大学選びは正確な情報から 偏差値だけに頼らずに‐斎藤剛史‐

新年度が始まりましたが、多くの高校3年生にとって、新年度は本格的な受験生活のスタートでもあります。志望大学も徐々に明確になってくるでしょう。ところで、受験生やその保護者は、志望大学を選ぶための情報をどうやって得ているのでしょう。本当に必要な情報が得られているでしょうか。今回は大学の情報について、入試情報とは少し違う角度から見てみたいと思います。

全国で780校以上ある大学から志望校を選ぶのは、なかなか大変なことです。入試の難易度だけで選んだら自分が学びたい内容の授業がなかったなど、偏差値だけの大学選びの失敗例は少なくありません。まず、各大学の実態を知ることが必要でしょう。
文部科学省は学校教育法施行規則改正により、2011(平成23)年度から各大学に収容定員、入学者数、実際の学生数、卒業者数、卒業者の進路、学校納付金、科目ごとの授業計画、教員数、各教員の研究実績などの基本情報の公開を義務付けています。収容定員に対して学生数が少なければ定員割れしているということになります。また、入学者数に対して卒業者数が少なければ、留年者や退学者が多いということになります。
各大学のホームページを丹念に見ると、原則として基本情報を知ることができます。ただ、大学によってはこれらの基本情報をホームページの中の見つけにくい場所に掲載していたり、詳細を省いたりしているところもあるようですので注意が必要です。

大学の経営状態を見るという方法もあります。私立学校法では学校法人に財務情報の公開を義務付けており、文科省の「学校法人の財務情報等の公開状況に関する調査」のページから各私立大学のホームページにある財務情報を見ることができます。また、財務情報のうち各年度の事業報告書はさまざまな情報を一度に知るのに便利ですが、文科省の調査によると、その中で入学定員を公開している大学は92.6%あるものの、「志願者数、受験者数、合格者数等」を公開しているのは55.6%、「卒業者数、修了者数、学位授与数等」を公開している大学は41.7%にすぎませんでした。
文科省は受験生や保護者などに広く知らせるため、国公私立大学すべての基本情報を網羅した「大学ポートレート」(仮称)というデータベースを作成中です。基本情報を積極的にわかりやすく公開している大学は、きちんと運営されている大学であるといえるでしょう。

このほか、大学は7年に1回の割合で第三者機関による大学評価を受けることが法律で義務付けられており、大学基準協会日本高等教育評価機構などから2013(平成25)年度の大学評価の結果が発表されています。大学全体が多様化するなかで受験生やその保護者は、偏差値だけでなくさまざまな角度から情報を集めて、慎重に大学を選ぶことが大切です。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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