子どもが2人以上いる場合、教育資金は公平にするべき?

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子どもが2人以上いると、なるべく公平に、きょうだい間でかける教育費の差が出ないようにしたいと思うのが親心です。ところが、きょうだいとはいえ、性格はまるで違ったり、興味もバラバラだったり、お金のかかり方には差が出てくるものです。

そこで、今回は「貯め方」をテーマに、子どもが2人以上いる場合、どのように教育費を貯めれば公平に一人ひとりの進路を応援できるのか、貯め方や考え方のポイントをお伝えします。

この記事のポイント

準備しておきたい一人あたりの教育費

まず、準備しておきたい教育費は、基本的には「子どもの数×必要資金」です。必要資金とは、一般的には大学進学用に準備するお金になりますが、日本政策金融公庫の調査(*1)によると受験費用や入学金、大学在学中にかかったお金の合計は平均約680万円だそうです。そのため、受験費用込みで1人700万円みておくとよいですね。子ども2人なら700万円×2人分、3人なら700万円×3人分です。

しかし、子どもの数が増えるにつれ「とても準備できそうにない」金額になります。この場合は準備できる金額を子どもの人数で割って、一人あたりの準備額を決めましょう。1人700万円準備できないことになっても心配ありません。なぜなら、この700万円には、在学中にかかる教科書代や通学費、入学しなかった学校への入学金なども含まれているためです。700万円は、少し余裕を持った金額というわけですね。

一人当たりの金額が決まったら、子どもごとに貯蓄口座を分けて積み立てていきましょう。ポイントは子どもごとに別口座で貯蓄することです。一人ひとり口座を作って、その口座内で目標金額を貯めてください。そうすることで、一人ひとりの貯まり具合がわかるので、貯蓄も成功しやすくなります。

上の子のときに下の子の教育費が心配で使えない時は?

いざ、教育費がかかる時期になると、下の子が控えているから心配で、上の子にお金を使えない、あるいは、上の子にどこまでお金をかけてよいのかわからないといった疑問が出てくるかもしれません。しかし、子どもごとに口座を分けて、一人当たりの金額を決めておけば、そのような心配はいりませんね。上の子の時に使っておけばよかったと後悔しないように、きょうだい同額で教育費を決めておきましょう。

上の子用のお金が足りない、下の子用のお金を使っていい?

逆に上の子にお金がかかりすぎるケースもあるでしょう。しかし、下の子にも上の子と同じくらいお金がかかるかもしれませんから、やはり、下の子用のお金は使わずに取っておきたいものです。ただ、きょうだい間に年の差があり、下の子の分を使っても、使った分は下の子が大学入学までに貯められる時間があるなら、きょうだい間に不公平はありません。

たとえば、きょうだいが5歳差で上の子に予定より100万円多くかかったため、下の子の貯蓄から100万円借りたとしましょう。この場合、下の子に借りた100万円と当初予定額を超えた100万円、合計200万円を下の子にも貯めるということです。

下の子はお金がかからない保障はどこにもないですし、もし、上の子に使ってしまったがために、下の子の分が足りないとなってしまっては、それこそきょうだい間に差が出てしまい、使ったことを後悔してしまうかもしれません。だからこそ、同じだけ貯める、貯められる金額までしか使わないことを心がけましょう。

下の子が私立に行くことに。教育費が不足して慌てたりしないための対策はどうすればよい?

子どもが全員私立に行く可能性も考えて、最初から私立の学費分も準備しておけるとよいですが、そのような家計の余裕がないこともあります。しかし、この場合も、一人当たりの上限は準備可能な同額で決めておき、その金額を上回るようであれば、奨学金など検討するようにしましょう。

収入には上限がありますから、いくらでも教育費にお金をかけられるわけではありません。教育費にお金をかけすぎて、親の老後資金がなくなってしまっては、老後は働いて収入を得ることができませんから、生活できなくなってしまいます。したがって、老後資金を確保した上で教育資金の捻出を考えることが大切です。

奨学金には、返さなくてよい給付型、後から返す貸与型、貸与型にも利子がつくタイプ、利子がつかないタイプがあります。なるべく良い条件で利用できるよう、できるだけ早い段階から情報を集めておくと、申込時に慌てることはなくなります。

まとめて3人分などを想定して貯めておいて、必要な分を随時使っていく方法で大丈夫?

まとめてお金を管理すると、どの子にいくら使ったのか、あるいは、使っていいのかわからなくなってしまう可能性があります。また、上の子に使いすぎて下の子の時にお金が余っていないという事態が起きてしまうかもしれません。ですから、子ども一人ひとり口座を分けて一人当たりの金額を決めて管理するようにしましょう。

まとめ & 実践 TIPS

きょうだいでも、学力も違えば興味も違います。同じような進路になるとは限りません。教育費もきょうだいによって差が出るのは当然といえるでしょう。かける教育費を完全に公平にするのは難しいことです。

しかし、おそらく、親が大切にしたいと思っていることは、子どもが望む進路を歩ませることではないでしょうか。極端なことを言うと、子どもが希望する進路を歩めるなら、教育費に差が出ても仕方ないといえるかもしれません。

しかし、貯める段階では、きょうだいそれぞれどの程度の教育費がかかるのかは、わかりませんね。だからこそ、最初に、捻出できる一人当たりの金額を決めて、その金額だけはしっかり貯めることを行いたいですね。

(*1)
出典:日本政策金融公庫 令和3年度「教育費負担の実態調査結果
URL:https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kyouikuhi_chousa_k_r03.pdf

前田菜緒

前田菜緒

ファイナンシャルプランナー、公的保険アドバイザー。保険代理店に7年間勤務後に独立。子育て世代向けにライフプラン相談、セミナー、執筆などを行っている。相談は、夜、子どもが寝てからでも可能で未就学児ママに配慮したサービス体系になっている。2児の母。FPオフィスAndAsset代表(https://www.andasset.net)

プロフィール



メンバー全員が子育て経験を持つ女性FPのグループ。各自の子育て経験や得意分野を活かして、消費者向けのセミナーや相談業務、執筆、監修などを手掛けている。教育資金に関する情報発信の機会も豊富。

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