【体験談】迷った時の参考に。高校の芸術、何を選択する?実際はどう?

迷ったときの参考に 高校の芸術何を選択する?

高校では、「芸術」とまとめて呼ばれる科目から自分が学びたいものを選択して学ぶ制度があります。学校によって異なりますが、一般的には、音楽・美術・書道・工芸の4科目の中から一つを選ぶというものです。ただ、「どれを選ぶべきかいまいちわからない……」というかたも多いでしょう。

この記事では、2024年10月の「大学生向けアンケート」(33人回答)に寄せられた「高校生の芸術(音楽・美術・書道・工芸)で選択したものとその理由・体験談」の結果と、それぞれの科目についてご紹介します。

音楽:実技テストで歌や演奏を披露することが多い

音楽:実技テストで歌や演奏を披露することが多い

「準備・片付けの手軽さから音楽を選びました。もとからポピュラー音楽を聞くのは好きでしたが、授業ではミュージカルやオペラなど、普段あまり触れないジャンルの音楽を鑑賞する機会があり、世界が広がったと感じました。」(東京科学大・4年)

「吹奏楽部で音楽に日頃から触れていたため音楽を選択しました。歌やギターの実技テストをした時は緊張しましたが、映画を見たり自分がやりたいことを自由に発表したりしたのが楽しかったです。」(法政大・4年)

「音楽を選択しました。うちの高校ではいろんな楽器を弾くことができて、ギター、三味線、バイオリン、オカリナ、ハンドベルなど『一生弾かなかったろうな』という経験ができてとても思い出に残っています。」(明治大・4年)

「もともと、歌や楽器演奏が好きだったので、音楽を選択しました。ソロ歌唱の他、ドイツ語での『第9』合唱の機会もあり、それが今の大学でのドイツ語の発音などの学習に生きてきています。音楽が言語学習に影響してくると思わなかったので意外でした。」(上智大・2年)

音楽は、歌を歌ったり、さまざまな楽器を演奏したりする科目です。音楽鑑賞や実技テストなどで、クラスメイトの前で歌や演奏の発表をすることもあるでしょう。

選んだ理由として、吹奏楽部やピアノなどの楽器を習っている人がいることが体験談からもわかります。中学の授業では扱わないさまざまな楽器の奏法が学べることに加え、音楽の構造や文化的・歴史的背景についても知ることができる科目です。

美術:一つのテーマに対する課題をクリアしていく

美術:一つのテーマに対する課題をクリアしていく

「上手ではありませんが、絵を描くことが好きだったので迷わず美術を選択しました。中学までは決められたものを上手に描くことが成績評価につながっていましたが、高校の先生は、うまいか下手かではなく、自分の思いをこめることができたかなど感性の面でも応援をしてくれたのでとても楽しかったです。また、中学までの誰かの作品をからかうなどの雰囲気がなく、お互いにほめ合うことができたので美術や鑑賞が今まで以上に好きになりました。」(中央大・3年)

「美術を選択しました。芸術選択をする時点で、大学は建築を学ぼうと決めており、入試にデッサンが課されることを踏まえ美術にしました。中学ではやらなかった油絵や日本画を学べて、使ったことがない画材を使えて楽しかったです。」(明治大・3年)

「音楽・美術・書道の中から美術を選択。技法を初めてちゃんと学び、最終的にはある程度の完成度の作品が作れるようになったと共に、美術館鑑賞が楽しくなったため、選んだことを非常に満足しています。」(東京外国語大・1年)

「中学生の時から美術が好きだったため美術を選択しました。同じく美術を履修している人たちは、絵を描いたり、何かを作ったりすることが上手でした。授業では、食品サンプルを粘土で作ったり、消しゴムはんこをやってみたりなどとユニークでした。」(お茶の水女子大・1年)

美術は、絵画やデザイン、映像メディア表現などを、制作と美術鑑賞から学びます。学校によって学習内容は異なりますが、油絵や彫刻など中学校ではできなかった体験ができるところもあります。

最初から手先の器用さやデッサン力がなくても大丈夫です。先生の指示にまじめに取り組むことで、テーマごとの課題をクリアしていきましょう。高校の美術では、中学よりも深く「表現」を楽しむことができますよ。

書道:小学校時代から馴染みのある科目

書道:小学校時代から馴染みのある科目

「小学2年生の頃から書道を習っているため、書道を選択しました。大学進学に向けて成績が重要になるため、自分が一番得意で力を発揮できる科目だからです。習い事では書かないような書体を用いて、友達と共同で作品を作ったことがいい思い出です。」(上智大・4年)

「書道。中学までは触れてこなかった、さまざまな文体の文字の知識を得ることができて、思っていた以上に楽しい授業でした。今でも、美術館で書を見るのが好きです。」(法政大・4年)

字の美しさを、書くことで表す書道。毛筆や硬筆で書く練習をしたり、「篆刻(てんこく)」といって文字を彫る学習をする場合もあります。書道は小学校から経験のある人も多く、取り組みやすいため人気があります。

書体についての勉強や、漢字についての深い理解も必要であり、過去に学んだ書道とはまた違う魅力を発見することができるでしょう。

工芸:「ものづくり」について学び、体験する

工芸:「ものづくり」について学び、体験する

「工芸を選択しました。音楽と美術は中学校であまりうまくいかず、書道と工芸で悩んだ結果工芸を選びました。難しかったですし、特に案出しはうまくいかない部分ばかりでしたが、なんとか終わらせることができました。」(東京科学大・1年)

工芸とは、生活の中で使用される実用品でありながら、技巧や意匠などを加え美的価値が付加されたものを指します。

工芸の授業では、さまざまな工芸作品や文化遺産などの鑑賞と、実際に工芸作品を制作することによって、人々の生活の中にある「ものづくり」について学びます。

投影図法でものを表したり、木彫の加飾について体験をしたり、さまざまなものづくりを行いながら、工芸の技術や知識を得て、幅広く手作りの楽しさを感じられる科目です。

まとめ & 実践 TIPS

芸術科目は、学校によって実施される内容に大きな違いがあります。

将来考えている進路に、その科目を学ぶことが必須だと思われる場合、必ず希望を出す際に備考欄に記載したり先生に伝えたりするなどして、希望の科目を履修できるようにお願いしておきましょう。また、推薦入試(総合型選抜・学校推薦型選抜)の利用を視野に入れている場合、成績に自信がある科目を選択することも必要になるかもしれません。

自分自身が好きなことか、興味があるかといった基準で選択するのに加え、先生や先輩から情報を集めるなどして、学習内容がやる気を持って取り組めるものかどうかも判断して決めるのがおすすめです。

大学生の先輩がたの体験談も参考に、自分に合う芸術科目を選んでくださいね。

【参考文献】
【芸術編 音楽編 美術編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説
※2024年10月に行った進研ゼミ受講経験のある大学生向けアンケート(33人回答)に寄せられた体験談をもとに作成。

プロフィール


海田幹子

教育・育児、マネー等について執筆。現在、小学生2人の子育てに奮闘中。

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