高校入試よく出る(3) 理科の計算問題「速さ」「割合」の傾向と対策

  • テスト対策

理科の公立高校入試では、物理分野や化学分野を中心に【計算問題】がみられます。今回はどのような【計算問題】が出やすいのか、その傾向と対策をご紹介します。

この記事のポイント

理科における【計算問題】とは?

理科の入試問題では、「電流・電圧と抵抗」や「化学変化と質量の保存」などの単元を中心に、数値を求めたり、求めた数値に近い選択肢を選んだりする、いわゆる【計算問題】の出題がみられます。今春の47都道府県の公立高校入試における理科の全問題数が約1900問で、そのうち【計算問題】は約300問出題されました。実は、その【計算問題】の中には、理科特有の知識や解法が必要な問題だけではなく、数学でも扱う、【速さ】や【割合】に関係する問題が多くみられます。

【速さ】速さ・時間・距離に関係する出題

まずは、【速さ】の速さ・時間・距離に関係する出題です。前述のとおり、今春の公立高入試において、【計算問題】は、全国で約300問程度出題されましたが、そのうちの約30問(47都道府県中20県超で出題)は速さや速さに関係する問題でした。物理分野だけでなく、生物分野や地学分野でも出題がみられ、【速さ】は頻出といえます。具体的には、次のような出題がみられました。

  • 斜面を上る小球の速さを求める問題(秋田県 2020年度入試)
  • 音の伝わる速さを求める問題(徳島県 2020年度入試)

【速さ】を求める典型的な2問です。秋田県では、「運動の速さと向き」の単元より、ストロボ写真のようすから、斜面を上る小球の速さを求める問題が出ました。また、徳島県では、「音の性質」の単元より、花火の音のずれから、空気中を伝わる音の速さを求める問題が出ました。この他にも、大分県で出た、「地震の伝わり方と地球内部の働き」の単元より、主要動が緊急地震速報を聞いてから何秒後に始まるかを求める問題や、香川県で出た、「刺激と反応」の単元より、刺激を受け取って脳で判断し、筋肉に伝わるまでにかかる時間を求める問題など、単純に【速さ】を求めるだけではない、応用的なものもありました。【速さ】の計算を、いろいろな角度から問われても対応できるように、きちんと理解しておく必要があります。

【割合】パーセントに関係する出題

次に、【割合】パーセントに関係する出題です。今春の公立高校入試において、全国で出題された【計算問題】約300問のうち、【割合】に関係する問題も約30問(47都道府県中20県超で出題)ありました。【割合】についても、頻出といえます。具体的には、次のような出題がみられました。

  • 水溶液の質量パーセント濃度を求める問題(富山県 2020年度入試)
  • 脱衣所の湿度を求める問題(長野県 2020年度入試)

【割合】を求める典型的な2問です。富山県では、「水溶液」の単元より、エタノール水溶液の質量パーセント濃度を求める問題が出ました。また、長野県では、「霧や雲の発生」の単元より、脱衣所の湿度を求め、最も近い値を選ぶ問題が出ました。ともに教科書に求め方が書かれていますので、理科特有といえないことはありませんが、【割合】の考え方としては共通する部分があります。この他に、群馬県で出た、「化学変化と質量の保存」の単元より、反応せずに残った銅の質量が全体の何パーセントを占めるかを求める問題や、岩手県で出た、「火山活動と火成岩」の単元より、含まれる無色鉱物の割合(パーセント)を計算し、その数値を用いて火成岩が白っぽく見える理由を説明する問題など、応用的なものもありました。【割合】の計算方法だけでなく意味そのものをきちんと理解しておく必要があります。

まとめ & 実践 TIPS

理科の【計算問題】は、オームの法則を用いた電流・電圧・抵抗の計算や、仕事やエネルギー、物質の密度を求める計算など、理科特有といえる問題も、もちろん多くありますが、実は、【速さ】や【割合】を求める問題やそれに関係する問題のように、数学で学習する内容と密接に結びついていることも多くあります。
また【計算問題】に限らず、実験・観察問題などでは、問題文に書かれている内容を読み取るための読解力も必要とする場合があります。「理科は好きで興味があるんだけど、テストは苦手…」というお子さまは、もしかしたら、理科を単なる『暗記教科』ととらえていらっしゃるかもしれません。暗記すべき部分は確かにありますが、理科で学習した知識をベースに、数学で学習する計算方法や国語で身につける読解力などをフル活用して『考える教科』であることに気が付くと、『好き』がテスト結果に結びついてくるかもしれません。まずは、理科は暗記だけでなく、計算力や読解力が必要であることを意識することが大事です。そうすることで、初見の問題が出ても慌てずに対応できるでしょう。

株式会社プランディット 理科課 中原
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から高校向けの理科の教材編集を担当。

プロフィール



1988年創業のベネッセ・グループの編集プロダクションで,教材編集と著作権権利処理の代行を行う。特に教材編集では,幼児向け教材から大学入試教材までの幅広い年齢を対象とした教材・アセスメントの企画・編集を行う。

\シリーズ記事はこちら/

<第1回>社会 ご当地問題
<第2回>数学の「作図問題」の解き方のコツは?
<第3回>理科の計算問題「速さ」「割合」の傾向と対策
<第4回>国語で出題数が多い筆者のランキング公開!
<第5回>親世代とかなり違う!? 高校入試の英作文「ネットで購入した商品の色が違ったとき、どう問い合わせるか」を書く問題も!

  • テスト対策

子育て・教育Q&A