小学生が勉強に計画的に取り組むのは難しい?! 子どもが時間を意識して行動できるようになるための保護者のサポート法は?

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計画を立てて勉強するように伝えても、子どもの計画力がなかなか伸びないのはなぜでしょうか。実は、その際の保護者の声のかけ方にもコツがあることが、ベネッセ教育総合研究所の調査から見えてきました。調査に関わった研究員の野﨑友花がお話しします。

親の学習への関わりが子どもに伝わっていないことも

口がすっぱくなるほど「計画的に勉強しなさい」と言っているのに、子どもにはちっとも伝わらなくてイライラ……ということはありませんか? 実はその状況、多くのご家庭で起こっていることかもしれません。

というのも、東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が2019年に小学生とその保護者を対象に行った調査によると、「子どもに計画の立て方を教えている」という保護者は55.3%。対して、子どもが「保護者から計画の立て方を教わっている」と認識している割合は38.4% と、親子の間で大きなギャップが見られました。

※「子どもに勉強の計画の立て方を教える」と保護者が回答したうち、子どもも「教えてもらう」と回答したケースを「親子一致」とし、子どもは「教えてもらっていない」と回答したケースを「親子不一致」とした

なぜ、ギャップが生じてしまうのでしょうか。実は、小学生の子どもたちはまだあまり時間の見通しが利かず、計画の立て方も身についていません。にもかかわらず、「計画を立てなさい」「予定通りにできていないじゃない」などといった声かけにとどまって、具体的な方法を伝えられていないことが考えられるのです。

時間を意識できるような声かけを

では、どんなアドバイスをするといいのでしょうか。年齢に合わせて少しずつ、時間を意識できるようにしていくといいと思います。例えば低学年なら、まだまだ計画を立てることが難しい時期。

ですので、まずは生活面から、食事の準備や風呂そうじなど時間が決まっているお手伝いをお願いしたり、宿題をする時間帯を決めて習慣にしたりと、時間を意識できるようなサポートがおすすめです。

また、1週間の予定を書き出してみると、「今日は何時まで遊べる」「この時間に宿題ができそう」ということが見えてきて、自分で考えて行動できるようになっていくでしょう。

それが高学年になると、「自分は夕飯のあとの方が勉強しやすい」などと自分のスタイルが見えてきますので、お子さまの意思を尊重しながら、一緒に1週間単位などで計画を立てていくといいでしょう。

また、計画は立てるだけでなく、振り返ることで「ここはもっとこうしよう」「次はこうしてみよう」という気づきや改善にもつながっていくものです。1か月や学期ごとにでも「うまくいったところ」「計画通りにいかなかったところ」を一緒に振り返ることも大事なこと。

そしてできているところを“ほめる”ことで、達成感も覚えて、また計画したり振り返ったりできるようになっていきます。

まとめ & 実践 TIPS

計画を立てるということは、自分で学習や時間をコントロールするということ。実行するうちに「もっとこうしてみよう」「自分にはこんなやり方が向いているな」という気づきや、やがては結果や自信にも結びついていきます。

小学生のうちに計画力の土台を築いていければ、中学校で定期テストに向けて勉強する際にも、大きなアドバンテージになると思います。時間を意識して行動できるよう、一歩ずつサポートをお願いいたします。

≪参考≫
・「東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所「子どもの生活と学びに関する親子調査2019」(2019年7~9月実施)」
https://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=5547

・ベネッセ教育総合研究所の教育研究知見を元にした子育て・学びに関する記事の一覧はこちら
https://benesse.jp/special/berd.html

プロフィール

野﨑 友花 (のざき・ゆか)

ベネッセ教育総合研究所 学び・生活研究室 研究員。主に「子どもの生活と学びに関する親子調査」を担当。専門は教育社会学。これまで教師の指導文化に関する質的研究や、子どもの学力・生活実態を把握する量的調査に携わる。近年は、保護者の教育意識・行動や子どもの成長・発達プロセスに関する研究に取り組んでいる。

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株式会社ベネッセコーポレーションの教育、調査、研究機関です。子ども、保護者、先生、学校などを対象に、教育に関連する調査、研究を行い、その研究成果や調査報告書、各種データを無償で公開しています。

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