「質問が多すぎる」と学校で指摘されたら?【親野先生アドバイス】
- 育児・子育て
面談などで先生から「何でも質問してくるので、もう少し自分で考えられるようになったほうがよい」などと言われたら、どのように対処すればいいのでしょう。
質問することを禁止するのは、問題の解決にはつながらないようです。質問が多いと指摘された時の先生とのやりとりや、家庭で心がけたい関わり方について、教育評論家の親野智可等先生にお聞きしました。
すぐに質問する子どもは珍しくない
個人面談などで先生から直々に指摘されると、「そんなに質問ばかりしているなんて問題があるのでは」「すぐに改善しなくては」と心配になってしまうかもしれません。しかし、実は何でも質問するという子どもは珍しくありません。
質問は、子どもなりに「まちがえないようにしよう」と思っていることの表れで、学校生活に慣れるに従って自然と減っていったり、家庭での関わり方を意識することで徐々に変わっていったりします。
先生によっても子どもの受け止め方は変わりますし、先生がまちがいに敏感だと、子どもも失敗が怖いので先回りするようになりがちです。また、面談などでは、なるべく子どものよい面を共有しようという先生もいれば、改善点を示さなければと考える先生もいます。
指摘する先生としては、家庭で子どもの状況を理解して対応してほしいと考えているので、その場では「わかりました」「家でも気を付けて注意します」などと大人の対応を。くり返し言われる時は「すみません、うちでも言っているのですが……」と伝えてみてください。そうすれば、先生も「うちでも言ってくれているなら、まあいいか」と思ってくれるかもしれません。
ただ、先生に言われたことを家に帰ってそのまま子どもに伝えたり、「質問するのはやめなさい」と言ったりするのはよくありません。それで本人の気がかりがなくなるわけではないですし、ますます自信が持てなくなったり、先生に対する否定的な感情を持ってしまったりする可能性があるからです。
自信を持って行動できるようになるために
さて、注意したり叱ったりするのはよくないとしても、やはり自分で判断して行動する力は大切です。そのために家庭でできることを考えていきましょう。
まずは家庭で、子ども自身が選択する機会や決定する場面がどのくらいあるか、振り返ってみてください。
たとえば着る服や持ち物、1日の予定や自由な時間の過ごし方を親が決めてしまうことはないでしょうか。「似合わないから」「それはよくない」と親の価値観で誘導してしまうことはありませんか?
「おやつの前に勉強しなさい」「先に明日の準備をしてしまいなさい」ではなく、「勉強はいつするの? おやつの前? あとにする?」「明日の準備はいつするの?」など、さまざまな場面で、子どもが自分で考えて決められるように心がけてみてください。
このとき、「本当にそれでいいの?」「できなくても知らないよ」などと、過度に誘導的にならないように気を付けて。あくまでも子どもの考えを尊重しましょう。
子どもが決めてうまくいかなかったときに、「○○しないからダメだったのよ」と否定しないことも大切です。子どもがうまくいかなくて残念に思っている気持ちに共感してあげたり、「どうすればいいかね」と思考を促したりするようにしましょう。トライアンドエラーで試行錯誤しながら自分で決めていく経験が自信に繋がります。
熱中体験で自己決定の力が育つ
もう一つ、遠回りのように見えて、自己決定の力を育てるとても重要な体験があります。それは、子どもが好きなことに夢中になり熱中する体験です。
好きなことに向き合うと、「もっとこうしたい」「こうしてみたらどうだろう」と次々と考えが広がります。それを続けていくだけで、考え、判断する自己決定の機会は自然と増えていきます。
加えて、好きなことなら失敗しても次に向かう意欲がわいてきます。失敗しそうで不安になった時も、それを解消するためにどうすればいいか考えるようになります。誰かに指示をされなくても、自分から成長していけるのです。
子どもが夢中になれることを見つけたら、親は意見することは控えて、できる限りのサポートをしてあげてください。親がしてほしいことではなく、子どもが自分から「やりたい」「楽しい」と思えることを思うままにできる時間をできるだけたくさんつくりましょう。
子どもにとって、自分の判断や行動に自信が持てるかどうかは、自分らしく生きていくうえでもとても重要です。「人に聞いてばかりではダメ」と叱って自信を失わせるのではなく、聞かなくても大丈夫だという気持ちを育てていきましょう。
まとめ & 実践 TIPS
何でも質問するのは、子どもには珍しくないこと。慌てて質問を禁止したり、先生に注意されたと伝えたりしても自信を失うばかりで逆効果です。自分で判断して決定する機会を増やしたり、好きなことが自由にできる時間をつくったりなどして、主体的に行動できる力を育てていきましょう。
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