1歳半健診とは?チェック項目や持ち物は【医師監修&体験談あり】

お子さまは1歳半~2歳の間に、市町村の1歳半健診を受けます。これまでの乳児健診と1歳半健診は検査項目も異なってくるため、「どんなことをするのだろう」と不安に思う保護者のかたも多いでしょう。「順調に健康に育っているだろうか」と心配になることもあるかもしれませんね。
今回は1歳半健診について、持ち物や流れ、検査項目などをご紹介します。また、実際に1歳半健診を経験した保護者のかたに当日の体験談やお役立ち情報も教えてもらいました!

1歳半健診とは?健診の位置づけと目的

1歳半健診は、正式には「一歳六か月児健康診査」といいます。以下で位置づけと目的を確認しましょう。

◆健診の位置づけ
1歳半健診は母子保健法によって、市町村が行うことが義務づけられている定期健診です。もし指定された日時に都合がつかない場合には、日程を変更したり受診場所を変更したりできるか、最寄りの役所や保健センターに相談してみましょう。
対象は満1歳6か月を超え満2歳に達しないお子さますべてで、料金は無料です。

◆健診の目的
1歳半健診では、運動機能や視聴覚など身体の成長と、精神発達の度合いをチェックします。それにより、お子さまの発達状況を把握するとともに、先天性疾患や精神発達の進度などの問題を早期発見し、適切に指導・対応することで心身障害の進行を防止することが目的です。
また健診のなかで、生活習慣や虫歯の予防、栄養や育児について指導し、お子さまの心身の健康を保持・増進することも目的のひとつです。
さらに、保護者のサポートをするという大事な目的もあります。保護者が医師や保健師など専門家に心配事や悩みなどを相談できる場でもあるのです。

1歳半健診の持ち物は?

健診の持ち物は市町村からの通知で指定されますが、一般的には以下のようなものが必要です。直前に慌てないように準備しておきましょう。

・母子健康手帳
・健康保険証
・乳幼児医療費受給者証
・記入した問診票
・虫歯予防指導のための歯ブラシ
・オムツとオムツ替えセット(汚れ物を入れるビニール、オムツ替えシート、おしりふきなど)
・水筒など水分補給セット
・筆記用具
・ウェットティッシュ
・タオル(防寒や汗・よだれ拭きのため)

待ち時間が長くなってしまうことや、健診が集団で行われる場合には、慣れない環境や人の多さでお子さまがぐずってしまうことがあります。そこで、お気に入りのおもちゃや絵本などを用意しておくと安心です。
また、心配な点や気になることなど医師や保健師に聞いてみたいことをまとめたメモを用意しておくと、聞き忘れることがないのでおすすめです。

先輩パパママ体験談!健診当日に持参・用意して役に立ったものは?

おもちゃや絵本

うろうろしてしまうので、バインダーにホワイトボードやノートを張り付けて持っていき、バインダー一つで暇潰しができるようにしていきました。(大阪府)

お気に入りの絵本とおもちゃを持っていきました。車が好きだったので、保健師さんとのやり取りの時に車のおもちゃで遊んでる姿を見てもらえました。(兵庫県)

飲み物や食べ物

健診をしてくれる施設はおもちゃもたくさんあったし、絵本もたくさんあったので、特に持っていきませんでした。ただ、水分としてお茶は持って行きました。(京都府)

健診の待ち時間が思ったより長かったので、終わったあとに食べるオヤツを持って行ってよかったです。(広島県)

ベビーカー

換えのオムツやお茶の入ったマグなど荷物が多かったので、子どもが歩くときは荷物をベビーカーに乗せられて助かりました。(富山県)

羽織りもの

検査中、子どもがオムツ1枚で待っていなくてはいけない時間があり、寒い時期だったのでケープやポンチョなどの着脱しやすい羽織りものは役立ちました。(栃木県)

お気に入りの洋服を着て行った

持ち込んだものはありませんが、お気に入りの服と靴下で行きました。靴を気に入っていて、体重測定の時に靴を脱ぐのを嫌がり大変でしたが、お気に入りの靴下で気を引いてなんとか乗り切れました。(福岡県)

特に何も持っていかなかった

子供が集まるところはおもちゃ等があるので、帰りに抱っこで帰ることを想定して、むしろ必要最低限のもの以外持たないようにしました。(宮城県)

お気に入りのおもちゃを持っていくはずが忘れてしまい……待ち時間にグズったらどうしようと思いましたが、会場は大泣きの子だらけで(笑)思っていた以上に気を遣わずに済みました。(大阪府)

※2023年10月に行った「保護者の方向けアンケート」(408人回答)に寄せられた体験談より

1歳半健診の流れ

健診の流れは市町村によって異なることがありますが、だいたい以下のように進められます。

◆問診票や案内の郵送
市町村から、開催場所や日時について通知があります。
問診票は当日記入することが多いため、なくさないよう注意し、保管しておいてください。

◆受付
保健センターなどの開催場所で、指定の日時に受付します。地域によっては、当日、健診の人数が多くて受付に時間がかかってしまう場合があります。指定の時間より少し早めに着くようにしましょう。

◆問診
医師や保健師がお子さまの日頃の様子について保護者に質問したり、お子さまと話して様子をみたりします。お子さまの発達状況を客観的にみてもらうためにも、日常のありのままを話しましょう。

◆歯科検診
歯科医師が虫歯の有無や噛み合わせについてチェックします。市町村によってはフッ素の塗布をしてもらえることがあります。その場合、一定時間飲食しないように指導されることがあるため注意が必要です。

◆医師の診察
心身の発育・発達状態について医師が専門的に診察します。

◆子育て相談
健診の結果について説明があります。育児やしつけなどについても聞いてもらえますので、不安なことがあれば相談してみましょう。

◆講習会
歯科医師や栄養士から、虫歯予防や栄養に関する短い話を聞きます。自治体によって差はありますが、歯磨きの方法や食事のメニューの提案など具体的な話を聞くこともできます。メモを取っておくとよいでしょう。

1歳半健診の検査項目と検査方法

1歳半健診では以下のような検査を行うことが一般的です。

◆体の発育状況をチェック
具体的には、まず身長、体重、頭囲、胸囲などを計測します。その後、胸の音を聞くほか、骨格や皮膚、性器などに異常がないか、大泉門が閉じているか、音や光に反応するかといったことを検査します。
また、どの程度歩けるようになっているかをチェックします。
体の発達は個人差があるものですが、あまり歩くのがうまくない、歩き出したのが遅いなど心配なことがある場合には、具体的に伝えましょう。状況によっては股関節の動き具合など、その場でより詳しくみてもらえることもあります。
そのほか、聴力検査や歯科検診も行われます。

◆発達状況のチェック
精神発達の状況や言語障害の有無についてチェックします。具体的には、以下のような方法で検査することが一般的です。

・つみき
与えられたつみきを重ねられるかどうかで、指先の発達を確認します。

・指差し
動物や車などの絵が描かれた紙を見せ、言われたものを見つけられるか、指差すことができるかなどをチェックします。これ等を通し、言葉の意味や物事を理解しているかを確認します。

・意味のある単語を言えるか
「ママ」「パパ」「ブーブー」といった簡単な言葉を使えるかをチェックします。言語発達も個人差があるため、他のお子さまに比べまだ多くの単語が言えなかったとしても、焦ることはありません。気になるようであれば、医師に相談しましょう。

つみきや指差しは発達の目安ではありますが、つみきを積んだり、指差しで意思表示したりすることが好きではないお子さまもいます。また、普段の生活のなかでそうした遊びをしていなければ、健診でいきなり言われてもできないでしょう。そのため、普段から親子で遊ぶときに、保護者が絵を差しながら絵本を読んだり、一緒につみきを積んだりして遊びましょう。
また、家ではたくさんの言葉が出てくるのに、環境が違うと言えなくなってしまうお子さまもいます。そこで、可能なら普段の様子を動画で撮っておきましょう。健診で普段どおりにできなくても、動画で医師に確認してもらうことができます。

◆その他問診で生活習慣をチェック
栄養状態などの生活習慣について問診でチェックします。
食事やおやつの量と回数、お昼寝の時間帯などについて、お子さまの普段の状況を話しましょう。この時期のお子さまは、離乳食の進度にも個人差があります。食が細い、好き嫌いが多いなど、心配なことがあれば相談してみましょう。

1歳半健診はどれくらいかかる?

所要時間は、自治体や混雑具合にもよりますが、おおよそ60~90分ほどかかるようです。

参考:1歳6か月児健康診査ー横浜市

1歳半健診で再検査になったら?

1歳半健診では、当日の結果によっては「精密健康診査」と呼ばれる再検査を案内される場合があります。

精密健康診査は、自治体の指定医療機関で専門医などによって実施されます。また、検査の結果によっては、乳幼児経過観察指導と呼ばれる経過フォローが行われることもあります。

再検査は、お子さまの発達状況をより詳しく検査し、成長のサポートへと繋げていくものです。また、再検査となったからといって必ずしも疾患や発達の課題があるわけではありません。不安を覚えてしまうこともあるかもしれませんが、過度に心配しすぎず、普段気になっていることや悩みについても予めまとめておくなどして、再検査の際に相談できるといいですね。

万が一、「要観察」と言われても心配しないで!

1歳半健診では、お子さまがいつもと違う環境に緊張したり、機嫌がよくなかったりして普段どおりの様子を見せられないことも多々あります。その結果「要観察」になることもあるかもしれませんが、必要以上に心配することはありません。生活するうえでの注意点やお子さまへの働きかけ方のアドバイス、専門家・専門機関への紹介など、お子さまの成長に役立つ情報をもらい、親子で少しずつ取り組んでみましょう。
また、もしも何かがあった場合も、早期の対策はお子さまの成長の助けとなります。お子さまの健やかな成長のために、しっかり健診を受診しましょう。

参考URL
※母子保健法
※母子健康法と発達障碍者支援法に見る乳幼児健康検査の役割
※中野区 乳幼児健康審査・予防接種

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プロフィール



子どもの心身の成長に向き合う現場を20年以上経験するドクター。経験に加え、日本小児科学会専門医・指導医、日本小児神経学会専門医・指導医、日本てんかん学会専門医・指導医、と数多くの認定資格を所持し、日々、てんかんや熱性けいれんなどのけいれん性疾患、頭痛、発達の遅れ、脳性麻痺など、主に神経疾患のお子さんの診察を行う。東京医科大学主任教授としても、次世代の医師の育成に力を入れている。

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