《取りかかるのに時間がかかる子》のサポート法【親野先生アドバイス】

次の行動に移るのが苦手だったり、決めた時間になかなか始められなかったりすると、何度も声をかけながら「いったいいつまでこのやりとりが続くのか……」と考えてしまうことも。取りかかるのに時間がかかる子のためにできるサポートについて、教育評論家の親野智可等先生からアドバイスをいただきました。

この記事のポイント

「今じゃない」本人なりの理由に目を向ける

子どもも大人も、やりたいことはすぐに始められますよね。取りかかるのに時間がかかるときは、子どもなりに「今ではない」理由があるものです。まずは、子どもの状況に目を向けて、その理由を探してみてください。すると、子どもへの対応が見えてきます。

たとえば、やるべきことがあって、それを始めたくないわけではないけれど、それよりも今やっていることが楽しくて終わらせたくないという場合があります。ゲームやマンガ、そのほか本人にとっては好きなことをしている幸せな時間なので、もう少し続けたいと思う気持ちはわかりますよね。

こんなときには、「楽しそうでいいね。何やってるの?」と言って子どもの話を聞き、「上手だね」とほめたり「もう少しやりたいよね」と共感したりしてみましょう。そのうえで「どこまでやったらおしまいにする?」と切り上げるタイミングを本人に決めさせると守りやすくなります。

子どもが何をどんなふうに楽しんでいるのかも理解しておくと、今やっていることに、ある程度満足できるタイミングを見つけることができます。また、区切りが近くなったら予告の声かけをしたり、おやつを出したりして切り替えをサポートしてもいいでしょう。

最初に決めた時間を守ることも大切ですが、始めてみたら思ったよりも夢中になってしまったという経験は誰しもあるのではないでしょうか。ですから、まずは子どもの気持ちをくみ取り、共感して、子どもが保護者のかたの話を聞こうと思える関係性をつくりましょう。

何より、夢中になっているときは、脳内で意欲や幸福感を高めるドーパミンが大量に放出されます。子どもにとっては活力の源でもあり、こうしたいきいきとした時間を守ることもとても大切なことです。

無理にやっていることを取り上げたり、強制したりすると、ポジティブな感情に水を差すことになり、保護者のかたに対して、やめさせた(楽しい時間を奪った)ことへの反発や不信感が生まれてしまうこともあります。まずは共感、そして提案を意識しておいてくださいね。

始めたくないときは見通しを立てる工夫をする

苦手な宿題があったり、やることが多かったりすると、気が重くなりますね。また、やることの見通しが立たず、何から手をつけたらいいかわからなくなっていることもあります。こうした「始めたくない」気持ちには、初めの一歩のハードルを下げる工夫をしましょう。

ポイントは、具体的に手順がイメージできるようにすることと、「これくらいならできそうだな」「そんなに大変じゃないな」と思える課題をつくること。とりあえず1問、簡単な問題だけ、など、やってもいいかなと思えるくらいの気軽な目標なら、取り組みやすくなります。

ランドセルの中身を全部出して、とりあえず宿題を並べてみる、という行動も全体量や内容を把握して見通しを立てるのに役立ちます。すぐにやらなくてもいいので、とにかく出す。そして、いつやるかを考えておきます。考えるだけで、今やらなくてもいいので気が楽ですね。

そして、できれば、最初にやろうかなと思えるものを選び、教科書やノートを開いておく。できたら計算の1問だけ、漢字の1字だけ、名前だけでも書いておくと、それだけで次に始めるときのハードルが下がります。

最初だけ保護者のかたが手伝ってあげるというのも効果的です。子どもとしては、とても心強いですし、調子が出るまで引っ張ってもらえるのでいちばんやる気が出づらいスタート地点が乗り越えやすくなります。また、初めは気が乗らなくてもだんだんエンジンがかかってくるので、励ます気持ちで付き合ってあげましょう。

気持ちの切り替えには、生活リズムも影響します。まずは朝起きる時間と、朝の支度の流れを決めてみましょう。帰宅後の入浴や就寝の時間、順番もそろえて習慣にすることで、行動の節目に自然と気持ちが次に向かい、切り替えやすくなります。

やりとりを通してルールを軌道修正する

もうひとつ、なかなか取りかかれない理由として、なぜそれをしなければいけないかがわかっていないという場合もあります。子どもには「将来に役に立つ」「やらないと自分が困る」といった理由はイメージがわかず、伝わりにくいものです。それでも、「やって当然」と押し付けるのではなく、保護者のかたの考えを言葉で伝えることは大切です。

「早めに寝ておけば明日が楽だよ」「〇〇してくれるとうれしいな」と保護者のかたの考えや気持ちを伝えたり、「先に宿題やってから自由時間? それとも先に自由時間?」と選択肢を与えたり。共感できる部分は共感しながら、お互いに主張したり、譲ったりしてルールを決め、臨機応変に修正していく経験は、人と折り合いをつけるようなさまざまな場面で役に立ちます。

話し合いですから、子どもの話をしっかりと聞くことも大切です。自分の話を聞いてくれ、丁寧に向き合ってくれる相手の話は、よく耳に入るようになります。最初に決めたルールを守らせることにこだわりすぎず、その時々の子どもの気持ちをくみ取りながら次の行動に向けて心の準備をさせていきましょう。

避けたいのは、親の価値観で子どもの楽しみを否定すること。たとえば「ゲームなんてくだらない」「時間の無駄」などと威圧的に押し付けられると、子どもは無力感を感じてしまいます。そして寂しくなって、さらにゲームに依存するリスクが高まる結果に。子どもにも、子どもの好きな物事にも、否定的な言葉を使わないように気を付けましょう。

自分で時間を意識したり、気持ちをコントロールして切り替えたりすることは、苦手な子にはとても難しいこと。でも、見方を変えれば、そういう子どもは「夢中になることが得意」ともいえます。だからこそ、なるべく上手に手助けをしながら、徐々に自分なりの対策方法を身に付けていきたいですね。

まとめ & 実践 TIPS

切り替えられないとき、取りかかれないときは、子どもの「できない理由」を考えてみて。強制的・否定的な態度は子どもを無気力にしてしまいます。やめたくない、始めたくない、やる気にならないなど、その時々の子どもの気持ちに共感して、具体的なサポートを。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。長年の教師経験をもとに勉強法や家庭教育について具体的に提案。
Twitter、Instagram、オンラインサロン「やすらぎの子育て・教育オンラインサロン」、YouTube「YouTube親力チャンネル」、Blog「親力講座」などで発信中。全国各地の教育講演会でも大人気。詳細は「親力」で検索

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