部活での後輩との接し方
運動部で頑張る中高生必見! 上級生になれば、後輩が入部してきます。新しい仲間に対して、先輩としてどう接したらいいのでしょうか。オリンピック選手などトップアスリートを支えるメンタルコーチ・ファシリテーターの小田桐翔大さんにお話をうかがいました。
後輩は、「上手か下手か」だけで先輩を見ているわけじゃない
僕自身の経験から話をすると、後輩に対して「なめられたくない」「抜かされたくない」という思いが強くて、自分から壁を作ってしまうことがありました。後輩と接することで自分が傷つくのを恐れて、自分を守ろうとしていたんだと思います。なぜそう思ってしまったかというと、「上手な選手=偉い」という思い込みが強かったからです。
大学3年生のとき、僕は体育会バスケ部を辞めようと本気で思っていました。そんな時に、仲の良かった先輩に相談にのってもらったところ、先輩は「そうかそうか」とうなずきながら聞いてくれて、最後にある後輩の話をしてくれました。その後輩は、高校の全国大会で大活躍したスター選手です。後輩は、「小田桐さんは大学からバスケを初めた初心者なのに、練習についていっている。尊敬しています」と話したことがあるんだそうです。その話を聞いて、僕は「あんなに上手い選手が、僕のことをなめたりせず、そんなふうに思ってくれているんだ」と知り、とても胸を打たれました。そして、バスケが上手か下手かだけでなく、バスケに取り組む姿勢を見せることで、後輩から信頼や尊敬をしてもらえるんだということを知りました。
もし、今の僕が、「後輩になめられたくない、傷つきたくない」と思っていた過去の自分に出会えるのならば、「なめられないためにどうするか」ではなくて、「本当はどんなふうに後輩と関わりたいの?」と問いかけたいです。きっと昔の僕の本心は、「フランクに話せる関係を築きたい」「慕ってほしい」という気持ちだったんだろうと思います。
「なりたい自分」って、どんな自分?
皆さんも、後輩との接し方に迷っていたら、まず「なりたい自分」を想像してみて、それに沿って行動してみるとよいでしょう。「先輩なんだから強そうにしなくちゃ」とか「先輩なんだから上手いと思わせなくちゃ」とか、そんなふうに身構えなくてもいいと思います。
「なりたい自分」がうまくイメージできない場合は、あなたが好きな先輩はどんな先輩か、考えてみましょう。その先輩のどんなところが好きなのか、先輩からどうされたときにうれしかったかを思い出してみて、ふせんに書き出してみるのもおすすめです。たとえば、「話が面白い」「上から目線じゃなく、同じ目線で会話してくれる」「本気で練習している」「後輩が試合に出ているとき、一生懸命応援してくれた」「ダメなときはダメと、はっきり言ってくれた」など、いろいろな先輩の姿を思い浮かべることができると思います。それらの中から、自分にもできることを探して、実行してみるところからはじめてみてはいかがでしょうか。