小学校英語・教科化3年目の授業やテストはどんな内容? 中学校に向けて保護者ができるサポートとは?
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2020年度から小学5・6年生は英語を「教科」として学ぶことになりました。教科化されて3年目となる2022年度にはどのような授業や評価が行われているのでしょうか。ベネッセ教育総合研究所(以下、ベネッセ総研)が2022年夏に小学校の先生を対象に実施した調査結果からご紹介します。
小学校英語(教科)で重点的にやろうと意識していることは「話すこと」・「聞くこと」
小学校の先生が英語の授業で、「特に重点的にやろうと意識していること」は、「英語で話すこと」「英語を聞くこと」でした。同じ調査を3年連続で行っていますが、この2つが最も多い結果が続いています。
※5年生と6年生担任のうち、外国語の授業を担当している人の回答のみ(543人)を分析。複数回答。
出典:ベネッセ教育総合研究所「小中高校の学習指導に関する調査2022」
小学校英語(教科)では、まず英語を聞くこと・話すことを重視して授業づくりがされていることがわかります。これは学習指導要領が小学校での英語指導として大切にしていることで、言語の習得理論にも基づくものです。また、小学校卒業段階で、アルファベットの大文字・小文字を正しく読み書きできることも学習指導要領の目標になっているためか、アルファベットの読み書きも重点的にやろうと意識されているようです。
小学校英語(教科)の評価では「授業中の学習に取り組む態度」が重要
「教科」となると、成績(数値などによる段階的な評価)がつきます。では、どのようなことが評価の材料となっているのでしょうか。
※5年生と6年生担任のうち、外国語の授業を担当している人の回答のみ(543人)を分析。複数回答。
出典:ベネッセ教育総合研究所「小中高校の学習指導に関する調査2022」
評価というと、ペーパーテストを思い浮かべられるかもしれませんが、英語の評価に使っている材料では、「授業中の様子」が圧倒的に多いです。先ほど、小学校の先生が英語の授業で重点的にやろうと意識していることの上位に「英語で話すこと」や「英語を聞くこと」があることを紹介しました。自分が伝えたいことについて、身振り・手振りを付けながら、がんばって話そうとしたり、一生懸命英語を聞き続けようとしたりする態度などは、評価の材料である「授業中の様子」の具体例として考えられます。
次に、「市販のペーパーテスト」が挙がりました。他教科でもよく使われているプリントのテストです。市販のペーパーテストは文法の問題などではなく、英語の音を聞いて適切なイラストを選ぶなど、主に聞く力を評価する問題が多いようです。
半数以上の先生が評価に使っている「パフォーマンステスト」にも注目してください。これは、先生や友達の前で発表したり、外国人の先生や友達とやりとりしている英語や態度を評価したりする実技テストです。評価は、フィギュアスケートや体操などのように、評価するべき観点と配点などが事前に準備され、それをもとに行われます。公正な評価が行われるように、その方法について文部科学省からガイドラインも出されています。話す力を評価しやすいパフォーマンステストは、実施する先生が増えていくと考えられます。
参考:文部科学省 国立教育政策研究所「『指導の評価の一体化』のための学習評価に関する参考資料
小学校 外国語・外国語活動」(令和2年3月)
中学校に向けて保護者ができるサポートとは?
1,小学校でたくさん出てくる単語や英文は、聞くこと・話すことをしっかりできるようにして、中学の文法学習にスムースにつなげる
小学校では、中学のように文法用語を使ってルールを理解したり、文の作り方を覚えたりする学習はしません。まず小学校では、たくさん出てくる単語や英文を、どんな場面や状況で使うのかを理解して、しっかり聞いたり話したりできるようになっておくことが大切です。結果として、中学での文法説明も理解しやすく、つまずきにくくなり、読み書きもスムースにできるようになります。そこで、小学校では授業中にしっかり聞いたり話したりすること、また学校から配布される児童用端末に入っているデジタル音声を使って、たくさん聞いたり話したりしてみるよう、お子さまに促してください。自宅に端末の持ち帰りが許されている場合には、端末に入っている英語のやりとりの見本動画を見ながら、親子で役割を決めてやりとりしてみることもおすすめです。また、端末に入っているドリル問題を一緒に解いてみるのも楽しいでしょう。
参考:急がば回れ!小学校英語では「聞く・話す」の音声の学習を十分に
参考:小学校英語の専門家に聞く!授業でのICT活用と家庭でできる効果的なサポートとは?
2,アルファベットの大文字、特に小文字の読み書きをできるようにしておく
中学に入学してもアルファベットを正しく書けない子どもがいることはいくつかの調査研究でわかっています。特に小文字に苦戦している子どもが多いようです。しかし、中学ではアルファベットの大文字・小文字を読み書きできることが前提となって授業が開始されます。アルファベットの読み書きがきっちりできていないと黒板の文字や文を写すのに時間がかかって先生の説明を聞くことがおろそかになったり、単語の綴りを覚えにくかったりもします。特に小文字には時間をかけて、高さや形の違いを意識してしっかり書けるようになっているかを確認し、できていない時はそばで一緒に練習を見てあげてください。
参考:英語のつまずきはアルファベットから!?-大人が気が付きにくい落とし穴-
3,英語の文のルールに沿って正しく書き写しができるかもフォローする
アルファベットと同様に小学校の間にできるようになっておくと大いに助けになるものに、英語の文をルール通りに書けることがあります。小学校では読めるようになった文を正しく書き写すことまでをします。「文の初めを大文字にする」「単語と単語の間を空ける」などのルールは日本語にはないものですので、頭ではわかっていても、確実にできるまでに時間がかかります。小学校の教科書の中に出てくる英文で、お子さまが書きたいと思うものを選び、ルールを意識して書いてみるよう促して、書いたものを読んであげてください。
中学校に向けて保護者のかたができるサポートで大切なことは、小学校でやっておくべきことをしっかりフォローしておくことだと考えられます。お子さまの英語学習が小学校から中学校にうまくつながっていくよう応援していきましょう。
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