「あなたは賢い子ね」はNG!「まずやってみよう」と思える子どもに育つ声かけのコツ

「自己効力感」とは、「やればできる」と自分の力を信じる感覚といわれています。でも「やればできる」という感覚だけだと、過去の経験からできない可能性があるものには挑戦しなくなる場合もあります。真の自己効力感とは、実は、「できるかできないかわからないけど、まずはやってみよう」と行動してみる気持ち。子どもの自己効力感を育てる親になる方法は? また、自己効力感が育つことがなぜ必要なのかについて、ニューヨークライフバランス研究所代表、松村亜里さんの著書「子どもの自己効力感を育む本」を一部要約・抜粋しながら、考えてみましょう。

この記事のポイント

自分から「やってみよう」の気持ち、それが自己効力感

子育て中、子どもにもっと物事に積極的に取り組んでほしい、と思う場面には、何度も出会うと思います。勉強はもちろんですが、習い事でも、あるいはお友だちとの関係でも、「もうちょっと自分から頑張って!」と言いたくなること、ありませんか?
そんなとき親は、つい、「こうやったらうまくできるから、やってごらん」と、やり方を示唆したり、いつまでも自分から動こうとしない姿にイライラして「さっさとやりなさい!」と言ってしまったり。

そこで、子どもが自発的に最初の一歩を踏み出すために必要なのが「自己効力感」です。自己効力感は一般的に「やればできる」と思う力だといわれます。でも、できるかどうかは別として、とにかく「やってみよう」と思う、その気持ちが、ほんとうの自己効力感だともいえます。

「自己効力感」を育てれば「自己肯定感」も自然と育っていく

自分からやってみようと思う気持ちが「自己効力感」だと先ほどご説明しました。それに対して、「自己肯定感」とは自分のありのままを受け入れて「どんな自分も好き」と自分にOKを出せる気持ちのことです。自己肯定感を高めたい場合、成功の喜びや経験により幸せな感情を自分のなかに蓄えていくことが大切です。その感情を得るには体験を得ることがまず必要です。その体験をまずやってみよう、と自発的にどんどんしていける力が「自己効力感」なのです。つまり、自己効力感を育てれば、おのずと自己肯定感も育まれるのです。

自己効力感は、外側からの働きかけでは育たない。

「やればできるよ」と励ますことは、できなかったらどうしようと思う気持ちも引き起こします。一方、「やってみよう」と思わせたら、そこでまずは一歩前に進むことができます。ただ、この「やってみよう」という気持ちにさせるのは、報酬または罰を与えるといった外側からの働きかけではうまくいきません。自己効力感は、次のようなときに育ちます。

  • ・そのプロセス自体が楽しそうと好奇心が湧くとき
  • ・そのプロセスで努力することで自分の能力が伸びると思えるとき
  • ・そのこと自体に意味があると感じているとき

いずれも、外側からの働きかけではなく、自分の内側から起こる思いが大切なのです。

■「やってみよう」と思わせる声かけ例

では、子どもの「やってみよう」という気持ちはどうやって引き起こすのか。「子どもの自己効力感を育む本」(ニューヨークライフバランス研究所代表 松村亜里著)に書かれている、子どもに「やってみよう」と思わせる具体的な方法を見てみましょう。

①うまくいったとき ②失敗したとき ③問題行動があるとき ④やる気や自信がないとき といった4つの場面で、それぞれ少しずつ声かけの内容は異なります。

①うまくいったとき「物事を早く習熟したり、完璧にできたときは?」

  • NG例「ちょっと教えただけですぐマスターするなんて、素質があるよ」「すごいね! 速くできたね」
  • OK例「すごく集中してやっていたものね」「何度も練習したから、以前より速くなってきたね」

褒めるべきは、速さや完璧さよりも、努力した点。優秀な結果を褒めると、プレッシャーにつながり、次にそれができなかったときに、自分はダメだと思ってしまうことにつながります。結果よりもプロセスを重視して、褒めたり励ましたりすることが大切です。

②失敗したとき「ネガティブな感情をそのまま認めよう」

  • NG例「そんなこと大丈夫よ、あなたは賢いから」
  • OK例「失敗して辛かったね」

試験でも試合でも、子どもが失敗したときに保護者は、子どもをかわいそうに思って、ネガティブな感情を打ち消してやろうとしがちです。でも、そのまえにまずは「気持ちをわかってあげる」ことが大切。

③問題行動があるとき「負けず嫌いが激しい子への対処法」

  • NG例「ゲームに負けたくらいで、そんな態度、信じられない!」「そんなに怒る子は、ママ嫌いよ!」
  • OK例「負けるのは、やだよね。ママもそういうときがあったよ。でも負けることもあるんだよね」

まず気持ちに寄り添うことが大事です。そして、少しずつでも、負けてもかんしゃくを起こさずにいられるようになったら、そのことを褒めてあげましょう。そのためにも、ふだんから能力を褒めるのではなく、できるようになったプロセスを褒めるという転換をはかる必要があります。

④やる気や自信がないとき「子どもが『習い事をやめたい』と言ったらどうする?」

  • NG例「一度始めたことは続けなさい」「自分でやると言ったのだから、簡単にやめちゃダメ」
  • OK例「空手の何がイヤなのかな?」「どうやったら楽しく続けられる?」

「イヤなことを我慢して続けるのはいいこと」という価値観を植え付けてしまうと、その後、子どもがその価値観に縛られて苦しむことにつながります。もちろん、あっさりやめさせればよいというわけではなく、一度、「やめたいのはなぜだろう?」と一緒に考えることが必要です。

そんなにうまく声かけできない! と思っても、大丈夫。

こうして具体的な声かけのOK例を読むと、「よし! 次からこういう声かけをしよう」という気持ちになれそうです。でもその一方で、これまでNG例として紹介されているような声かけをずいぶんしてきたんだな、と反省する場合もあるかもしれません。つい「ああ、私はダメなお母さんなんだ」と落ち込みそうになります。そんなとき、著者である松村さんは、まず深呼吸して、悪いところばかりを見ない、良いところ=強みを見つけられるようにするというように、脳内モードをちょっと変えて「強みスイッチ」をオンにするそう。
また、紹介した「自己効力感を育む声かけ」は、それぞれ、子どもに向けての言葉ですが、実はお母さんが自分自身に向かってかけてあげると楽になる言葉でもあります。子どもと一緒に、保護者もゆっくり成長したらいいんじゃない?という励ましを感じることができます。

まとめ & 実践 TIPS

自己効力感とは「やってみよう」と思う心。この心を育むことで何事にもまずはトライして、さまざまな経験を積んでいくことができます。そうして成功体験や幸せな感覚を自分の中に蓄えていくことで自己肯定感も高まっていきます。また、子どもにかけてあげたい言葉を、自分にもかけてみましょう。そうすることで、子どもだけでなく、自分自身の自己効力感・自己肯定感も相乗的に高まります。「自己効力感」も「自己肯定感」も、親子で一緒に育てていきましょう。

今回は「子どもの自己効力感を育む本」から一部ご紹介しました。声かけのコツは30例、本書で紹介されているので気になる方は読んでみてください。

「子どもの自己効力感を育む本」WAVE出版 松村 亜里(著)
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プロフィール

松村 亜里(まつむら あり)

ニューヨークライフバランス研究所
ウェルビーイング心理教育アカデミー 代表理事
ニューヨークライフバランス研究所 代表
ニューヨークライフバランス研究所代表。母子家庭で育ち中卒で大検取り、ニューヨーク市立大学入学。首席で卒業後、コロンビア大学大学院修士課程(臨床心理学)、秋田大学大学院医学系研究科博士課程(公衆衛生学)修了。医学博士・臨床心理士・認定ポジティブ心理学プラクティショナー・ニューヨーク市立大学、国際教養大学でカウンセリングと心理学講義を10年以上担当し、2013年ニューヨークライフバランス研究所を設立。現在は、「Ari’s Academia」オンラインサロン、及び「Ari’s Academia for Professionals」オンラインサロンを中心に活動中

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