効率的に暗記するコツは?おすすめ暗記法から科目別ポイントまで紹介
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漢字や英単語、歴史上の出来事など、どんな科目であっても暗記は欠かせません。しかし「なかなか覚えられない」「暗記は飽きてしまう」と苦手意識を感じるお子さまも多いのではないでしょうか。そこで、脳の仕組みの基づいた暗記のコツからおすすめの暗記法まで、効率的に暗記するためのノウハウをご紹介します。
暗記ができない・定着しない4つの原因
暗記に苦戦するのは、脳の仕組みと暗記学習のやり方に原因があることが考えられます。4つの原因を解説します。
1.脳は忘れるように設計されている
脳は、覚えたことを忘れるように設計されています。なぜなら、脳には毎日たくさんの情報が入ってくるため、全て溜め込むと容量オーバーになってしまうからです。それを防ぐために、脳は重要でないと判断した情報を長期記憶として保存せず、短期記憶として消去するのです。
ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが表した「エビングハウスの忘却曲線」によると、人間は新しく覚えたことも1時間後には56%を忘れ、1日後には76%を忘れてしまうと言われています。
そのため、暗記できずに忘れてしまうことはある意味自然なこと。「記憶力が悪い」と自分を責める必要はなく、脳の仕組みを利用したコツを手に入れていけば大丈夫です。
2.暗記方法が偏っている
暗記は脳を活性化させ、五感を使って記憶に定着させていくことがポイント。そのため「黙読だけ」のように1つの感覚しか刺激しないような方法のみで行っていては、効率的に暗記を進めることができません。複数の感覚を刺激するために、いくつかの暗記法に取り組んでいきましょう。
3.覚えるだけでアウトプットしていない
暗記はインプット、アウトプットの両方が大切。知識をインプットするだけでなく、インプットした知識を思い出すというアウトプットの訓練も重要になります。しかし、意外とインプットしかできていないケースも多いものです。一問一答形式や見にテスト形式でアウトプットする取り組みも忘れないようにしましょう。
4.繰り返し確認していない
脳の仕組みから考えても、知識を一度で覚えることは不可能です。繰り返し取り組むことで、脳が「この情報は大切なもの」と判断し長期記憶にしていくことができます。そのため、反復・繰り返しのプロセスを踏めていないものは記憶に定着させていくことができません。
暗記のコツ!押さえておきたいポイント5つ
暗記を効率的に進めるには、脳の働きを踏まえたコツを押さえて取り組むのがカギ。5つのポイントを紹介します。
1.五感を刺激する
暗記の効果を高めるには、脳を活性化させることが必須です。そのため、なるべく多くの感覚に刺激を与えることがポイント。黙読だけだと視覚への刺激だけですが、音読すれば聴覚への刺激となりますし、言葉を書いて覚えれば手に動きを通して触覚も刺激します。多くの感覚が刺激されることで脳も「これは重要な情報だ」と判断し、長期記憶に移行させることができるはずです。
2.反復アウトプットで長期記憶化
脳は忘れるようにできていますが、重要だと判断した情報は「長期記憶」として記憶に定着させられます。そのため、繰り返し復習することが重要。何度も触れることで、脳が大事な情報だと判断し、覚えることができるためです。
繰り返し復習する際は、読むだけでなくアウトプットするのがポイント。思い出そうとするプロセスで、脳が「何度も思い出そうとしていることは重要な情報なはず」と判断するためです。反復アウトプットを心がけていきましょう。
3.イラストや語呂合わせなどで印象づけて覚える
無味乾燥なものだと、脳への刺激にもなりづらく覚えづらいものです。そのため、いかにいきいきとした情報として、脳に印象付けるかが大切。歴史上の出来事などは、機械的に覚えるのでなく、歴史漫画でドラマチックに覚える。「水兵リーベ ぼくの船」のように語呂合わせで覚えるなど、印象づけて覚える工夫をしていきましょう。自分なりに覚え方の工夫をすると、工夫のプロセスも含めて、記憶に定着させやすくなります。
自分で工夫することが難しいという場合は、語呂合わせのテキストや講座などを利用するのも手です。
4.飽きそうなときは、音楽を聴いたり歩きながら行う
暗記は、単純作業になりがちなもの。そのため、飽きてしまったり、他のことを考えてしまったりして集中できないこともあるものです。周りが騒がしくて集中できないということもあるでしょう。
そのようなケースでは、勉強の邪魔にならないボリュームで音楽を聴くのも効果的。飽きずに取り組んだり、雑音を遮断して集中することができるでしょう。
ただし、聴く音楽によっては音楽に集中してしまい逆効果となるとの意見もあるため要注意。「邪魔にならないボリュームであること」「嫌いな曲ではないこと」「歌詞つきよりは歌詞なしにすること」の3点を心がけていきましょう。
5.暗記のゴールデンタイムを活用
暗記は「食事前」と「寝る前」がゴールデンタイムだと言われています。その理由は次の通りです。
「食事前」は、空腹の状態なので、そのときに触れたされた情報は、食事に関する大事な情報と脳が判断するため、インプットされやすいと考えられています。
また、脳は1日の中で得た知識を睡眠中に脳内で整理していくため、「寝る前」の暗記はその特性を生かせます。
暗記をするのに最適な時間帯をうまく活用していくようにしましょう。
効率よく覚えられる!おすすめ暗記方法7選
脳の仕組みを踏まえ、効率的に覚えられる暗記法を7つ紹介します。自分に合ったやり方を見つけていきましょう。
1.手を動かして書いて覚える
手を動かして書くのは、視覚や触覚など多くの神経を刺激し、脳を活性化させるため、覚える効率もUPします。注意点は、書く回数にこだわりすぎないこと。書くことが目的化したり、作業化したりしてしまうと、脳への刺激が十分でなくなってしまいます。1つの単語3回程度も大丈夫なので、作業化せず目的意識を持って書くようにしましょう。
2.音読しながら覚える
目で見て、声に出して、耳で聞く音読は、多くの感覚や神経を刺激し、脳を活性化させます。黙読よりもはるかに大きな効果があるため、声を出せる環境では積極的に音読するようにしましょう。小声で小さく唱えるだけでも十分に効果的です。
3.歩いたりスクワットしながら覚える
単調になりがちな暗記は、脳も活性化されづらいものです。そのため、身体を動かして脳を活性化すると良いでしょう。歩きながら覚えたり、スクワットやストレッチといった軽い運動をしながら覚えたりするのがおすすめです。ほどよいリラックス感やリズムで、単調さを排除していけるはずです。
ただし、激しすぎる運動は、運動に主眼がおかれてしまうためNG。あくまでメインは暗記ということを忘れないようにしましょう。
4.覚えたことを人に説明する
記憶への定着を促進するには、人に説明することがおすすめです。人に説明することで、覚えた知識を再整理、再確認することができます。それにより、覚えたつもりや覚え漏れをあぶり出すことが可能に。暗記の精度を高めることができるでしょう。
5.関連するものをまとめて覚える
英単語や古文単語を覚える際には、類義語や対義語、関連している単語をまとめて覚えるのがおすすめです。単独で覚えていくより、関連しているものをまとめて覚えていく方が効率UPします。
たとえば、hospital(病院)が出てきた際であれば、doctor(医師)やnurse(看護師)といった病院で働く人を合わせて覚えたり、headache(頭痛)、stomachache(腹痛)などの症状を表す単語も合わせて覚えると良いでしょう。
6.単純暗記は時間で区切って全集中
「単純暗記」と呼ばれる丸暗記するしかないものでは、集中力がモノを言うと言われています。そのため「今日は20個覚える」と量を目標にするのでなく「5分だけ集中」と時間を設定することがおすすめ。通学時や休み時間、見たいテレビ番組が始まるまでの時間など、スキマ時間をうまく活用して、繰り返し取り組むことで定着につなげましょう。
7.一度学んだことと新しいものをミックス
暗記には反復繰り返しが大切ですが、何度も繰り返すことは飽きてしまったり、疲弊したりしてしまうこともあるものです。そのため、飽きを生まない効率的な方法が必要。そこでおすすめなのが、一度学んだものを「思い出す」取り組みと、新しい内容を「覚える」取り組みをミックスさせることです。
前日に覚えられなかった単語と、新しい単語に取り組めば、「毎日同じものばかり覚えてる気がする」といった飽きを減らしていくことができます。また、2日、3日続けて覚えられない単語があれば自分の苦手単語と判定。別途ノートにまとめ、集中復習するようにしていけば、苦手をつぶしていくこともできます。
教科や目的別!おすすめ暗記法
教科や目的別にも、効率的な暗記法は異なってきます。取り組みたい科目や、目的ごとに自分に合ったやり方を見つけていきましょう。
国語の暗記
漢字や古文単語、百人一首など、国語には意外と暗記しなければならないものが多くあります。大切なのは、覚えるものの特性に合った覚え方をしていくということ。
漢字であれば、音読と書くは必須です。その際、いきなり書いて覚えるのでなく、音読から始めるようにしましょう。読めないものを書いても効果が薄れてしまうためです。
古文単語は、類義語や対義語、関連する語句をまとめて覚えていくようにしましょう。古文独特のリズムや言い回しになれるために、音読することも大切です。音読することで、活用形の規則も自然と覚えていくことができるはずです。
算数・数学の暗記
公式は覚えるだけでなく、使えるようにならなければ意味をなしません。公式を使って、正しく解けるようにするためには、公式を使った問題の解き方を誰かに説明することがおすすめ。友達や保護者に説明することで、問題での使い方への理解を強固にしていきましょう。
英語の暗記
英語の文法については、英文を聞く→声に出して音読→テスト形式でアウトプットして確認という3つのステップを心がけましょう。正しい英文を聞いてからの音読で、リスニング対策にもすることができます。そのため、音声付きのテキストを選ぶようにしましょう。また、文法暗記の仕上げには、その文法を使った英作文がおすすめ。定着をより確かなものにしていけるはずです。書いた英文は、先生などにフィードバックをもらいましょう。
英単語は、1つひとつ単語を覚えていくのではなく、関連したものをまとめて覚えていきうようにしましょう。類義語や対義語、語源が同じものなど、関連している単語もセットにしていくと、一石二鳥にも三鳥にもしていけます。
理科の暗記
理科の用語は、図表や実験動画などを用いて印象づけて覚えていくようにしましょう。特に、電気・電流など概念的な内容は、文字だけで理解するのはハードルが高いものです。
社会の暗記
歴史的な出来事などは、歴史漫画などでストーリーと合わせて覚えていくのがおすすめです。前後に起こったできごとや因果関係などもあわせて把握しておくと、より記憶に定着させやすくなるでしょう。
小学生で苦労しがちな地図記号や都道府県は、仲間わけやグルーピングをして覚えるのがおすすめです。地図記号であれば、「市役所や町村役場、裁判所といった官公庁系」「博物館や図書館、病院といった公共施設」「田、畑、果樹園といった農地系」といった仲間わけ、都道府県であれば「東北地方」「関東地方」とエリアごとにグルーピングしていくのが良いでしょう。
受験勉強におすすめ!一気に単語を覚えたいときの勉強法
受験勉強では、数多くの英単語や古文単語を覚えることが求められます。そのため、少しずつ覚えていったのでは時間がかかりすぎてしまうもの。そこで「覚える量>忘れる量」とし、一気に数多くの単語に取り組む「スクワット勉強法」と、短期記憶を長期記憶に変えていく「ミルクレープ勉強法」に取り組むのがおすすめです。
スクワット勉強法
スクワット勉強法とは、短い時間で多くの単語に触れることで、反復演習ができるもの。1日に50個の単語を暗記することも可能となります。次の3つのプロセスで取り組んでいきましょう。
1.覚えたいページを隠し、頭の中や口頭で意味や単語を言う
2.間違えたら、正しい意味や単語を確認して、ページの最初からもう一度チャレンジ
3.間違えずに1ページ完了したらそのページは合格! 次のページに進む
2にあるように「間違えたら最初に戻る」というルールを設けることで、「覚えたつもり」を防ぐことができます。
ミルクレープ勉強法
スクワット勉強法で短時間で暗記したら、長期的な反復演習である「ミルクレープ勉強法」で長期記憶化を図りましょう。
1.1日の目標個数をスクワット勉強法で覚える
2.2日目以降は前日にマークした単語の復習+目標個数を覚える
前日の内容に全て取り組むと大変ですが、予め覚えるのに苦戦した単語にマークをつけて、そこに特化して復習することで効率的に進めることができます。
まとめ & 実践 TIPS
覚えることが多く、苦行のように感じてしまいがちな暗記も、脳の働きを踏まえた効率的な方法があります。大切なのは、目的とお子さまの特性によって最適な方法を選択すること。今回ご紹介した方法をお子さまと試しながら、お子さまに合った暗記法を見つけていってください。
ベネッセ教育情報サイト:1日50個の英単語を暗記する「スクワット勉強法」とは?
https://benesse.jp/eigo/202010/20201009-1.html
ベネッセ教育情報サイト:暗記力のカベ!?47都道府県はこうすれば無理なく覚えられる!
https://benesse.jp/kyouiku/202007/20200722-1.html
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