英単語どうやって覚えてる? 効率的な覚え方と暗記学習の注意点
英語の勉強で避けて通れない英単語の学習。公立高校入試レベルでは1200語程度、大学入試レベルでは5000語程度が必要とされています。学校の授業だけでは覚えきれない英単語を効率的に覚える勉強法と暗記学習で陥りやすい注意点を解説します。
この記事のポイント
英単語を覚えることの重要性
英語学習では、英文法と英単語を習得する必要があります。英文法の知と英単語の知識の両方があるからこそ、英文の内容を理解する土台を築けるからです。
学校の国語や現代文で日本語の文章を読むときも、語彙力がないと内容の十分な理解は難しいもの。英語でも同じことがいえます。
ただ、英単語を一つ一つていねいに覚えていくだけでは、なかなか記憶に定着させられないかもしれません。効率的に英単語を覚えるには、覚え方も重要なのです。
英単語の効率的な覚え方5選
英単語には多くの覚え方があります。どの覚え方が適しているかは、英語学習の目的やレベルによって異なります。今回は、テスト直前対策、リスニング対策、英会話力アップなどにつながる覚え方をご紹介しましょう。
【覚え方1】「テスト式暗記」で小テスト直前対策
英単語の小テストや定期テスト対策のために英単語を覚えるなら、出題範囲の英単語や重要語を集中的に覚えるテスト式暗記がおすすめ。英単語を見て日本語訳を書く、日本語を見て英単語のスペルを書くという方法で、以前からよく行われている「くり返し書く」方法のひとつです。
ただし、効率的に覚えるには少しやり方を工夫してみましょう。同じ単語を10回書いてから次の単語を書くのではなく、10個の単語を1回ずつ書くテストをくり返し、間違えた単語だけもう一度書くという覚え方です。
<テスト式暗記を使った覚え方>
- (1)覚えたい英単語・熟語を10個選ぶ
- (2)英単語・熟語の意味を確認する
- (3)英単語・熟語1個あたり3〜5回書いてスペルを確認する
- (4)英単語・熟語のスペルを見ながら和訳テストを行う
- (5)間違えたものだけ、もう一度和訳テストを行う(全問正解するまで繰り返す)
- (6)和訳を見ながらスペルの書き取りテストを行う
- (7)間違えたものだけ、もう一度スペルテストを行う(全問正解するまで繰り返す)
暗記の際は、その単語の品詞(名詞・動詞・形容詞・副詞など)や接頭語・接尾語(dis-や-tionなど)を意識すると覚えやすくなります。単語によっては、辞書で調べるときに語源も見ておくと記憶に残りやすいかもしれません。
【覚え方2】「英文穴埋めノート」で定期テスト対策・リーディング対策
定期テスト対策やリーディング対策も兼ねて英単語を覚えるなら、「英文穴埋めノート」を作ってくりかえし取り組むとよいでしょう。いわば自分専用の単語帳です。
暗記に使う英文は、教科書の本文や英単語集、問題集の例文です。英文ごとまとめて単語を覚えられるため、単語を1つずつ覚えるより効率的です。
高校生や大人のかたなど、時事問題に関する英語表現を覚えたい場合は、英字新聞の記事やインターネットで見つかる和訳付きの英語記事でやってみるとよいでしょう。
<英文穴埋めノートを使った覚え方>
- (1)覚えたい英単語・熟語が含まれている英文を選ぶ
- (2)覚えたい部分を赤シート等で隠れるように色分けしながら、ノートの左ページに英文を書き写す
- (3)知らない英単語・熟語を調べながら、ノートの右ページに全訳していく
- (4)右ページを見ながら、左ページの英文を使って英単語・熟語の穴埋めテストをする(全問正解するまで繰り返す)
英文穴埋めノートを使って音読も行えば、より記憶に残りやすくなります。音読のやり方は、次の項目で紹介します。
【覚え方3】中学生から大人まで「音読」で発音とともに覚える
普段の英語学習としてもおすすめなのは、「音読」を使った覚え方です。
音読とは英文を目で見ながら声に出して読んでいく方法で、英単語を書く必要がないため反復学習をしやすいのが最大のメリットでしょう。まとまった英文ごと繰り返し学習できるため、一気にたくさんの英単語・熟語を覚えられますし、視覚・聴覚に加えて自分で発音するという複数の方法で頭に入りやすくなります。
また、音声を聴いて自分の口で再現するという方法は、リスニングでつまずく原因となりやすい「音声変化」(keep itがキーピッになるなど)の練習にも効果的です。
音声付きの英語教材があれば単語集、問題集、教科書、英語の記事など使える場面はたくさん。本格的に英語を学ぶ中学生から、もっと英語力を上げたい大人まで使える王道の覚え方といえるでしょう。
<音読を使った覚え方>
- (1)音声付きの教材から音読したい英文を選ぶ
- (2)英文の中で知らない単語に印をつけ、意味を調べる
- (3)教材にある和訳を読んでないようを確認する
- (4)文章全体の音声を一度聴く
- (5)1文ずつ音声を止め、音を真似して音読する(スラスラ音読できるようになるまで繰り返す)
- (6)全体をとおして、さらに10回音読する
【覚え方4】「シャドーイング」で英単語・熟語の音声変化とともに覚える
音読の発展版として、「シャドーイング」を行ってもよいでしょう。シャドーイングは、お手本となる音声を真似しながら影のように追いかけつつ発音するトレーニングのこと。音読と異なるのは、最終的には英文を見ずに発音していく点です。
シャドーイングでは音に集中するやり方ですので、ネイティブの発音やアクセントを習得するのに効果的。音読以上にリスニング力向上を期待できます。
シャドーイングを使って英単語・熟語を覚えていくコツは、使いたい英語の文章や会話を事前にしっかり理解しておくこと。スクリプト(音声の原稿)を使って、知らない英単語を調べ、音読で読み方や全体の流れを確認してから取り組むと続けやすいでしょう。
<シャドーイングを使った覚え方>
- (1)シャドーイングしたい英語音声を選ぶ(英単語集の例文や教科書の本文でもOK)
- (2)スクリプトを読み、わからない単語を調べたり和訳を確認したりする
- (3)スクリプトを見ながら、全体の音声を一度聴く
- (4)音声を聴きながら何回か音読をする
- (5)スクリプトを見ずに、1文または1段落ずつ音声を流しながら追いかけるように真似して発音する(スラスラできるようになるまで繰り返す)
- (6)音声全体をとおして10回シャドーイングを行う
【覚え方5:上級編】「映像+シャドーイング」で使える英語表現を覚える
英単語を効率的に暗記するには、なるべく五感全体を使って覚えるのがコツ。英単語・熟語にさまざまな情報が結び付けられることで、記憶に定着させやすくなります。
音読やシャドーイングは「見る」だけでなく音を「聴く」「話す」も兼ねた覚え方。そこに映像を使えば、さらにイメージや文脈といった英語表現の使い方も含めた英単語・熟語の学習が可能になります。比較的英語が得意なかたは、映像を観ながらシャドーイングをしてみてください。
<映像+シャドーイングを使った覚え方>
- (1)シャドーイングしたい場面を選ぶ
- (2)映像を日本語で観て内容を確認する(原文の情報をより多く含む日本語吹き替え、または教材の和訳を利用)
- (3)英語字幕を表示して、英語の発音を確認する
- (4)英語字幕を表示した映像を流しながら、登場人物のセリフをどんどん真似して発音する(スラスラできるようになるまで繰り返す)
- (5)英語字幕を表示せずに、映像を観ながらシャドーイングを10回行う
映像を用いた英単語暗記に適した教材は、海外のニュース映像を使った英語学習ができるサイトや、英語学習者向けにアニメーションなどで解説している教材でしょう。
英語が得意な中学生や高校生なら、英語のドラマや映画も使えるかもしれません。まずは10代向けのドラマで恋愛や学校生活などをテーマとした作品を使ってみてください。早口の登場人物があまりいない、専門用語があまり出てこないタイプがおすすめです。
シャドーイングの際は、登場人物の口の形や声音まで真似するよう意識しましょう。
英単語の覚え方で注意したいポイント3つ
英単語・熟語を効率的に覚えるには、以上のやり方に加えていくつかの注意点があります。
【ポイント1】英単語集は例文・音声付きを選ぶ
今回ご紹介した英単語・熟語の覚え方には音声を確認しない覚え方や例文を使わない覚え方がありました。しかし、英単語集はできる限り例文・音声付きのものを選ぶのがおすすめです。
英単語・熟語は、それだけを単独で覚えても使い方がわかりません。文の中でどのように使うのか、どのような文脈で使うのかといったことを知るためにも、例文は必須です。
また、英語の読み書きだけをするなら発音は必要ないかもしれませんが、実際はリスニングやスピーキングの力が試される場面があります。英単語・熟語のスペルだけ覚えておいて、あとから発音を覚えるのは非効率。最初から音と一緒に英単語・熟語を覚えておけば、間違った発音を覚えて苦労することも避けられます。
【ポイント2】英単語集や教材のレベル・単語数は自分に合ったものを選ぶ
英単語・熟語を覚える際は、自分のレベルに合った単語集や教材を使うほうが無駄がありません。レベルが高すぎると「わからない」と感じるものが多くなってやる気をなくしてしまう恐れがありますし、レベルが低すぎると新しい知識がなかなか得られないからです。
高校受験や大学受験のために英単語・熟語を覚えるなら、志望校のレベルに合った単語集を使ってみましょう。たとえば大学受験なら、大学入学共通テスト対策用で5000語程度、難関校を目指す場合は6000〜7000語程度が目安になると言われています。中学英語が心配なら、高校受験用の英単語集から始めるほうが取り組みやすくなります。
受験以外で英語の語彙力アップを図りたいかたは、単語集や教材をパラパラめくってみて「これは知ってる」と感じられる部分が6〜8割ほどあるものがおすすめ。同時に、まえがき・目次などで教材の使い方などもチェックしましょう。
【ポイント3】アウトプットと反復学習で長期記憶へ
英単語の覚え方でもう1つ重要なのは、「目で見る」「耳で聞く」というインプットだけでなく、「自分で書く」「自分で発音する」というアウトプットも繰り返し行うことです。
単語集を1周したあとに覚えている英単語・熟語の数が思ったより少ないことに気づいて「自分は記録力がない」と嘆く受験生をみることがありますが、そもそも1度だけで覚えられる人はほとんどいません。
新しく覚えた英単語・熟語を短期記憶から長期記憶にするには、繰り返しインプットとアウトプットを行いましょう。忘れて当たり前と考え、完全に忘れる前に復習するようにすれば、覚えた英単語・熟語を忘れにくくなります。
反復学習のタイミングは、最初に覚えた日の翌日・1週間後・1カ月後の3回がおすすめ。自分で和訳テスト・スペル書き取りテスト・音読テストなどを行い、忘れていたら覚え直してください。
まとめ & 実践 TIPS
効率的な英単語・熟語の暗記をするには、目的に合った覚え方や適切なレベルの教材選び、そしてなるべく多くの感覚を使って覚えることがポイントです。一度覚えたことも復習をしなければどんどん忘れていくものですので、暗記学習は同じ内容を3〜4回やるものと考えてください。
まずは手元の英語教材をもう一度確認し、英単語・熟語の暗記に使えそうなものがあるか見てみましょう。
出典:
高校受験英語「もう間に合わない」と嘆く前に! 特急で覚える英単語暗記法3選
https://benesse.jp/eigo/202011/20201102-1.html
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