教育用語解説|評定平均

2024.6.13

評定平均とは?計算方法や、点数を上げるための対策を詳しく解説

「評定平均」とは、高校3年間の成績を数字で表したものです。内申点とも言われ、評定平均を記した「調査書」(いわゆる内申書)にも記載される、大学入試とは切っても切り離せない存在です。
特に、学校推薦型選抜では、一定以上の評定平均値を出願条件とするなど、非常に重要な数字となっています。では、具体的な計算方法や、学校推薦型選抜でどのように関係するのかを見てみましょう。

評定平均とは

「評定平均」とは、高校1年生の1学期から3年生の1学期(または前期)までの成績を平均して数字で表したもので、大学側が生徒の高校生活を評価する際の指標になります。評定平均自体は、選抜方式に関係なく大学出願時に提出する「調査書」という書類に必ず記載されます。
とはいえ、筆記試験の結果が最重視される一般選抜では、評定平均値が合否の判断材料になることはほぼありません。しかし、特に学校推薦型選抜では、高校側が推薦するための判断材料として、在学時の成績や学びの姿勢を示す評定平均が重視されます。出願条件として一定基準以上の評定を求める大学がほとんどです。

また、高校からの推薦を得る必要がない総合型選抜でも、大学側が志望者の高校時代の過ごし方を判断するために、評定平均が参考にされることがあります。

評定平均の値の計算方法は?

次に評定平均の値の具体的な計算方法を見てみましょう。 計算の対象となる期間は、高校1年生の1学期(または前期)から3年生の1学期(または前期)です。

対象とする教科は、すべての教科・科目です。期間中に履修した教科・科目の評定(1~5の5段階で表される数字)をすべて足し、履修した教科・科目の数で割ったものが評定平均値となります。
割り切れない場合が多いため、小数点第二位で四捨五入して3.8、4.2などと表記します。

期間中に履修した教科・科目の評定の合計/期間中に履修したすべての強化・科目の数

出願時には、「全体の評定平均3.5以上」といったように、全科目の評定平均のみを指定する大学もあれば、「全体の評定平均が4.0以上で、英語は4.3以上」など、全体に加えて、特定教科の評定平均を指定する大学もあります。
教科ごとの評定平均値は、その教科の科目(国語なら、「現代の国語」「言語文化」「古典探求」など)すべてを足して、科目数で割って算出します。希望する学部に関連する科目の評定平均を個別に確認することで、入学後の適性を見ることが目的です。

学校推薦型選抜、総合型選抜では評定平均はどのくらい重視される?

学校推薦型選抜には「指定校制」「公募制」の2種類がありますが、特に「指定校制」では評定平均が重視されます。評定平均が高くないと、校内選抜をクリアすることも難しくなるでしょう。
総合型選抜の場合は、評定平均を考慮せずに選抜する大学もあります。しかし、評定平均値を受験資格の1つとして設けている大学は多く、特に高い偏差値の大学ほど、一定値以上の評定平均値を出願資格として設けているケースが多いようです。
あるいは、出願資格に評定平均値の提出を求めない代わりに、英語資格・検定試験の保有を出願資格として含める大学もあります。

評定平均が高くないから不安、という場合は、評定以外で強みを生かせそうな大学を探すことになりますが、希望する大学の選択肢を狭めないためにも、ふだんからできる限り学校の勉強や活動に打ち込むことが大切です。

評定平均を上げるためにできること

評定平均値のもととなるのが、通知表にも記載される5段階評価です。評価のしかたは高校によって異なります。従来、5段階評価の内訳は、定期テストが7割で、授業態度や課題の提出状況など定期テスト以外の要素が3割と言われ、定期テストをがんばることが評定平均アップへの近道とされてきました。
しかし、2022年度の高校1年生から「観点別評価」という新しい評価方法が採り入れられ、パフォーマンステストやレポートなど、より多様な視点で評価される動きが強まっています。このため、定期テストの点が優れているだけでは、5段階評価で5をもらえるとは限らなくなりました。

高校によっては評価の基本方針を公表している場合もありますので、まずは通学先・志望先の高校がどのように対応しているかを確認し、尋ねることができれば尋ねてみましょう。その内容を意識しながら高校生活を過ごすことが大事です。公表していない場合は、普段の学校生活をまんべんなくがんばることが最大の近道と言えるでしょう。

学校推薦型選抜は一般入試の補完ではない。全方位の準備を

いま、教育全体のトレンドとして、テストで高得点を挙げれば高く評価されるという考え方が少しずつ変化しています。日ごろの授業態度は不真面目でも定期テストは高得点を取れる生徒よりも、テストの点数がよくないことがあっても、基礎的な学力はあり、かつ、それ以外の場面で活躍できるような生徒が評価されるようにもなっています。

一方、指定校推薦で校内選考を通っても、明確な志望動機や最低限の学力が伴わないために、大学の審査で不合格にされるケースも増えています。早めに進学先を決めたいからといった安易な理由で学校推薦型選抜を目指したり、評定平均値を上げることだけにこだわったりしてはよい結果が生まれません。今後も変わらず求められることが確実な、普段からの努力と志望大学への熱意を持って受験準備に臨みたいものです。

取材・執筆:神田有希子

※掲載されている内容は2024年5月時点の情報です。

監修者

監修スペシャリスト

谷本 祐一郎たにもと ゆういちろう


ベネッセコーポレーション学校カンパニー
教育情報センター長

1985年、岡山県生まれ。2007年、(株)ベネッセコーポレーション入社。
九州支社にて、大分県・熊本県・宮崎県の高校営業などを担当し、2016年より東北支社にて学校担当の統括責任者。2019年より現職。講演会・研修会の実績も多数。現在は、大学入試の分析、教育動向の読み解きや、全国の高校教員向けの各種セミナーを企画し、情報発信を行っている。2021年度より島根県総合教育審議会委員を担当。

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