そこで高校生の時の経験について書かれたものの一部を紹介します。(記述は原則、回答をそのまま記載しています。)

1 日本を紹介する・外国のことを知る

  • ・学校内のボランティア活動で海外の日本語学校の先生方に対して日本文化を紹介し、他国の文化を教えてもらった経験。
  • ・学校外の、国際交流プログラムでフィリピンに行ったとき、自分は予想以上に英語を話せるのだ、と嬉しい気持ちを味わった。また、別のプログラムでアジア各国の高校生と交流した時、日本の文化が広く伝わっていたため、驚くとともに、海外に視点をおくことで客観的に日本を見て、誇れるようになった。

2 自分のことを伝える

  • ・英検の面接の時に、最後の会話までは、うまくいかなかったのですが、最後の質問で自分の好きな花の花言葉を英語で言えたときは、なんだかうれしく思えました。
  • ・瀬戸内国際芸術際に参加したとき。外国の方に自分が担当している作品がてん示されている場所を英語で説明したり案内したりすることに苦労した。

3 自分が興味を持ったものから視野を広げる・価値観に影響を受ける

  • ・英語の授業で、貧困問題をかかえている国の人々が、栄養失調や病気でくるしんでいる姿を映像で見て、自分がその人々に対して、何もできない無力さを感じ、くやし涙をながしたこと。私は将来、そのような人々のために、やくにたちたいと思った。
  • ・高校で夏休みに行われたエンパワーメントプログラムに参加した。海外の優秀な学生や日本への留学生と英語で交流したり、世界の問題についてディスカッションを行い、自分の英語力が上達した他、様々な国籍の人と関わる中で、自分の視野や価値観が広がった。

別の記事でご紹介しましたが、最も印象に残っている小中学生時の英語経験は、英語が通じたこと、わかったこと、楽しかったこと、うれしかったことなどでした。それが高校段階になると異文化交流、自分のことを伝える、社会の課題に目を向けて視野を広げる、価値観に影響を受けるなど、自分と他の人や外の世界をつなげる経験が出てきます。すべてがうまくいった経験ばかりではなく、英語でうまくできずに苦労したことや悔しかったことも記載されています。気持ちのうえでネガティブだった経験からも、次にやりたいことを考えたり、英語学習をもっとがんばる原動力にしているものがあり、子どもたちのたくましさも感じられます。

参考:ベネッセ教育情報サイト「最も印象に残っている小中学生時の英語経験とは?-高3生の振り返りから考える、家庭で応援できることとは?」

お子さまの学習の好き・嫌いに関して、保護者のかたにやってみていただきたいこと

英語の「好き・嫌い」は変化すること、高校卒業時に英語が好きと回答した生徒の印象に残っている英語経験から、保護者のかたにやってみていただきたいことを紹介します。

1 学習の好き・嫌いは変化するものとして、お子さまが楽しい・悔しいなど、感じたものを聞いてみる

今回紹介した調査では、半数以上の子どもの英語の授業の「好き・嫌い」とともに「得意・苦手」も変化することがわかっています。保護者のかたは、好き・嫌いや得意・苦手は、一度そうなってしまうと変わらないものと思わず、英語の学習でお子さまが楽しい、うれしい、面白い、困った、悔しかったと感じたものを具体的に聞いてみたりしてください。そこからお子さまの英語への気持ちや学習がポジティブな方向に向かうことも期待できます。そしてこれは英語に限らずすべての学習においてやってみていただけることかもしれません。

2 学校の教科書で扱っているテーマや内容について興味のあったものを話し合ってみる

高校卒業時に英語を好きであった生徒の印象に残っている英語経験から、英語で取り扱う内容(日本や外国の文化、好きな花言葉、自分の芸術作品、貧困などの世界規模の問題など)が「英語が好き」に影響を及ぼしていることが考えられます。英語に限らず、学校の教科書ではさまざまなテーマや内容が扱われています。どんなものがあるか、それをどう思ったか、お子さまと話してみてください。お子さまの興味や関心の思わぬものが垣間見られるかもしれません。また、これは高校段階まで進まなくても、お子さまが小学校段階からやってみていただけることだと思います。

一生学び続けることが求められる社会を生きていくにあたり、楽しいこと・うれしいこと・悔しいこと・苦しいことなどを経験しながら、お子さま一人ひとりが自分の興味を広げ、関心事への意識を高め、学び続けていけるよう応援していきましょう。

プロフィール

加藤由美子

お子さまに関するお悩みを持つ
保護者のかたへ

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