1日50個の英単語を暗記する「スクワット勉強法」とは?

外国語習得の1つの壁として挙げられるのが「語い」の習得です。

ベネッセ教育総合研究所「高1生の英語学習に関する調査<2015-2019継続調査>」(2019年)からも、英語学習において英単語の暗記について7割もの生徒がつまずきを感じているという現状がわかります。
そこで今回は、英単語の効率的な学習法について、お伝えします。

<高1生の英語学習に関する調査(2019年)図1-9>

この記事のポイント

忘れることを恐れず、忘れる以上に覚えていく

英単語に限らず「暗記」において重要なのは、【人はだれしも忘れる】という大前提です。よく、「毎日単語学習を頑張っているのに、すぐ忘れてしまう」という悩みを聞きますが、人間の記憶は容量削減のために日々忘れるようにできています。だからこそ、暗記に取り組む際に大切なのは、以下の姿勢です。

忘れることを恐れるのではなく、忘れることを前提として暗記に取り組む。

脳では、常に新しい記憶の流入と古い記憶の放出が行われています。これをたとえるならば、「栓をせずにお風呂にお湯をためている」ようなものです。
では、どうやったら常にお湯が流れ出ているお風呂にお湯をためられるのでしょうか?
答えは、 入れるお湯の量>出ていくお湯の量 の関係にする、ということです。
暗記もこれに同じく、覚える量>忘れる量 の関係を築くことで、頭の中に記憶をとどめます。そこから、英単語の暗記で悩む方には、以下のようなアドバイスをしています。

「1日5個覚える」学習ではなく「1日50個覚える」学習を!

“1日5個”どんなに完璧に覚えたとしても、記憶の仕組み上その記憶をずっと維持することはできません。また“1日5個”の暗記では、1冊の単語帳を学習し終えるのに、何か月かかるかわかりません。そこで、“1日50個”を目標に学習することで、覚える量>忘れる量の関係を築き、記憶を維持するのです。「50個覚えてもすぐ忘れてしまう」と思うかもしれませんが、たとえ翌日に半分忘れてしまっても、“1日25個”覚えたことになるのです。覚える量>忘れる量、この関係こそが、英単語の効率的な学習法の根幹なのです。

頭の中や口頭で反復して読む!「スクワット勉強法」

では、実際に“1日50個”英単語を暗記するための勉強法をご紹介します。まずは、短い時間で多くの単語に触れることで英単語の反復演習ができる「スクワット勉強法」です。

  • ①覚えたいページを隠し、頭の中や口頭で意味や単語を言う
  • ②間違えたら、正しい意味や単語を確認して、ページの最初からもう一度チャレンジ
  • ③間違えずに1ページ完了したらそのページは合格! 次のページに進む

<スクワット勉強法>

何度も最初に戻っては進む、を繰り返すため「スクワット勉強法」と名付けています。
この勉強法の良いところは、「間違えたら最初に戻る」というルールを設けることで、英単語学習においてありがちな「覚えたつもり」になって次の単語に進むことを防止する点です。また、覚えていない単語に出合う回数を効率的に増やせることも利点の1つです。実践していただくとわかりますが、10個程度の単語ならばおよそ3分で1ページ間違えずに「言える」ようになります。

ここで重要なのは、頭の中や口頭で意味や単語を「言う」という部分です。英単語の学習というと、「書く」ことで暗記する方も多いですが、「書く」という動作には時間がかかります。それに比べると「言う」行為はかかる時間は短く、先述の“1日50個”暗記の実現がしやすくなります。

もちろん、スペリングを暗記したい場合は英単語をノートに書いて確認する、という方法で問題ありません。まずは一度スクワット勉強法で1ページ内の英単語が「言える」ようになってから、実際に書いて確認するとより効果的と思われます。発音できない単語は覚えにくいため、きちんと「言える」ようになってからのほうが、より記憶に残りやすくなります。また、苦戦した単語にマークをつけておくと翌日以降の学習をさらに効率的に進めることができます。

1周目は1つの単語のつづり・発音・代表的な意味までの対応関係を暗記することがポイントです。英単語には、複数の意味や品詞を持つ語、派生語、そして対義語や類語があるため、「1つの意味のみの暗記は不十分では?」と疑問に思われたかもしれません。もちろん、すべて重要な要素ですが、最初に英単語と主要な意味の対応を知識として確立しておくと、2周目以降にその対応関係に肉付けする形で別の意味や言い回し、対義語・類語を暗記することができます。一度に複数の意味用法を暗記すると混同しやすくなってしまうので、まずは一対一の対応関係を暗記することを意識して学習しましょう。

短期記憶を長期記憶に変える!「ミルクレープ勉強法」

「スクワット勉強法」は短時間で暗記をすることに長けた学習法ですが、この知識をなるべく長期的に保持するために、長期的な反復演習である「ミルクレープ勉強法」と併用することをおすすめします。

  • ①1日の目標個数をスクワット勉強法で覚える
  • ②2日目以降は前日にマークした単語の復習+目標個数を覚える

たとえば目標を1日50個に設定した場合、次の図のような計画になります。同じ範囲を重ねて学習するため、「ミルクレープ勉強法」と名付けています。

<ミルクレープ勉強法①>

前日の復習をするのは、記憶が新しいうちに再び覚えるべき単語に出合うことで、短期記憶を長期記憶に変えるためです。前日の50個+その日の50個ですととても量が多くなってしまうため、前日の内容は苦戦した(マークがついている)ものにしぼって復習を行うことで効率的に進めることができます。

しかし【人はだれしも忘れる】生き物なので、手持ちの単語帳を一周するころには、最初のほうにある単語の記憶は曖昧になってしまいます。そこで、2周目、3周目…と単語帳の反復に挑むわけですが、1周目で覚えた単語があるため2周目以降は1周目よりも速いペースで進めることができます。そこで、2周目以降は1周目よりも1日に覚える英単語の数を増やしていくことで、より効率よく学習することができます。たとえば目標を1日100個に設定し、1周目の倍のペースで進めるのも良いでしょう。

<ミルクレープ勉強法②>

もちろん「ペースを変えずにもう1周」、「1周目より20個増やす」など、自分の学習時間・ペースに合わせた学習計画で進めてもしっかりと効果がでます。また、個数にこだわらず、「1日●ページ」や「1日1章」などのように、ある程度の量がある目標が立てられれば、単位は何でも構いません。単語の知識を長期記憶へと変えるのは、日々のインプット量を増やし、学習を続けることにあります。

まとめ & 実践 TIPS

暗記が求められる場面ではしばしば、「忘れてしまう自分」にがっかりしてしまうことがあります。しかし、忘れることを前提に考えることで、暗記に対するネガティブなイメージも軽減できます。今回ご紹介した方法に限らず、自分にあった方法で覚える量>忘れる量の関係を築き、暗記学習もポジティブにとらえていただければ嬉しいです。


(引用)
ベネッセ教育総合研究所「高1生の英語学習に関する調査<2015-2019継続調査>」(2019年)
https://berd.benesse.jp/global/research/detail1.php?id=5467


株式会社プランディット 英語課 堀内(ほりうち)
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から高校向けの英語教材の編集を担当。

プロフィール

株式会社プランディット

1988年創業のベネッセ・グループの編集プロダクションで,教材編集と著作権権利処理の代行を行う。特に教材編集では,幼児向け教材から大学入試教材までの幅広い年齢を対象とした教材・アセスメントの企画・編集を行う。

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