計画性がない子の特徴と原因は?計画性を鍛えるためにすべきこと

夏休みの宿題、計画的に進められていますか? 学校の授業から解放され朝からテレビを観たりゲームをしたりできるのは夏休みの醍醐味。しかし、計画性がないまま過ごしていると、夏休みの終わりに大慌て宿題を片付けることになります。計画性は大人になってからも大切なスキル。子どものうちに少しずつ身につけていきましょう。

この記事のポイント

計画性とは?計画する力が大切な理由

計画性とは、何かをしようとする際に何をどの順番でやるかを考え、実際にその順番で進める力のこと。これから自分が使える時間や、やるべきことの内容と量、実際に自分が進められるスピードなど、さまざまなことを考慮して段取りをつけることでもあります。

大人になると、計画的に物事を進めることが多いものです。仕事でも家事でも、「AをするならBの準備が必要だ」という見通しはすぐにつくでしょう。

しかし、子どもはまだ時間の見通しが利かず、自分が何をどのくらい進められるのか把握していない子は少なくありません。そのまま大人になってしまうと、さまざまな要素が関わってくる仕事をうまく進められず、混乱したり自信を失ったりしてしまう恐れもあります。

計画性があることは、子どもにとっても大人にとっても、重要な長所。夏休みの宿題や家庭学習を計画性をもって進めることは、大人になって企業などで働く際に必要となる段取りや時間管理ができるという強みを得ることにもつながるでしょう。

計画性のある子の特徴5つ

すでに計画性を身につけた子には、どのような特徴があるのでしょうか? ベネッセ教育総合研究所による取り組みや調査結果も交えて、計画性のある子の特徴5つを見ていきましょう。

【特徴1】時間に余裕をもって行動できる

計画性のある子は、時間に余裕をもって行動する傾向があります。

「5時に習い事が始まる。家から教室まで10分かかって、準備に15分かかる。だから4時半に家を出る」といった逆算で計画を立てられるため、予定の開始時刻に間に合うような準備や行動をしやすくなるからです。

これからの行動を事前に把握していれば、出発ギリギリまで遊んでから慌てて準備するということも少ないもの。何を使うか、どのような服装で行くべきかも計画のうちなので、準備も比較的スムーズです。

【特徴2】段取りよく進められる

計画性のある子は、事前に何をするかを決めています。上手に計画を立てられるようになれば、使う物や取り組む順番をイメージすることも難しくなくなります。

その時間にやるべきことが明確になっているため、実際に取り組む時間になったときにあたふたせず、段取りよく進められるのです。

【特徴3】学習量・学習意欲が向上する

計画性を鍛えると学習量や学習意欲の向上につながります。

ベネッセ教育総合研究所が2016年から2年間、岐阜市の市立中学校で行ったプロジェクトでは、学習計画づくりから振り返りまでを「見える化」。子どもたちの学習意欲や学習量が向上しました。

計画づくりに慣れないうちは無茶な計画を立ててしまうこともあります。しかし、学習計画を立てるとともに「学習量」「学習時刻」「学習内容」「正誤」「解き直し状況」といったデータを記録し、正答率と解き直し状況を中心に振り返りを続けることで、より上手に計画を立てられるようになりました。

【特徴4】成績上位者が多い

ベネッセ教育総合研究所が2019年に行った調査では、成績上位の子どもは「計画立て」と「振り返り」ができていることが多いと分かりました。

計画性が成績向上につながるのは、学習計画で目標を明確にして効率的に学習を進める、テスト結果などを見直して復習し、次の学習計画に生かすといったプラスの循環があるから。自分の現在の学習状況を記録・把握しているため、「何を勉強しているのかわからない」「解き方を理解しているつもりだったのにいざテストに出ると解けない」といった事態に陥りにくいのです。

【特徴5】長期的視点を持てる

目の前に楽しいことがあると宿題を投げ出して楽しいほうへ行ってしまうというのは、子ども時代に誰もが経験したことがあるでしょう。

しかし、計画性が鍛えられればそうした衝動を抑え、「あとで楽しむ」という視点をもちやすくなります。「いつ何をするか」を自分で決めたり、どのくらいで学習時間が終わるのかを把握できるからです。

計画性がより育ってくると、さらに長期的な視点をもてるようになります。学年末テストや入試に向けた1年がかりの計画だったり、将来の職業を意識した学習、資格取得だったり…。ひいては、子ども自身の人生設計にもつながっていくでしょう。

計画性がない子の特徴

計画性がない子の特徴は、計画性がある子の裏返しと言えるかもしれません。

【特徴1】時間にルーズ

計画性がないと目の前の楽しいことに囚われがちで、何度も急かされてやっと重い腰を上げるということが多くなるでしょう。自分の感情によって行動が大きく変化するため、最初は「今日はこれをやる」と決めていても、つい後回しにしてしまいます。

その場の気分で動くことが多く、気がつけば出発時間が過ぎている…。結果として、学校や待ち合わせ、その他の予定に遅れてしまう子も少なくありません。

【特徴2】目標を決めずに行動を開始する

計画性がない状態で何かを始めると、目標設定をしないまま突っ走ってしまう傾向があります。

目標設定なしで「やる気になったからやった!」というその場限りの学習では、結局自分が何を学習したのか、どこを強化すべきかといった「振り返り」の視点が持ちにくくなるといった課題も出てきます。

計画性のある子と比較して、それまでの自分の学習状況から成長を実感する機会も少なくなるかもしれません。

【特徴3】効率的な学習をしにくい

学習計画は、やるべきことと時間をセットで決めて取り組むものです。ふかん的な視点で学習状況を把握できるため、既習範囲のどこが得意でどこが苦手なのかを全体のバランスの中で見ることができるでしょう。

ところが、計画性がなく気分によって学習の進め方が変わってしまうと、「今日は勉強ができた」「今日はできなかった」というその場の気持ちが強くなりかねません。

その結果、それぞれの教科でどの分野が得意・不得意なのかがうまく把握できず、効率的な学習を妨げる可能性があります。

【特徴4】気が散りやすい

私たちの生活は、さまざまな誘惑に満ちています。テレビ、ゲーム、マンガ、SNS、友達からの誘い、お菓子、可愛い動物など、やる気を出していざ勉強を始めても計画性がないとつい誘惑に負けてしまうものです。

気分を優先して「あとでやればいい」という判断が多くなれば、周囲の誘惑に耐える力が育ちにくくなる恐れも。周りに影響されやすく気が散りやすい状態が続く可能性があります。

計画性がない原因5つ

東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所の2019年の調査によると、小学生から高校生で「計画を立てて勉強している」と答えた子どもたちは4~5割程度でした。何が計画作成でつまずくポイントになっているのでしょうか?

【原因1】学習の進め方がわからない

上手に計画を立てて進めるには、進め方のイメージをもつことが大切です。

しかし、計画性がないまま学習を進めようとする子には「そもそも学習の進め方がよくわかっていない」という場合が多く見られます。自分が苦手な教科、分野などはテスト結果で何となくわかっていても、どうすれば克服できるかがよくわからない、というケースでしょう。

学習を上手に進めるには、自分が今どのくらいできているのか、どこでつまずいているのかなどを把握する時間が必要です。

【原因2】うまく目標を決められない

入試に向けて学習計画を立てるにせよ、参考書や問題集を1日数ページずつ進めるという学習計画にせよ、計画性をもって物事を進めるには目標設定が重要です。

目標がない状態では、目標達成のために取り組もうというモチベーション自体が出てこないし、「何のために学習するのか」が見えにくいもの。「ただ手を動かしているだけ」「机には向かっていたけど、何も進んでいない」といったことも発生しやすくなります。

【原因3】実現できる計画になっていない

「目標を決めたし、取り組むべき教材も決めた。これなら計画性をもって学習できる!」とやる気に満ちているところに発生しやすい落とし穴もあります。「実現できる計画になっていない」という問題です。

たとえば「5教科を1日10ページずつ進める」などの無茶な内容で計画を作っていませんか? 1ページあたり5分でやれるとしても10ページで50分。それが5教科で1日あたり250分(6時間10分)かかります。しかも、これには休憩時間が含まれていません。

自分で勉強を進めることに慣れていない子の場合、いきなり6時間勉強をするのは、とても大変。無理の多い計画内容は計画倒れの経験を積み重ねることにつながり、達成感を得にくくもなってしまいます。

【原因4】計画の見直しをしない

「今日は3ページ進める予定だったけれど、実際にやれたのは2ページだけだった」 「体調を崩してしまい、3日間勉強が手につかなかった」

学習計画では、多くの場合どこかで実行できなかった部分が出てくるものです。こうしたとき、「やっぱり無理だったんだ」「どうせ、できないんだ」と投げ出しすと、計画性を養うこと自体の意義を見失ってしまうでしょう。

大切なのは、計画を投げ捨てることではなく、見直すこと。計画性がある子ほど、実は細かく計画の見直しを行っています。

【原因5】計画を立てる習慣がない

朝のうちは「今日は図書館へ行こう」と考えていたのに、出かける時間にゲームを始めてしまったり、友達とのSNSが止まらなかったり…。これまで計画を立てて行動する習慣がなかった子の場合、計画を立てるとはどういうことなのかをわかっていない可能性があります。

計画を立てる際は、「それをやる時間をあらかじめ確保しておき、他の予定を入れないようにする」ことが不可欠です。

時間の確保や別の予定を他の時間に移すなどは、最初は子ども一人ではできないかもしれません。「この時間は図書館へ行く時間だね、ゲームは夕方にやろう」などの形で、保護者がアドバイスをしながら計画性を養う必要があります。

計画性を鍛えるためにすべきこと4選

計画性がない原因を1つずつ克服していけば、計画性を鍛えることができるでしょう。親御さんからお子さまへの声かけ、アドバイスとして次のポイントを参考にしてみてください。

【ポイント1】時間を意識して生活する

計画性をもって物事を進めるには、何よりも時間を意識できるようにすることが大切です。

小学校低学年のうちは、食事の準備やお風呂掃除など普段のお手伝いを時間を決めてお願いする、宿題をする時間を決めて習慣化するなどで計画性を養っていくことができます。

カレンダーや手帳に予定を書き出し、1週間の流れを見ながら新しい予定を入れたり時間を調整したりするのも有効です。

小学校高学年以降は、お子さま自身が学習などを進めやすい時間帯が少しずつ見えてきます。1週間の時間の使い方を記録すれば、勉強に使える時間や遊べる時間などもより把握しやすくなるでしょう。

お子さまの時間の使い方をもとに、「毎日夕方に50分勉強する」など実行しやすい計画を立てたり、週末の家族の予定や準備をお子さまと一緒に考えたりしてみてください。

【ポイント2】目標は2~3段階で具体的に決める

計画を立てることが役に立つという成功体験を重ねるには、達成感を得られる目標設定が必要です。長期目標・中期目標・短期目標といった形で2~3段階の目標を決めれば、達成感を得る機会を増やせるとともに具体的な計画を立てやすくなるでしょう。

目標設定の例としては、以下のようなものがあります。

<目標設定の設定期間と目標例>

  • ・長期:学校の成績表での評価
  • ・長期/中期:テストの点数
  • ・長期/中期・短期:正答率
  • ・中期/短期:取り組むページ数
  • ・中期/短期:取り組む時間
  • ・長期/中期/短期:暗記する単語・用語数

小学校低学年のうちは、取り組むプロセスを重視ししたページ数や時間を目標に設定すると「できた!」という褒めポイントを増やせます。高学年・中学生・高校生の場合は正答率やテストの点数など結果にも焦点を当てた目標を取り入れるとよいでしょう。

実際に3段階の目標を設定する際は、まず半年~1年かけて達成する長期目標を設定してみましょう。

次に、1~3カ月で達成できる中期目標を決めます。中期目標は、長期目標を達成するための足がかりとなります。低学年のお子さまや計画作りに慣れていないお子さまの場合は、長期目標を省略して中期目標から立てても構いません。

最後に、中期目標を達成するための短期目標を決めましょう。短期目標は、1日~1週間程度で達成できる内容にすると、挫折しにくくなります。

もし達成したいことが多い場合は、優先順位を決めた上で優先度の高いものから目標を設定し、計画を立てていきましょう。

【ポイント3】計画の振り返りと見直しを行う

計画性を鍛え始める場合は、計画の振り返りもセットで練習しましょう。先述したように、計画には失敗や遅れがつきものだからです。

目標設定で1日~1週間、1カ月~3カ月、半年~1年といったさまざまな期間で達成する目標を決めました。この目標を達成したかどうかをお子さまと一緒に確認してください。

確認の際は、次の点を意識しつつ振り返りを行うとよいでしょう。

<計画の振り返りと見直しのポイント>

  • ・計画どおりに実行できたか
  • ・計画どおりに実行できなかった場合、原因は何か
  • ・実行できる計画を立てるために、どうするとよいのか

計画どおりにできなかった場合の主な原因としては、教材のレベルが合わない、取り組むべき量が多すぎる、時間が確保できない、体調を崩した、子どもの時間の使い方に合っていないなどが考えられます。

お子さまの意見や感想を聞きながら、お子さまに合った計画作成・見直しをサポートしていきましょう。

【ポイント4】集中できる環境をつくる

計画性がないまま過ごしてきた場合、計画的に進めることが習慣化するまでは周囲の誘惑に流されやすい可能性があります。そんなときは、お子さまが計画どおりに物事を進められるような環境づくりでサポートしてあげましょう。

具体的には、部屋を片付ける、お子さまが自分の計画を実行する時間帯はそっと見守る、お子さまの計画が破綻する原因となるような予定をなるべく入れないといったことがあります。

リビング学習をするなら勉強に使うテーブルとその周辺に誘惑の強い物を置かないことがポイント。お子さま自身の部屋で勉強するなら、お子さまと一緒に勉強に必要なものと不要なものを分類し、不要なものは簡単にしまえるよう引き出しや箱などを用意してみてください。本棚などの動かしにくいものには、布をかけてしまうという手もあります。

学習計画の立て方については、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひご参考になさってください。

子どもの力を伸ばす効果的な勉強法とは? 「計画立て」と「振り返り」
親野先生に聞いた!夏休みの予定を計画倒れにしないためのポイントは?
夏休みに勉強の計画を立てる意義|高校生の受験勉強におすすめな計画方法
勉強計画の立て方のコツと、ノート法を東大王のクイズ軍団QuizKnockに聞いてみた

まとめ & 実践 TIPS

「もっと早くやっておけばよかった!」という後悔は、誰しも経験のあることでしょう。計画性の有無は、大人になっても仕事の能率を左右する重要なスキル。時間を意識して過ごす、計画を立てる、計画を見直すといったことに慣れておけば、先を予測して自分の行動を決める計画性が育ち、「予定どおりに終えられた」という達成感が自信にもつながります。まずはお子さまの時間の使い方を観察し、お子さまと相談しながら計画づくりを進めてみてください。

出典:
中高生になっても勉強に計画的に取り組むのは難しい?! 学習量や学習意欲が上昇し、学びに向かう自信に結びつけるための方法とは|ベネッセ教育情報サイト
https://benesse.jp/kyouiku/202104/20210422-1.html

ベネッセ教育総合研究所「小学校高学年の学びに関する調査 2019」
https://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=5474

東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所「子どもの生活と学びに関する親子調査2019」
https://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=5547

岐阜市教育委員会・ベネッセ教育総合研究所共同研究プロジェクト「学びのプロセスの可視化」で育む生徒の学びのデザイン力—膨大な学習記録データから見えてきた学習意欲を高める実践智(2018年)
https://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=5391

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