【算数~低学年編~】単元別にみるつまづきやすいポイントと子どものやる気をアップさせる教え方は?
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家庭学習での声かけやサポートのコツをご紹介する連載の第3回目。
今回のテーマは、小学校低学年の算数です。算数は、1年生の学習から積み上げていくものです。
最初に「難しい」と感じて苦手意識をもってしまうとその先の学習にも影響してしまうので、算数を「楽しい」と感じられるようなサポートをしていきたいですね。
(赤ペン先生 吉田)
・第1回 【国語~低学年編~】子どもの勉強、上手に教えるにはどうすればいい?
・第2回 【国語~高学年編~】学習内容が難しくなり始めたとき、家庭での効果的な教え方は?
この記事のポイント
小学校1~3年生の算数の学習内容と学習目的
小学校低学年では、たし算・ひき算・九九・わり算など、この先の算数につながる大事な基礎となる内容を学習します。
前述しましたように、算数は、1年生の学習から、積み上げていくものですから、どこかでつまずいたまま進んでいくと、その先の学習内容を理解できなくなってしまいます。
「わからないところをそのままにしない」という習慣を低学年のうちにしっかり身につけておきましょう。
たし算・ひき算
最初の難関は、「くり上がり・くり下がり」です。くり上がり・くり下がりの計算をスムーズに進めるためには、「10のまとまり」を意識することが大切です。
「いくつ」と「いくつ」で10になるかが、パッと答えられるようになるまで、おはじきなどの身近なものを使って、毎日短い時間でよいので、根気よくくり返し練習しましょう。
また、「おつりはいくら?」「8円のガムと5円のあめを買うと何円?」などと、お金を使ってお買い物ごっこをすると楽しく学習できます。
九九
九九はこのあとに学習するかけ算・わり算につながる重要な内容ですので、確実に覚えてしっかり定着させることが大切です。
かといって、「覚えないと大変なことになるよ!」などとプレッシャーをかけると逆効果です。九九は、何より楽しく覚えることが成功への近道です。
「進研ゼミ」の九九ソングは、リズミカルに歌で楽しく覚えられるので、歌が好きなお子さまにはぴったりです。ぜひお試しください。
九九をしっかり定着させるためには、1の段から唱える「順番九九」たけではなく、9の段から唱える「さかさま九九」、ランダムに言えるかを確認する「ばらばら九九」でも練習すると効果的です。
おうちのかたと「どっちが速く言えるか競争しよう!」「問題を出しあいっこしよう!」などとゲーム感覚で一緒に楽しむのもいいですね。
4、7、8の段は、「し」「しち」「はち」と音が似ているので、混同しやすく、特にまちがえやすいようです。
なかなか覚えられない場合は、「7×3」と「3×7」のように、「数字を入れ替えても答えは同じ」ということに気づかせると、たとえ忘れてしまっても、逆なら言えることもあるので、安心材料になります。
大人にとっては、簡単に思える九九ですが、初めて覚える子供にとっては、険しく高い山に登るようなものです。
「まだまだたくさん覚えないと!」「もっとスラスラ言えるようにしないと!」などと否定的な言葉をかけるのではなく、「今日はこんなに覚えられたね。」「まちがえないで言えたね。」などと今できていることを認める声かけをして、お子さまにその都度、達成感をもたせてあげましょう。それが意欲につながります。
わり算・分数
3年生でつまずきやすいのが、わり算と分数です。
わり算は、九九をしっかり覚えていれば心配ありませんが、九九に不安がある場合は、「15は3と何をかけたらいい?」「答えが24になる九九を全部見つけてみよう。」などのようなかけ算の問題に慣れていくことから始めると、スムーズにわり算に進めます。
わり算はできても、あまりのあるわり算になると急につまずいてしまうこともあります。「赤ペン先生の問題」でも、「わられる数より大きくなる商を見つけて、わられる数をひいてあまりにしてしまう」、「あまりがわる数より大きくなってしまう」などのまちがいがみられます。
このような場合は、あめなどの現物を使って実際に分けてみると、視覚で確かめられるので、自分の間違いに気づき理解が深まります。
分数は、「分母」「分子」のような聞き慣れない用語も出てくるので、「分数」=「難しい」となっているのではないでしょうか。
「分数」は、すでに日常生活でも使っています。誕生日の丸いケーキを家族で分けるときのように、一つのものを何人かで分けるときには、「○等分しよう。」と言って分けますよね。それと結びつけて考えるのがいちばんわかりやすいです。
また、料理のお手伝いをして、「小さじ2分の1」「カップ3分の1」などと使い慣れていくことでイメージがわき、理解しやすくなります。
長さ・かさ・重さ
つまずきやすい単位換算は、「1cm=10mm、1m=100cm、1km=1000m」などの基本となる単位の関係を「長さ・かさ・重さ」のそれぞれで整理して早見表のようにしておくと便利です。
「重さ」は、「長さ・かさ」と違い、見ただけではその量をとらえにくいので、実際の重さの感覚をつかむことも大切です。1円玉1枚の重さが1gなので、1枚で1g、10枚で10gなどと、手に持って重さの量感を養いましょう。
また、「100gは1円玉何枚分かな?」などと考えさせると、興味をもって学習できそうです。
さらに、「1L=1000mL=1kg」という基準となる重さの感覚もつかんでおきたいですね。ご家庭にある1Lパックの牛乳や1Kgの砂糖の袋を持たせて、1kgの量感をつかませると、単位換算もまちがえにくくなります。
わからないと言われたとき
つまずいているところの一つ手前のわかるところまで戻るのが基本です。
低学年の場合は特に、「難しそうでやりたくない」と思ったら、考えようとしなくなってしまいます。まず、簡単な問題に戻って、「これができるのだから、この問題もできるよ。」と励ますと、弾みがついてやる気アップにつながります。
文章問題の場合は、問題文をきちんと読んでいないケースが多いので、まずは声に出して読むことを促しましょう。
自分で読むのが難しい場合は、おうちのかたが代わりに音読して手助けをしてもよいと思います。問題文をしっかり読んで、問われていることがわかれば、ほぼと言ってよいくらいその問題は解けます。
また、問題文を絵や図に表すこともおすすめします。わからないときは、まず、「問題文を声に出してきちんと読む」「絵や図に表す」という習慣をつけると、自分で解決しようとする力も養われていくと思います。
まとめ & 実践 TIPS
低学年の算数の学習内容は、日常生活のあちこちにちりばめられています。
日常生活のさまざまな場面で、現物にふれ、体験できる機会をできるだけ意識してつくってあげてください。そうすることで、好奇心が芽生え、学習意欲の向上や真の理解につながります。勉強が“生きたもの”になります。
低学年のうちは、おうちのかたが横で見守る、一緒に取り組むことで子どもは安心できます。大変だとは思いますが、その“ひと手間”が魔法のような力になるはずです。
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