中高生になっても勉強に計画的に取り組むのは難しい?! 学習量や学習意欲が上昇し、学びに向かう自信に結びつけるための方法とは

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中学生や高校生にとって「計画的に勉強すること」はとても大事なことですが、実際にできている生徒は少ないようです。では、計画力を身につけるコツとは?中学生の学び方を変え、学習意欲や学力などを高めるプロジェクトに携わった、ベネッセ教育総合研究所の岡部悟志に聞きました。

この記事のポイント

計画を立てずに勉強している中高生

中学生になると定期テスト、高校生になると大学入試などもあり、計画を立てて勉強することがより大事になります。ところが子どもたちを見ていると、「計画性がないな…」などと思うことはありませんか?

実際、東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が2019年に小学生から高校生までを対象にした調査によると、「計画を立てて勉強している」のは4~5割程度。これを学年別に見ると、大学受験を控えた高3こそ52.1%と少し高くなりますが、あとは中1の54.3%を頂点に、学年が進むごとに減少していくという結果が。

逆に「勉強が好きではない」という中高生は、中1から増えて6割近い学年もあるほどで、勉強が思い通りにできていない様子がうかがえます。

※「よく+ときどきする」と回答した割合

※「あなたは勉強がどれくらい好きですか」という質問に対して、「あまり+まったく好きではない」と回答した割合

学びを「見える化」したら学びの質が変わった!

では、どうしたら計画的に勉強できるようになるのでしょうか。ベネッセ教育総合研究所が、岐阜市の市立中学校で2016年から2年間かけて行ったプロジェクトが、参考になるかもしれません。

プロジェクトでは、生徒一人ひとりにタブレット教材を配付し、学校と家庭で学習してもらい、「学習量」「学習時刻」「学習内容」「正誤」「解き直し状況」などのデータを記録。生徒にはテスト結果ではなく、「教科ごとの学習量」「前月からの学習量の推移」「正答率と解き直し状況」といった学習の事実を中心にフィードバックしました。

つまり、中学生の日々の学びを「見える化」したわけです。それをもとに翌月の目標や計画を決めて学習してもらいました。最初は無茶な計画を立ててしまう子も見られたものの、計画づくり→学習→振り返りを2~3回くり返したところで、生徒たちの学習量や学習意欲がぐんと上昇。

「努力をすれば、自分もたいていのことはできると思う」という自己効力感にも結びついたとともに、「間違いをそのままにしては伸びないと気づいた」「苦手な数学も成績アップできた」といった声もあったほど、子どもたちの学びに明らかな変化が起こりました。

計画、実行して、振り返ることが大事

もちろん、ご家庭で同じことをするのは難しいと思います。ですが、重要なのは自分の学びの「見える化」と「振り返り」です。最初は多少“無茶”で構いませんので、1週間なり1か月なりの計画を立てて実行し、メモやスマートフォンの学習記録アプリなどを活用してもいいので、学習の記録をつけてみるのです。

そうして計画を振り返ることで、「ここはちょっと無理があったな」「次はもっとこうしてみよう」という気づきにつながり、どんどん計画立てが上手になるとともに、結果にも結びついていくでしょう。

ただし、保護者のかたが「子どもの勉強に関わっている」と思っていても、子どもの方は必ずしもそう認識していないという調査結果も。保護者の声を聞き入れにくい年頃ではありますが、「計画を立てなさい」ではなく、「教科ごとの勉強時間を書き留めてみるといいらしいよ」などと、さりげなく具体的なアドバイスをするのがおすすめです。

まとめ & 実践 TIPS

計画の必要性は、単に「テストに間に合わせるため」だけではありません。計画を立てるということは、自分で学習や時間をコントロールするということ。実行するうちに「次はもっとこうしてみよう」「自分にはこんなやり方が向いているな」という気づきにつながり、やがては結果にも結びついていきます。

それが子どもの学びに向かう自信になることはもちろん、将来社会に出てからも役立つ力になるはず。そのためにも、子どもが試行錯誤しながら計画を立て、実行し、振り返ることができるよう、一歩ずつサポートしていってあげてください。

≪参考≫
・「東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所「子どもの生活と学びに関する親子調査2019」(2019年7~9月実施)」
https://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=5547

・「岐阜市教育委員会・ベネッセ教育総合研究所共同研究プロジェクト「学びのプロセスの可視化」で育む生徒の学びのデザイン力—膨大な学習記録データから見えてきた学習意欲を高める実践智」(2018年)
https://berd.benesse.jp/shotouchutou/research/detail1.php?id=5391

・ベネッセ教育総合研究所の教育研究知見を元にした子育て・学びに関する記事の一覧はこちら
https://benesse.jp/special/berd.html

プロフィール

岡部 悟志 (おかべ・さとし)

ベネッセ教育総合研究所 学び・生活研究室 主任研究員。これまで高等教育や社会人領域の調査研究を担当。現在は、乳幼児から初等中等領域までの、子どもの発達や成長、保護者の子どもへのかかわりや教育観などに関する調査研究に取り組む。

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株式会社ベネッセコーポレーションの教育、調査、研究機関です。子ども、保護者、先生、学校などを対象に、教育に関連する調査、研究を行い、その研究成果や調査報告書、各種データを無償で公開しています。

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