「家庭の教育方針」願書にどう書けばいい?ポイントや記入例
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幼稚園受験や小学校受験の願書には「家庭の教育方針」の記入欄があることも。子育ての中で「こういう子に育ってほしい」と考えてはいるのに、うまく文章に表現できない親御さんもいらっしゃるかもしれません。そこで今回は、願書の「家庭の教育方針」の考え方や書き方をお伝えします。
家庭の教育方針とは
「家庭の教育方針」とは、ご家庭でどのような方針で子どもの教育をしているかということ。これを書くことは、幼稚園や小学校の願書に必要というだけでなく、これまでの方針をより掘り下げて考えられるメリットもあります。
最初に、考え方のポイントを押さえておきましょう。
ポイント1:どんな子に育ってほしいか
「家庭の教育方針」は「我が子がどんな子に育ってほしいか」ということです。
「挨拶をしっかりできる子」「明るく優しい子」「思いやりのある子」など、我が子のいろいろな姿を思い浮かべてみてください。その中で、子どもが今取り組んでいることも考慮して、書くべき教育方針を洗い出しましょう。
ポイント2:そのために何をしてきたか
「家庭の教育方針」として注目したことについて、実際どのような取り組みを行ってきたでしょうか。具体的な取り組みを書ければ、より説得力をもたせることができます。
たとえば、「挨拶をしっかりできる子」なら、どんなときに挨拶をするよう促したか、 「明るく優しい子」なら、友達に対してどう接するよう教えているのかなどを書くとよいでしょう。
ポイント3:家庭教育で大切にしていること
「家庭教育で子どもに教えていることなんていっぱいある!」という場合は、その中で最も大切にしていることに注目してみてください。
紙などに最近のエピソードをいろいろ書き出し、家庭教育において特に重要なエピソードを探してみると大きなヒントになります。
「なぜそれが特に重要なのか」「このエピソードから見える大切なことに関連する他のエピソードはないか」など、書き出したものをじっくり眺めながら考えてみましょう。
ポイント4:いつもどう接しているか
「家庭の教育方針」では、教育方針と具体的な取り組みに一貫性があるかどうかもポイントになります。
願書を作成する前に、お子さまの過ごし方やふるまいをじっくり観察してみてください。お子さまが適切でない行動をとったときや、逆に適切な行動をとったとき、保護者としてどのようにお子さまに接してきたでしょうか?
特に休日の過ごし方は、その子の個性や保護者の考え方が大きく表れる部分。家族で一緒に何かをする、おじいちゃん・おばあちゃんに近況報告をする、一日中何かを作っている、読んでいた本の感想を言ってくるなど、いろいろなことがあるでしょう。
日常のふとしたことの中から「家庭の教育方針」で使えるネタを探してみてください。
家庭の教育方針を書くときの5つのヒント
ヒント1:出願先との合致ポイントを
願書で「家庭の教育方針」を書く際は、幼稚園や小学校の教育方針と家庭での教育方針の合致ポイントを見つけてから、具体的な内容に落とし込むのがおすすめです。
園や小学校の教育方針は、公式サイトやパンフレット、園や小学校の説明会などで確認を。特に説明会で園や小学校の先生から直接伺えば、その教育方針に込められた思いや具体的な指導方法、先生や在校生の様子など、さまざまなことがわかるでしょう。
もし共感できるなら、同じような教育方針をご家庭でも取り入れることができます。
ご家庭で大切にしている教育方針とは異なるものでも、「こういう点はうちでも取り入れたい」という合致ポイントがあれば、それを書きましょう。子どもに志望先である園や小学校の気に入っているポイントを聞いてみるのも参考になります。
「我が家と教育方針が一致しているからこそ、この園/小学校に入りたい!」という思いを伝えられれば、説得力のあるアピールになります。
ヒント2:具体的なエピソードを
「家庭の教育方針」を書く際は、具体的なエピソードを交えて書くと伝わりやすくなります。
たとえば「挨拶をできる子にしたい」という教育方針なら、「近所の人に会ったら必ず挨拶をする練習をしている」「自分から率先して挨拶ができるようになった」など。
教育方針のエピソードを日常生活から拾うには、「何のためにその教育方針にしたのか」という「目的」を意識することが大切です。目的を意識すれば一貫性をもって家庭教育ができますし、子どものふるまいや発言だけでなく考え方まで観察してエピソードを探せます。
ヒント3:親の期待や押しつけを羅列しない
「家庭の教育方針」で大切なのは、実際にご家庭での教育方針として実践できるかどうか、我が子に合った教育方針になっているかどうかです。子どもの性格を無視して一方的に教育方針を決めてしまわないよう注意してください。
親の期待や押しつけを羅列してしまうと、受験での面接で「具体的にどういったことをされていますか?」といった質問が出たときに答えられません。そこで嘘を言ってしまえば、子どもにもつらい思いをさせてしまう可能性があります。
同じ「挨拶ができる子に」という方針でも、人見知りをしない子と引っ込み思案な子では学び方が異なります。「なぜその方針、やり方なのか」「我が子に合っているのか」などを考えながら書いていきましょう。
ヒント4:実際の姿を素直に書く
合格を勝ち取るために「家庭の教育方針」やエピソードで実際より大げさに伝えたいと思うことがあるかもしれませんね。しかし、親御さんのそうした考え方や行動は、受験でマイナスになることも…。
親御さんが物事を大げさに伝えたり嘘をついたりすると、園や小学校の先生方は何が本当かわからなくなってしまいます。ご家庭と一緒にその子の成長を見守り、効果的に指導していくには、その子の実際の姿を知らなければなりません。
お子さまはまだ成長中。できることもできないことも率直に伝え、子どもと向き合うことを大切にしましょう。
ヒント5:文字量よりもわかりやすい表現を意識して
「家庭の教育方針」を書く欄が思いのほか大きいと「なんとかいっぱい書かなきゃ」と焦ってしまうもの。でも、本当に大切なのは、文字量よりも「わかりやすい表現」になっているかどうかです。
ご家庭でどのような教育方針をもって育てているのかをきちんと伝えるには、1つの文に1つか2つ程度の内容だけを書くこと、具体的な例やエピソードを書くことを意識しましょう。
「家庭の教育方針」の具体的な記入例5パターン
では、いよいよ「家庭の教育方針」の具体的な記入例を見ていきましょう。以下を参考にしつつ、ご家庭の方針やその子の個性に合った文面を考えてみてください。
例1:挨拶をしっかりとできる子に
人間関係を築く第一歩である挨拶をしっかりとできる子に育ってほしいと思っています。もともと引っ込み思案な子なので、まずは家庭での基本的な挨拶を徹底しています。家庭での挨拶はできるようになったので、今はご近所のかたにも挨拶できるよう声をかけています。
例2:明るく優しい子に
相手の気持ちを尊重して接することができる、明るく優しい子になってほしいと考えています。子ども自身は明るい性格なので、初めて会う子にも声をかけてみるよう言っています。相手の子に断られたときは、いろいろな性格の子がいることを説明して、見守っています。
例3:思いやりのある子に
他の人に手を差しのべられる、思いやりのある子に育ってほしいと考えています。家族で声をかけあうことから始め、今は近所のかたにも声かけを行うようになりました。子どもの自主性を尊重しながら相手のかたに合った声かけの仕方を教えています。
例4:友達を大切にできる子に
友達を大切にして信頼関係を築ける子に育ってほしいと願っています。友達の話をしてきたときは、話に頷きながら「その子はどう思ってたのかな」など、友達の立場に立って考えるきっかけをつくっています。友達を助けたときは、たくさん褒めるようにもしています。
例5:自分で考えられる子に
変化の多い社会でも、柔軟にねばり強く対応できる子になってほしいと考えています。本の読み聞かせやパズルを親子で楽しみ、自分で考えるきっかけになる時間を多く持つようにしています。お出かけ先ではよく自然観察や体験学習をしますが、発見したことを教えてくれることは、親の楽しみでもあります。
夫婦で教育方針が違う場合
夫婦で教育方針が異なる場合、「どのような教育方針がうちの子にはよいのか」を話し合うことが大切です。
どちらか一方の意見で押し切らずに子どもの個性や発達に合わせて考えることで、充実した話し合いになります。自分たちの子どもをじっくり見つめる大切な機会にもなるでしょう。
話し合いの際は、以下の3つのコツを意識してみてください。
コツ1:基本のビジョンを話し合う
小さな子の教育方針を話し合う場合、細かな部分まで「ああしてほしい」「こうなってほしい」と決める必要はありません。
まだ見つかっていない才能や好み、今はできなくてもいずれ習得できるスキルなど、子どもには多くの可能性があります。
今の段階で話し合うのは、教育方針の「基本のビジョン」。子どもが夢中になっていること、好きなこと、慣れていないことなどを話し合い、子どもにとって大きな負担にならないようなビジョンを考えてみてください。
コツ2:いろいろな意見があることを理解する
たとえば、外で遊ぶことが好きな子の場合、「外で活発に遊べる元気な子になってほしい」「知らない子にも思いやりをもち、一緒に遊べる子になってほしい」など、さまざまなビジョンが考えられます。
夫婦で「こう思う」「それは違う」のようなやりとりがあると、ついついケンカに…。しかし、どのように育ってほしいかという意見に正解はありません。
まずはお互いに思いつく限りのビジョンを一気に書き出してしまい、それぞれのビジョンが子どもの個性に合っているかどうかを話し合ってみるのはいかがでしょうか。
夫婦で一緒に我が子を思いながら基本のビジョンを作り上げましょう。
コツ3:子供の個性や発達を見ながら夫婦で話し合う機会を作る
基本のビジョンが決まったら、いくつか具体的な目標を考えてみてください。
「知らない子にも思いやりをもち、一緒に遊べる子になってほしい」というビジョンなら、「知らない子にも挨拶をする」「一緒に遊びたそうな子に声をかけてみる」「遊具は順番に使う」などが考えられます。
ここで大切なのは、パパとママがお互いに子どもの個性や成長について気づいたことを共有し、その気づきに合わせて柔軟に目標を考えていくこと。複数の視点から見れば、子どもの個性や成長をよりよく理解することができます。
夫婦で話し合う機会を定期的に設け、子どもの成長を一緒に見つめながら、発達段階に合った教育方針を考えていきましょう。
面接時に気を付けるポイント
「家庭の教育方針」は願書に記入するだけでなく、面接時にも質問される重要な項目です。夫婦の教育方針にズレがないよう、願書はコピーして共通認識をもっておきましょう。
ご家庭での教育方針に関連する子どものエピソード、親として対応したことなどもお互いに共有しておけば、パパとママのどちらが聞かれても安心して答えられます。
まとめ & 実践 TIPS
「家庭の教育方針」で大切なことは、願書に具体的に書くことです。実際の家庭教育では、ご家庭でのコミュニケーションの中で自然に子どもが身につけられるような方法を考え、大人が実践してお手本を見せてあげてください。
パパやママが実践する姿を見て「楽しそう」「嬉しそう」と感じられれば、子どもも前向きな気持ちで真似ができます。日頃から少しずつ身につけていくことで、受験本番の面接でも自然にふるまえるでしょう。
日頃どのように教えたり褒めたりしているのかを意識しつつ、素直に「家庭の教育方針」を書いてみてください。
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