子育てと仕事を両立させる方法は?無理しない&子どももうれしい育児メソッド【体験談あり】

  • 育児・子育て

この記事のポイント

「頼れる人が身近にいなくて、全部抱え込んでしまう」
「周りは余裕をもって両立しているのに、自分だけできていない気がする……」
仕事を続けながら子育てをしている保護者のかたは、体力的にもメンタル面でもつらさを感じる場面が多いのではないでしょうか。
そこで、大変な状況を乗り切るための両立メソッドについて、仕事と育児を両立しながら育児に関する情報発信を行っているお二人におうかがいしました。
産後サポート事業を手がける渡邊大地さんと、ライフイベントと仕事に悩む人に向けてコーチングを提供する佐伯早織さんです。

お子さまのことを思うあまりに「やらなきゃいけないことが多すぎる」「こうしなきゃいけないのに、できない」と理想とのギャップに苦しんでしまうこともあると思います。そこで今回は「あえて、やめてみる」「あえて、無理しない」を目指した育児メソッドを考えていきたいと思います。
そうすることで家族に余裕が生まれるだけではなく、お子さまにとってもより豊かな毎日になっていく。そんな「無理しない&子どももうれしい育児メソッド」を、忙しい毎日に生かしてみませんか?

仕事と子育ての両立、どうしてつらい?

まずは、ベネッセが仕事と子育てを両立している保護者のかた約400人にご協力いただいて実施したアンケートの結果をご紹介します。
「仕事と子育ての両立でつらいことは?」と質問したところ、「周りの人は両立できていそうで落ち込む」「夫婦で話し合いができていなくてモヤモヤする」「頼れる人が身近にいなくて体力的・精神的につらい」という回答が目立ちました。

※2023年11月に行った「保護者のかた向けアンケート」(393人回答)に寄せられた体験談をもとに作成。

会社の同僚に聞くと、「休日に常備菜をまとめて作って、平日に温めるだけにしている」などうまく家事をしているようです。でも私にはなかなかそこまでできず、「自分はダメだな」と思ってしまいます。
(富山県・ちょこさん 第1子は小学6年生)

肉体的にも精神的にもキャパオーバーだったのか、上司に頼まれていたことをうっかり忘れ……の連続。迷惑をかけてしまったと思うと、いたたまれませんでした。
(栃木県・みかんさん 第1子は小学2年生)

子どもが体調不良で仕事を休まなければならない日が続くと、職場に申し訳ない気持ちと「夫が休みを取ってくれてもいいのに……」というストレスでイライラが強くなります。
(東京都・アイコさん 第1子は小学3年生)

今回のアンケート結果について、佐伯さんと渡邊さんのご意見をうかがってみました。

渡邊大地さん

株式会社アイナロハ代表取締役・札幌市立大看護学部非常勤講師
一般企業に勤務後、妻の出産をきっかけに産前産後の男性の役割を模索し、株式会社アイナロハを設立し、産後サポート事業「産後サポート 《ままのわ》」を開始。両親学級や父親学級、講演会などで精力的に活動。著書に『赤ちゃんがやってくる!〜パパとママになるための準備カンペキBOOK〜』(KADOKAWA)など多数。お子さまは中学2年生、小学5年生、小学1年生。

佐伯早織さん

ライフコーチ
ソフトウェア開発・販売企業やコンサルティング企業に勤務後、出産を経て2022年からコーチングを提供。現在はフリーランスとして、オンラインでコーチングセッションを行っている。ママコーチ仲間と共に、ママ向けの講座やイベント、コーチングを提供するBoshitoを運営中。お子さまは2歳。

佐伯さん:子育てで私がつらさを感じるのは、「正解がわからない・上限がない」ことです。実は仕事も同じなのですが、仕事の場合、それなりに時間は限られていますよね。
でも育児は、24時間・365日責任が生じます。特に、子どもも自分も体調を崩してしまったときはつらいですよね。
体力的にはもちろんつらいし、メンタル面で「仕事で周りに迷惑をかけて申し訳ない」と落ち込んでしまう人も多いのではないでしょうか。

渡邊さん:僕が注目したのは「夫婦で話し合いができていない」という項目です。
中学や高校で講演会を行う機会が多いのですが、生徒さんに質問すると共働き希望は、女子のほうが若干多い傾向はありますが、概ね男女とも5割ぐらい。
共働きを望む人に理由を聞いてみると、女子は「家事・育児を夫婦で分担したいから」と答える人が多い一方で、男子は「妻にも働いてもらわないと経済的にきつそうだから」という答えが多かったんです。
つまり、男性と女性で「共働き子育て」の目的やゴールが違う場合が多々あるということです。だからこそ話し合いができないと、パートナーの考えがわからず、ストレスが募りますよね。

佐伯さん:それに、仕事をがんばってきた人ほど、「仕事も子育ても全力投球!」という両立イメージを持ちやすいけれど、やることが次々に出てくるし、どちらも追求しようとすると時間的にも体力的にも無理が出てきますよね。

渡邊さん:仕事と子育ての両立は「あれもこれも」という足し算の思考になりやすいけれど、むしろ「何をカットできるか」という引き算がポイントになりそうですね。

働く保護者の自己肯定感が低下?

ベネッセ教育総合研究所が2023年度に実施した「乳幼児の保護者のライフキャリアと子育てに関する調査」では、0〜6歳のお子さまをもつ男女にアンケートを実施。
子育てやキャリアについての悩みでは、女性は「自分のための自由な時間を確保するのが難しい」「子どもと長く一緒にいることで疲れることがある」、男性は「仕事や家庭のこと等、複数の役割を両立させるのが大変である」という悩みを挙げる人が多いということがわかりました。

男女ともに、子育てをがんばりたいと思いながらも、理想と現実のギャップに悩んでいることが調査結果から見て取れ、保護者のかたの自己肯定感低下が懸念されます。

「乳幼児の保護者のライフキャリアと子育てに関する調査」ベネッセ教育総合研究所( 2023年)より、夫婦いずれも正社員で働いている回答者のみを再集計し算出(調査人数:母親で、母親・父親共に正社員=543名、父親で、母親・父親共に正社員=1,425名)

仕事と子育ての両立、どう乗り越えていく?

「周りに比べてうまく両立できていない気がする」
「夫婦で話し合いができていない」
「頼れる人が身近にいなくて抱え込むしかない」
こうした両立の悩みは、ちょっとした考え方の切り替えや小さなアクションが、乗り越えるきっかけになる可能性も。
佐伯さんと渡邊さんのアドバイス、他の保護者のかたが実践している工夫を参考にしながら、できることから始めてみませんか?

乗り越えメソッド1:仕事と子育ての両立イメージを再定義し「不要かもしれないこと」はやめてみる

お二人が強調するのが、「家事・育児にカンペキを求めないこと」。
「すべてを100%こなすのは無理」という前提で、手放せるものがないかを検討し、試しながら負担を減らしていくのがよさそうです。

佐伯さん:たとえば子育てで、「ほかのママ友がやっているように、子どもにいろいろな体験をさせてあげなければ」と思うことってありますよね。
でもお子さま自身は、休みの日に家族でトランプをするだけでもすごく楽しいと感じるかもしれません。
私の娘は2歳で、まだ自分の気持ちを細かく説明はできませんが、表情を見れば「何を楽しいと感じているのか」は推測できます。すべてをやらなきゃと思うのではなく、家族が求めていることは継続しつつ、そこまで重要ではないことはやめてみる。
お子さまやパートナー、そして自分の気持ちを大切にしながら、料理や掃除などでも省略できそうなちょっとしたことをいったんやめてみてはどうでしょうか。

渡邊さん:子どもたちが小さかったころ、妻はよく「今日は食器洗いが終わったからよし!」などと小さな目標を決め、それができれば他のことをやらなくてもOKとして、達成感につなげていました。
やるべき家事が多いうえに毎日のタスクをガチッと固定すると疲れているときにつらいので、柔軟に1日のタスクを決めるのもアリだと思います。

(体験談)

平日は洗濯物をたたむのはやめて1箇所にまとめて置いておき、休日に家族みんなでやるようにしました。私もラクになったし、家族のコミュニケーションも増えて一石二鳥!
(大阪府・あやさん 第1子は小学1年生)

乗り越えメソッド2:一人で解決しようとせず、子どもやパートナー、周りの人に頼る

両立のつらさで大きな割合を占めるのは、「誰にも頼れない」「全部自分でやらなきゃ」という重圧感ではないでしょうか。
でも、誰かに任せたり、頼ったりすることができれば、肉体的にも精神的にもとてもラクになれます。
お二人によれば、「他人に頼ること」のコツや効用もたくさんあるようです。

渡邊さん:僕の会社の産後サポートスタッフが、産後間もないお客さまのお宅にうかがうと、「子どものおむつ離れの時期が育児書と違う」などと悩むかたにしばしば出合うそうです。
発達のスピードなどは子どもによって違いますし、そうした悩みは、考えたり調べたりするより、詳しい人に聞いたほうが早いことも。
お子さまの発育についてはもちろん、保護者のかた自身についても心身の悩みを相談できる場はたくさんあるので、市区町村の子育ての相談窓口などで専門家の力もどんどん借りてください。
気持ちがラクになるだけでなく、自力でがんばるよりスムーズに解決できる悩みもきっとたくさんありますよ!

佐伯さん:ちょっとした家事をお子さまに任せるのも、とてもいいと思います!
お子さまは「家族の役に立てている、家族の一員なんだ」と感じることになり、保護者のかたとのつながりも強まるからです。
パートナーのかたに関しても同じではないでしょうか。
しんどいときはそれをスッと口にしてみると、「じゃあ自分がやるよ」と申し出てくれるかもしれないし、もっとラクな方法を一緒に考えることもできるかもしれませんね。

(体験談)

子どもが小学校に入ってからは、自分の水筒を洗ったり洗濯物をたたんだりする家事を任せています。少し家事の量が減るだけでも、気持ちの負担はだいぶ減りました。
(福岡県・*ちび*さん 第1子は小学4年生)

乗り越えメソッド3:つらい気持ちをため込まず、少しずつでもパートナーと話す

両立していくにあたって不可欠なのがパートナーとの話し合い。
毎日感じるつらさや不満を吐き出すことができないと、モヤモヤがどんどんたまってしまいますね。
パートナーとのコミュニケーションにあたってのコツを、お二人にうかがいました。

佐伯さん:パートナーに話をする前に、「ちょっとした不満はあるけど、もう少しがんばってから、相談したいことが明確になってから話そうかな……」と考えてしまうことはよくあると思います。意見がまとまっていなくても、もっと気軽に話してみてもよいと思います。
そのときは、「解決策はいらない、とりあえず今の気持ちを共有したい」と伝えるのがおすすめです。
逆にパートナーが話を聞いてほしそうなときは、途中で口を挟まず、まずはじっくり傾聴してください。コーチングやカウンセリングの考え方では「悩みを話し、相手がそれを聞いてくれる」だけでも傷が癒えるといわれています。

渡邊さん:僕と妻は数年前から、週1回は夫婦で話す時間をとっています。
この時間には互いに不満を言い合うこともあるし、大事な話がないときは「将来はどんな間取りの家に住みたい?」なんて雑談をすることも。
とにかく話す習慣を途切れさせないようにしていると、互いにモヤモヤをためることがなくなって、「突然爆発」みたいなことはなくなりました。
何かあったときだけ話すようになると、特に男性は「怒られるんじゃないかな」と緊張してしまうかも。
普段から、大事な話もそうでない話も気軽にできる関係性をつくっておけるといいですね。

(体験談)

仕事から帰宅して家事が進んでいないことが続いたので、パートナーや子どもと話し合って家事をしっかり分担。犬の散歩や料理などをやってもらえるようになり、とても助かっています。
(三重県・はなさん 第1子は中学3年生)

仕事も子育てもがんばるあなたへ

最後に、仕事も子育てもがんばっていらっしゃる保護者のかたに向けて、佐伯さんと渡邊さんからのメッセージをお届けします。

佐伯早織さん:私も子育てをしながらオンラインでコーチングの提供を行っています。
仕事と育児の両立は時間・体力との戦いなので、どちらも100%というわけにはいきません。
「自分が一番大切にしたいことは何か」「どんな家族でありたいか」と考えたときに、私は「家族が笑顔でいられて、ごはんがおいしく食べられること」という結論に行き着きました。
「一番大切なことが満たされていればOK」とマインドを少しずつ切り替えて、一緒に両立を楽しんでいきましょう!

渡邊大地さん:この記事を読んでくださっている時点で、すごくがんばっていらっしゃることは僕が保証します!
これ以上がんばるのは大変だから、周りを見回して、パートナーやお子さま、その他頼れる人の力を借りてみませんか?
1つでも2つでも「これは任せちゃおうかな」「遠慮しないであの人に聞いてみよう」と思えることを増やしてもらいたいです。

まとめ & 実践 TIPS

渡邊さんと佐伯さんからは、両立のポイントとして「カンペキを目指さない」「ため込まない」「周りに頼る」などのご提案をいただきました。
これらの要素をひと言でまとめると、《引き算の子育て》といえそうです。
保護者のかた自身が楽しく過ごせれば、家庭の雰囲気も楽しいものになり、お子さまにもパートナーにもきっとよい影響があるはず。
これまでの習慣や考え方を見つめ直して、できるだけ無理せず子育てを楽しめる方法を探していきましょう。

※記事内の体験談コメントは2023年11月に行った「保護者のかた向けアンケート」(393人回答)より掲載。

プロフィール

渡邊大地

株式会社アイナロハ代表取締役・札幌市立大看護学部非常勤講師
一般企業に勤務後、妻の出産をきっかけに産前産後の男性の役割を模索し、株式会社アイナロハを設立し、産後サポート事業「産後サポート《ままのわ》」を開始。両親学級や父親学級、講演会などで精力的に活動。著書に『赤ちゃんがやってくる!〜パパとママになるための準備カンペキBOOK〜』(KADOKAWA)など多数。お子さまは中学2年生、小学5年生、小学1年生。

プロフィール

佐伯早織

ライフコーチ
ソフトウェア開発・販売企業やコンサルティング企業に勤務後、出産を経て2022年からコーチングを提供。現在はフリーランスとして、オンラインでコーチングセッションを行っている。ママコーチ仲間と共に、ママ向けの講座やイベント、コーチングを提供するBoshitoを運営中。お子さまは2歳。

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