「知らない人について行っちゃダメ」の危険な落とし穴 子どもを犯罪から守るために伝えるべき「最も重要でわかりやすい」ポイント【専門家監修】

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子どもを狙った犯罪は後を絶ちません。防犯対策として、子どもに防犯ブザーを持たせたり、登下校時の注意事項を伝えたりしていると思いますが、不審者の手口は年々巧妙になっているもの。子どもへの注意事項の裏をかいてくることもあります。子どもを守る防犯対策について、今一度考えていきましょう。

この記事のポイント

「知らない人についていかない」は裏をかかれる!驚きの手口とは

防犯対策として子どもに伝える「知らない人にはついていかない」という定番ワード。実はこの言葉だけでは、まだまだリスクを十分に回避することはできません。

なぜなら、この言葉は、子どもを狙う人に裏をかかれることもあるためです。「知らない人」から「顔見知り」になったうえで、子どもを狙うわけです。具体的にどのようなケースがあるのか、見てみましょう。

たとえば、子どもを狙う不審人物は、子どもたちの登下校時間に合わせて毎日犬を連れて散歩。子どもが犬に興味を持ったり、撫でたりする中で、徐々に子どもと顔見知りになり、話をするようになります。そうやって、時間をかけて「知らない人」から「顔見知りで話をしたこともある人」となった上で犯罪行為に出ようとするのです。

「知っている人だから大丈夫だと思った」となってしまっては取り返しがつきません。子どもを狙う人の巧妙な手口として、子どもにも注意を促していきましょう。

子どもは「知らない人」かどうか判断することはできない

「知らない人についていかない」と言われても、子どもは「知らない人」かどうか的確に判断することはできません。

例えば、次のように話しかけられたら、その人は「知っている人」でしょうか。それとも「知らない人」でしょうか。

・お母さんの友達だよ。同じ小学校の卒業生なんだ。
・お父さんと同じ会社で働いているよ。君のことはよく聞いているよ。
・昔、一緒に公園で遊んだね。あれ、覚えていないの?
・私はPTAの会長です。君が通っている学校のPTAだよ。

こうした声かけをしてくる人が「知っている人」かどうかは、子どもでは判断できないでしょう。要するに、その人物が危険かどうかは、発言の内容や、容姿や態度からはわからないのです。

「知っている人は安全」と思い込んでしまうことはとても危険

さらに、問題なのは、「知っている人は安全」と思い込んでしまうことです。それは、とても危険です。実際、千葉県松戸市の女児が連れ去られ、殺害された事件(2017年)では、「知っている人」が犯人でした。この誘拐犯は、通学路の見守りに立っていた小学校のPTA会長だったのです。殺害された女児は、毎日、登校時にこの犯人に挨拶していたわけです。

このように、だれが犯罪を企てているかは見ただけではわかりません。重要なのは「知っている人」か「知らない人」か、ではないのです。

子どもに教えるべきは「景色」

では、何が重要なのでしょうか。それは景色です。安全と危険を見ただけで判断できるのは景色だけです。なぜなら、景色はウソをつかないからです。

人はうそをつきます。「知っている人」だと思わせるウソ、「親の知り合い」だと思わせるウソ、「安全な人」だと思わせるウソなど、たくさんのウソを人はつきます。でも、景色はウソをつきません。

「入りやすい場所」と「見えにくい場所」が危険というメッセージを常に発信しています。こうした場所で、犯罪者は子どもに声をかけてくるのです。したがって、人を見るのではなく、景色を見れば、今が警戒すべきときなのか、声をかけてきた人を信用してもいいのかが的確に判断できるわけです。

まとめ & 実践 TIPS

子どもを狙う手口は、年々巧妙になっています。特に注意が必要なのが「知らない人についていかない」というルール。犯罪者は顔見知りになったうえで、あるいは、顔見知りを装って狙ってくるケースが多いため注意が必要です。よくある誘拐の手口を用いてケーススタディを行っておくことなどで、防犯対策を強化しておきましょう。


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プロフィール


小宮 信夫
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社会学博士。ケンブリッジ大学大学院犯罪学研究科を修了。国連アジア極東犯罪防止研修所、法務省などを経て現職。地域安全マップの考案者であり、警察庁や文部科学省、各自治体で防犯に関わる委員を歴任。テレビ、ラジオへの出演や全国各地での講演多数。著書に『写真でわかる世界の防犯 ——遺跡・デザイン・まちづくり』(小学館、全国学校図書館協議会選定図書)、『犯罪は予測できる』(新潮新書)、『子どもは「この場所」で襲われる』(小学館新書)などがある。

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