どう過ごす? 受験生の年末年始(2)出願・入学手続きの再確認を [高校受験合格応援コラム 第9回]

前回は、受験生の年末年始の過ごし方についてお話ししました。今回は、この時期、保護者のかたに気を配ってほしい点について、さらに詳しく述べます。



受験・入学の手続きミスを避けるには?

年明け以降は、出願、受験料の振込、入学金の振込、入学手続き……と、さまざまな事務手続きの締め切りが迫ってきます。いちばん気を付けてほしいのは、保護者のかたの「うっかりミス」で不合格になるということです。「まさか」とお思いかもしれませんが、複数の高校を受験する場合、締め切り日や振込先の銀行を取り違えるといったことがよく起こるのです。
また、最近は高校入試もウェブ出願が増えています。ウェブだから締め切り当日でもいいとのんびり構えていたら、当日、回線のトラブルでインターネットにつながらない、といったことも起こり得ます。

こういったミスを防ぐために、「受験ノート」を1冊作るなどして、前半は日程別、後半は学校別に必要な手続きの内容をまとめておき、ダブルチェックするのもよい方法です。パソコンやスマートフォンのスケジュール管理機能を利用するのもよいですね。
何事も、ぎりぎりになるとミスが多くなりますから、手続きは締め切り日数日前に、余裕をもって行っておきたいものです。



願書は高校への正式な「ごあいさつ状」

受験校の願書をすべて取り寄せたら、コピーして一度下書きするのがおすすめです。学校には何度も足を運んでいたとしても、直接コンタクトを取るのはこれが最初のはず。志望校への、初めての正式なごあいさつ状というつもりで、記入見本を参照しながら丁寧に書いてください。志望理由などは、書き始めてみて欄に収まりきらない場合がありますので、下書きは必須。年度は年号か西暦か、振り仮名はひらがなかカタカナかといったことは、見本に従うのがマナーです。



「お金」については、出願前に確認を

なお、入学手続き時に焦らないよう、国の就学支援金のほか、都道府県や各学校が出す授業料軽減助成金や奨学金についても、出願の前に調べておいてください。たとえば東京都の生徒が他県の私立高校に進んでも助成金が出るけれど、埼玉県や千葉県の生徒が東京都の私立高校に進む場合は出ない、といったケースがあります。

また、多くの私立高校では、優秀な生徒を集めるため、成績や家庭の収入に応じた授業料軽減措置が取られています。内申点のほか、英語などの検定やスポーツの公式試合の結果などを考慮してくれる学校もあり、公立高校とほとんど変わらない学費で通えるケースもあります。こうした制度が複雑で、学校案内を見てもよくわからない場合は、恥ずかしがらずに学校に問い合わせてみるとよいでしょう。

ただし、併願校として受けるかどうか、本人が迷っている学校の場合、保護者のかたが「授業料が安くなるんだから受けてみたら?」といった言い方ですすめるのはよくありません。「お母さんに言われたから」「なんとなく入りやすかったから入った」という意識では、入学後にあまり成長が望めなくなります。いちばん大切なことは、あくまで本人が「その学校に入りたいかどうか」です。

この時期、まだ「のほほん」として見える子どもも多くいますが、実際は相当のプレッシャーがかかっています。保護者のかたは、抜かりなく事務手続きを進めながら、子どもたちの焦りや不安、努力しようとする気持ちをしっかりと受け止めてあげてください。

次回は、一般入試1か月前の過ごし方について述べます。

プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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