意外と知らない!? 小学校英語から中学への準備 これが重要!

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もうすぐ新学期。お子さまの英語教育について、保護者のみなさまの関心が高まってきている時期ではないでしょうか。特に英語は、入試でも実践する力においても大切な教科ですので、お子さまの英語の成績がどうなるのか、気になるかたも多いと思います。今回は、中学に向けて小学生のうちにやっておくとよい準備についてお話しします。

この記事のポイント

おうちのかたが考える「準備」に間違い!?

単語や文法をたくさん覚えておかなくてはと思っていませんか?
<Challenge English>編集部にも、よくこのようなお声をいただきます。

「うちの子は、小学校の英語の授業でネイティブスピーカーと英語に親しむことを一生懸命やっているからか、音では頭に入っているが、つづりが覚えられていない」
「上の子に比べて、スペルミスが多いように感じる」
「うちの子は、音だけでつづりを覚えようとして書かないので、単語を覚えられません」

単語や文法を覚えることも大事ですが、これらは中学になってから、先生が0から丁寧に教えてくださるので、そこまで心配したり、手厚く準備をしたりしておく必要はありません。

じゃあ、何をやっておけばいいの?
そこで専門家に聞いてみました。

専門家がおすすめする意外な「準備」

中学校の英語の先生方が口をそろえておっしゃること。それは、英語を嫌いにならずに学んでほしいということです。最近の中学校の先生の悩みは、小学校から英語が教科化されたことで、英語にネガティブな気持ちを持って中学に進学してくる生徒がいるということです。たとえ今は苦手な気持ちを持っていても大丈夫です。中学校の英語はまた0からのスタートです。それに、一概に「英語」といってもいろいろな活動があります。聞く・読む・話す・書くなどの4技能もあるし、文法や単語を覚える活動も増えます。その中にきっと自分が好きな活動があるはずです。

ここでクイズです。
中学校の英語の先生が口をそろえて「大事!」と言う活動は何でしょうか?

答え
教科書などで触れる英文を声に出して読むこと

それは、「音読」という活動です。音読にはいくつかのやり方がありますが、代表的なものは「教科書などの英語のお手本の音を聞いて、文字を見ながら繰り返すこと」。 中学では、教科書の音読は必ずやります。小さいころは日本語の本を読んで声に出すことはあっても、大きくなると声に出して読むことはほとんどないですよね? それなのに、中学校の英語の先生がたは、なぜ、英文を声に出して読むことを推奨するのでしょうか?
なぜなら、お手本の英語を「聞く」、自分で英文を目で追って「読む」、自分が口に出す(「話す」)、自分の英語を耳から「聞く」という3つの技能を同時に鍛えられるから。英語力はたくさんのインプットと、アウトプットを繰り返すことで伸びます。教室の外で自然に英語を使う機会の少ない日本において、教科書の音読は、効率的に生徒の英語力を高めるとても効果的なやりかたなのです。

まだ小学生の間は、小学校の教科書の音読で十分。最近の教科書には、二次元コードがついていて、お手本の音声を聞くことも手軽にできます。時間があるお休みの日で、お子さんが英語にやる気を見せている時などに、5分でいいのでやってみませんか。小学校教科書の英文は、中学ですぐに使う大切なものばかり。授業や家庭学習で、たくさん聞いて話して、意味のわかる英文を音読することが大切です。完璧に読めるようにしておくと中学での英語学習の好スタートとなります。

参考記事:「中高の英語の授業で最も行われていることとは?文法や単語ではない意外なもの」

中学英語を好スタートした先輩がやっていた学習法

音読のほかにも、英語力を伸ばす良い方法があります。それは、英語を口に出して使ってみる機会を多く作ることです。音読で慣れ親しんだ表現を、実際の英語でのやり取りの中で使う機会を意識的に持つことが大切です。<Challenge English>編集部では、ある生徒さんの小学校5年生~高校1年生までの5年半のオンラインレッスン中の英語での発言から、どのように英語が話せるようになっていったのか、その軌跡を見ることができました。

学年 生徒ができるようになったこと <Challenge English>編集部が
「できるようになったこと」のすごさを解説!
小5~小6 ・先生の言うことがわかり、間をおかずに、Yes./No.で答えられるようになった
・I like~.(わたしは~が好き)など、1文程度で自分のことが言えるようになった
自分が英語でこれを話すと想像してみてください。間髪入れずに、はい。/いいえ。と意思表明できるだけで、すごいことです。さらに自分が好きなことを言えるようになることもすばらしいです。
中1~中2 ・IやWeだけでなく、My schoolなどを主語にした文が使えるようになった 英語を話す時には、主語の選び方はとても難しいです。I, Weばかり使ってしまって単調になりがち。中学校で習った「三単現」などを駆使して、いろいろな主語で文を始めることで言えることの幅が広がります。
中3~ ・自分の予定などを聞かれた時に、英文を2~3つ続けて関連したことを言えるようになった 高校入試の英作文でも3文程度の関連した内容を書く程度が一般的です。何かを聞かれて、I like~.の文を関連なく2~3つ並べる「羅列文」ではなく、話にストーリーをつけて語れることが成長の証です。
高校生~ ・It makes me happy.など、英語らしい表現を使って話せるようになった It makes me happy.は「それはわたしを幸せにさせる」という意味ですが、非常に英語らしい表現で、日本語発想では思いつかない言い方です。このような言い方を自分の会話の中で使えるところまで成長しているということです。

ここで見えてきたことは、実際に英語を口に出す機会(アウトプット)をたくさん積み重ねていくことで、中3の後半くらいから飛躍的に複雑な内容を英語で言えるようになるということです。中学の最初の1~2年は、大きく飛躍するまでの助走期間。積み重ねていくことで、徐々に話す量が増えていき、中3では、中1の時と比べると難しい内容も話せるようになっていました。コツコツと音読を含めた英語学習を続けることで、英語力は伸びます。地道な学習をしっかりと積み上げていきましょう。

※ ここで紹介した<Challenge English中学・高校生向け>受講生の発話分析を、2022年12月10日~11日に関東甲信越英語教育学会(KATE) 第46回栃木研究大会にて研究発表しました。詳しい発表内容はこちらからご覧ください。

英語教育研究・調査|ARCLE(アークル) -英語教育に関する研究調査団体-

「日本人英語学習者のスピーキング能力はどのように発達するのか —5年間を通した経時的調査—」

*<オンラインスピーキング>とは
<オンラインスピーキング>は、進研ゼミの<Challenge English>にて提供する有料オプション英語教材。月2回15分外国人の先生とマンツーマンで会話練習を行う。(一部の講座では進研ゼミの受講費内で提供)
オンラインスピーキング<検定攻略コース>では、英検®やGTEC®といった検定試験に対応したレッスンや、英語の発信力を上げるレッスンなど、生徒のニーズやレベルに合わせたレッスンを多数提供。オンラインスピーキング<通常コース>では、中学1年生~高校3年生向けにそれぞれの学年にあわせた話題でじっくり学び、英語の発信力の底上げが可能。

まとめ & 実践 TIPS

中学校への準備として、小学校の教科書の音読を

小学校の英語教科書の英文を完璧に読めるようにしておくと、中学校で必ず役立ちます。「意味を考えながら」「声に出して」何度も読む。
「意味を考えながら」「声に出して」何度も読んでおくと、中学校の教科書で出てきた時に読んで意味がわかります。そして、中学校の「話す」活動で、その英文を声に出して話しやすくなります。
音読をまじめにやっている生徒とやっていない生徒の差はあとになるほど開いていきます。音読を好きになっておいて損なことは1つもありません。小学生のうちから音読に慣れておいて、中学校からベストスタートを切りましょう。

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