【中学生の家庭学習】勉強する習慣の付け方と保護者がすべきフォロー

  • 学習

小学校時代と違い学習速度が早く、学習内容の定着に自主的な勉強が欠かせなくなるのが中学校です。我が子に家庭学習の習慣がないと心配になりますよね。

家庭学習の習慣は小学校時代につけるのが理想とされていますが、中学校に入ってから習慣づけすることも可能です。

中学校に通う子どもが、家庭学習の習慣をつけるために、保護者ができる工夫について紹介します。

この記事のポイント

中学生の家庭学習が重要な理由

小学校から中学校に進学すると、授業の内容やスピード、人間関係、学校生活などあらゆることが変化します。特に、大きな変化となるが学習面。次の3つの変化により、家庭学習で学習内容の理解と定着を図ることが欠かせないものとなります。

学習・学校生活での環境の変化

中学生になると、小学生のころとは環境が大きく変化します。たとえば、次のような変化が挙げられます。

学習面の変化

・学習内容が増える
・学習内容が難しくなる
・授業スピードが速くなる
・定期テストが始まる
・高校入試の準備が必要になる

学校生活面の変化

・様々な小学校から人が集まるため、新たな人間関係を作る必要がある
・部活動が始まる
・新しい通学路や時間割となる
・新しい先生との出会い

上記のような様々な変化により、多くの中学1年生が学校生活に適応するのに戸惑いを感じるようになります。これは「中1ギャップ」や「中1の壁」と呼ばれ、小学校から中学校へのスムーズな移行が大きな課題となっています。
中でも特に戸惑いが大きいのが学習面です。中学のレベル感やスピード感についていけず、入学早々、苦手意識や劣等感を抱いてしまう子どもも少なくありません。

定期テストの開始

中学校になると中間テストや期末テスト、学年末テストといった定期テストが始まります。小学校のころに比べてテスト範囲も広く、科目数も多くなるため、小学校のころのようにテスト前日や数日前に復習しても何とか対応できるといったことはなくなるもの。

日頃の家庭学習で学習内容の理解を積み重ね、テスト前には問題形式の演習をするといった中学式の勉強法が求められるようになります。

高校受験の準備

中学3年間の最後には、高校受験があります。高校受験は、中学3年分の学習内容が入試範囲となるもの。5科目あるうえ、範囲も膨大なため、受験直前の学習で対応できるものではありません。
また、単元の理解を深めることが目的の学校の授業では、入試形式の演習などで受験対策が行われることは少ないものです。そのため、家庭学習において高校受験に対応できる力を積み重ねていくことも必要となります。

以上から、普段の授業の理解はもちろん、定期テスト対策、高校入試の準備としても家庭学習の果たす役割が大きくなります。中学生になったら、家庭学習の習慣化ができるようにしておきましょう。

中学生の家庭学習はその日の復習から

家庭学習の習慣がない中学生に、いきなり「勉強しなさい」と言っても、「何を」「どれくらい」「どうやって」勉強すればいいのかわからず、戸惑ってしまいます。

保護者としては、予習・復習プラス定期テスト対策くらいは子どもにしてほしいですよね。しかし、今まで家庭学習をしてこなかった子どもへの要求としては厳しいです。また、自分ではなかなか取り組むのが難しいだろうから……と、いきなり塾に入れてしまうのも子どもにとってはハードルが高く感じてしまうもの。まずは、しっかり家庭で自主的に学習をする習慣を身につけさせるようにしましょう。

家庭学習の習慣化をうまくいかせるコツは、小さなことからスモールステップで始めること。まずは、その日中学校でやったことの復習をさせるところから始めましょう。目安時間としては、1科目10分程度からのスタートでもOK。その日の復習をすることで、学習の習慣化につながることはもちろん、「家庭学習のやり方」を学ぶことができます。その日の学習内容も定着しやすくなるので「やることによる効果」も実感できますよ。

家庭学習の最初の一歩の例

  • ・全教科対象:その日のノートを読み思い出す
  • ・国語:教科書の音読・漢字の復習
  • ・数学:教科書の例題を解く
  • ・英語:単語・熟語・文法の復習
  • ・社会:教科書の音読(黙読)
  • ・理科:教科書の音読(黙読)

学習習慣がまだ身についておらず、その日にあった全ての科目の復習をすることが難しいという場合は、平日と週末とで復習内容を分けるというのも良い方法です。その場合、平日は基本の3教科である「国語」「数学」「英語」に集中し、週末に「社会」「理科」に取り組むようにするとよいでしょう。

中学生におすすめの家庭学習法

家庭学習の取り組みのポイントや勉強法は、学年や科目別にも異なってきます。効果的なやり方を意識して、進めていけるようにしましょう。

学年別の家庭学習ポイント

中1の家庭学習

中1では、毎日家庭学習に取り組む習慣をいかに速くつけられるががポイント。そのためには、1教科10分といった負担の少ない形から徐々にステップアップさせていくのがおすすめです。いきなり高い目標を掲げても、挫折してしまうリスクも高いもの。その日に取り組んだノートを見返すなど、無理のない実現可能な方法からスタートしましょう。
また、辞書を引く習慣をなるべく早く身につけるのも大切なポイント。意味のわからない英単語や漢字、熟語が出てきたら、辞書を引いて調べるというクセづけをしていきましょう。何度も繰り返すことで、自然にスムーズに行えるようになるはずです。

中2の家庭学習

中2は中だるみで学習習慣の乱れが生まれがちな時期です。さらには、学習の難易度も一段と上がることで苦手が生まれたり、成績が下がったりするなど、学習への意欲も下がりがちになります。さらには、部活や委員会活動などで忙しく、勉強時間の確保が難しくなることも。
そこでポイントとなるのが、いかに身につけてきた学習習慣を崩さないようにするかということ。とはいえ、数学では一次関数や確率、英語では不定詞や比較など一人で学習するにはハードルが高いこともあります。そこで、通信教育や市販の参考書など自分にあったもので、理解の助けとしていけるものを活用するのもよいでしょう。

中3の家庭学習

高校受験も近づいてくる中3は、家庭学習の中にも入試対策を入れていくことがポイント。次のように、高校入試というゴールから逆算して入試対策の割合を増やしていけるとよいでしょう。

・部活を引退するまで:平日は中2の頃と同様のスタイルが基本。週末に入試に向けた復習を入れていく。
・夏休み:問題集などで中1、中2の総復習。苦手や理解の穴を埋めておく
・2学期:問題集での演習の積み重ねで、応用力をつけていく
・冬休み以降:過去問への取り組みで実戦力を身につけていく

教科別の家庭学習ポイント

国語の家庭学習

国語は、他の科目と比べても短期的に学力アップの効果が出づらいもの。でも、だからこそ日々の学習の積み重ねで本質的な力を養成していけるものです。文章理解、単語・漢字、読解について、次のポイントを押さえておきましょう。

・評論や古文など、慣れない文章は音読でリズムと内容をつかむ
・知らない単語や漢字、語句が出てきたら、辞書で意味を調べる習慣をつける
・読解に関しては、問題を解くだけではなく正解と比べてどこが違うのかを分析するようにする

数学の家庭学習

公式を覚えるだけでは学力アップとならないのが数学です。「知っている」「覚えている」と「使える」は別のもの。実際に問題を解くことで、使える知識としていきましょう。
また、問題を解く際には次のことを意識していけるといいでしょう。

・面倒がらずに途中式もしっかり書く
・公式ごとに問題のパターンを覚えていく
・わからない場合は、いきなり解こうとするのでなく図や表で整理して考えてみる
・間違えた問題は、答えだけでなく解き方を確認する

英語の家庭学習

英語は、発音、語い、文法、読解、リスニングをバランスよく学習していくことが重要です。つい、単語などの語い力ばかりに注力してしまいがちになるため要注意。どの力を鍛えているかを意識しながら取り組んでいきましょう。

・音読は必須。音読で英語のリズムや感覚を体に叩き込んでいく。
・新出単語や熟語は、口に出したり、手で書いたりと五感を駆使して覚える
・文法はパターンを覚えるだけでなく、実際の文章で理解する。
・リスニングは、何度聞いても聞き取れない場合は先にスクリプトを確認する。また、音読をすることでリスニング力の養成も行う。

社会の家庭学習

社会は、年号や出来事、法律など暗記事項メインの科目と思われがちですが、全体の流れを大局的に押さえられているかが大切。機械的な暗記とならないよう、次のような形で進めるとよいでしょう。

・教科書やノートで全体の流れをつかむ
・暗記事項は、1つずつ覚えるのではなく、関連事項をひとまとめにして覚えていくようにする

理科の家庭学習

理科は目に見えないものの学習や、学校では実験の時間が取れずに概念理解がしづらいケースもあるものです。教科書やノートを見返してわからない部分があったら、Youtubeの動画解説や、イラストなどで図式化した解説したものなどを探して、理解の助けにするようにしましょう。

また、「変温動物」「オームの法則」といった理科用語や語句の意味についても、覚えモレがないように確認しておきましょう。
なお、全ての科目に共通することとして「定期テストの復習」には必ず取り組むようにしましょう。定期テストは点数を確認することが目的ではなく、自分が今何ができていて何ができていないのかということを把握し、知識の穴を埋めることで学力向上に役立てることが重要な目的です。点数に一喜一憂するのでなく、間違いを復習する習慣をつけていきましょう。

保護者が子どものために整えたい家庭学習環境とは

子どもに家庭学習の習慣をつけてほしいなら、家庭学習がしやすい環境を整えてあげたいですね。とはいっても、子ども部屋や専用の机を用意する必要はありません。成績が優秀な子どもはリビングで学習をしているという話もあるほどです。
保護者として「子どもの集中力を奪わないように気をつけてあげる」「勉強に関するちょっとしたことを褒める」だけで違いますよ。

家庭の学習環境を整える工夫例

  • ・スマホやゲームの誘惑を取り除く
  • ・きょうだいが妨害しないようにする
  • ・勉強中は家事の手伝いを頼まない
  • ・終わったら声をかけて褒める

保護者の声掛けやサポートが重要に

中学の学習は量も多く、難易度も高いため、気持ちがくじけてしまいそうになることもあるものです。そのため、保護者の励ましやサポートでモチベーションを刺激してあげることが重要になります。とはいえ、誤った声かけや逆効果となってしまう対応もあるもの。次の点を心がけていきましょう。

ガミガミするのはNG!家庭学習の必要性を説明して

心配だからといって「やりなさい!」「終わったの?」とガミガミするのは、できるだけ避けましょう。

中学生といえば思春期です。大人の階段を登っているところに保護者から口うるさく言われては、意固地になってしまうかもしれません。
保護者にしてみれば「まだ中学生」でも、本人としては「もう中学生」です。子ども扱いするのではなく、大人を説得するように家庭学習の意義や必要性についてじっくり話し合ってみてはいかがでしょうか。

子どもとの話し合いで大切にしたいこと

  • ・意見の押し付けではなく双方向で話をする
  • ・一度の話し合いで終えず継続して機会を作る
  • ・きょうだいがいるなら一対一で話す

保護者に必要なのは「teach」でなく「coach」のスタンス

勉強に手間取っている様子や、理解に苦しんでいる様子をみると、つい「どこがわからないの?」「教えてあげるから見せて」と声をかけてしまいがちなものです。とはいえ、保護者が先生となって勉強を教えるのは、親子だからこそお互いに遠慮がなくなり、険悪な雰囲気ににもなってしまうことも多いでしょう。

そこで、保護者に求められる役割は教えることではなく、伴走して褒めたり励ましたりするコーチの役割であると意識しましょう。「今日も頑張ってるね」といった認め、「こんなにやれたんだ。すごいね」といった褒めなどを伝えることで、お子さまもやる気に火をつけることができるはずです。
また、お子さまから「この単元に苦労しているんだ」といった相談などがあったら、一緒に教材や問題集を選ぶといったサポートもできるとよいでしょう。

学習内容をチェックするのではなく、教えてもらう

「今日は何をやったの?」「何時間やったの?」と親が学習内容をチェックしようとすると、お子さまは監視されているように感じてしまうため避けるようにしましょう。

そうではなく「今日は英語の比較級やったの?お母さん忘れちゃったんだけど、どんなだったっけ?」などお子さまから保護者が学ぶ、教えてもらうという声かけができるとGood! お子さまが先生となって保護者に教えるというのは、お子さま自身も誇らしく感じられるもの。また、学んだ内容を整理しアウトプットすることで、学習の定着をはかることもできるでしょう。

まとめ & 実践 TIPS

家庭学習の習慣をつけるのに「遅い」ということはありません。新しい習慣を取り入れるまでに時間はかかるかもしれませんが、無理のない小さなことから始めれば、きっと大丈夫です。
「大人も習慣付けには時間がかかるもの」と思いながら、気長に見守りましょう。

プロフィール



「ベネッセ教育情報サイト」は、子育て・教育・受験情報の最新ニュースをお届けするベネッセの総合情報サイトです。
役立つノウハウから業界の最新動向、読み物コラムまで豊富なコンテンツを配信しております。

お子さまに関するお悩みを持つ
保護者のかたへ

  • がんばっているのに成績が伸びない
  • 反抗期の子どもの接し方に悩んでいる
  • 自発的に勉強をやってくれない

このようなお悩みを持つ保護者のかたは多いのではないでしょうか?

\そんな保護者のかたにおすすめなのが/
まなびの手帳ロゴ ベネッセ教育情報サイト公式アプリ 教育情報まなびの手帳

お子さまの年齢、地域、時期別に最適な教育情報を配信しています!

そのほかにも、学習タイプ診断や無料動画など、アプリ限定のサービスが満載です。

ぜひ一度チェックしてみてください。

  • 学習

子育て・教育Q&A