農学ってどんな学問?学ぶ内容や関連する職業についても紹介!

農学は私たちの生活にとって重要な農業やそれに関わる生物、環境などを研究する学問です。生産性を向上するための技術や理論を研究したり農業に携わる人材を育成したりしています。卒業後は農業試験場や農業関連団体、食品メーカーなどで働く人が見られます。

農学とは?

「農学」は、私たちの生活を支える大きな産業である「農業」、それに関わる植物・生物、ひいては地球全体の環境などについても研究する学問です。

たとえば、日本には多くの食糧がありますが、地球規模で見れば人口増加と食糧不足が大きな社会的課題になっています。飲料水不足や環境破壊の問題について聞いたことのある人も多いでしょう。

そうした課題の解決を目指して、農業を科学的にとらえつつ生産性向上に寄与する技術の開発、理論の研究、人材の育成に取り組みます。

農学は、人間の食生活、そして地球の未来のために何ができるのか、一歩先を考える視野を育てながら食糧や地球環境について考えていくもの。私たちの社会がより豊かな食生活を送るために重要な学問です。

農学の主な分野と学ぶ内容

農学の基礎分野は、遺伝、育種、栽培、作物、土壌などの研究分野です。同時に、バイオテクノロジーや生態系、マーケティング、気象など、幅広い分野にわたって研究を進めていきます。

農学は実際に土や植物に触れる産業としての農業を学ぶだけではありません。近年の先進的な研究では、細胞融合技術や遺伝子組み替え技術を利用した研究、バイオ素子やバイオセンサーの開発なども行っています。

環境保全の観点では、化学薬品を使わずに雑草や害虫を駆除する方法、砂漠の緑化、半乾燥地域での作物の栽培なども注目されている分野です。

農学の講義・カリキュラム・時間割例

農学では、基本的な知識や理論を学ぶ講義の他に、実習や実験の授業も重視されています。学ぶ分野としては作物学や育種学が中心ですが、近年めざましい発展を見せるバイオテクノロジーも農学で学ぶことができます。

農学のカリキュラムと授業内容

農学で履修する科目は、作物学や育種学を中心としたカリキュラムが一般的です。その中で、園芸学、昆虫学(害虫駆除や有用昆虫についての研究)、植物病理学、農業経営学、土壌学、生物化学などを学びます。

近年の技術の発達や知見の蓄積に伴い、バイオテクノロジーなどの最先端技術について学ぶ科目も増えてきました。

農学の授業では書物や顕微鏡と向き合うだけでなく、実際に農場で体を動かしながら農業を知る「フィールドワーク」も重要です。フィールドワークの内容は授業によって異なりますが、たとえば自分が興味のある野菜を1つ選んで種まきから収穫まで管理するといったものが見られます。自分の手で実際に作物や家畜を育てことで、農業の難しさや作物の特徴を実体験をとおして学べるでしょう。

学年が上がるほど農学における研究内容は多岐にわたり、大学によっては非常に細かな科目から選ぶことになりますので、自分が何を研究したいのか、どんなことに興味を持っているのかを明確にしておくとよいでしょう。

農学の時間割の例

では、実際に農学を学んでいる先輩の時間割を見てみましょう。

作物の育て方、作物の生育と環境の関係、害虫のこと、そして農業関連の英語を学ぶ授業などさまざまな内容を学んでいることがわかります。
実験・実習に関する授業は週に3コマ見られます。

また、先輩の時間割で「ゼミ」や「作業(研究室)」が集に3回入っているのも特徴的です。
実際に作業をしたり研究を進めたりする時間が多いことがうかがえます。

実際どのような時間割になるかは、大学や学年、専門としたい研究分野によって異なります。
1・2年次は農学の必修専門基礎科目とともに一般教養科目を履修する大学もあるでしょう。
どのようなカリキュラムなのか、大学のパンフレットや公式サイトをじっくりチェックしてみてください。

農学を学んだ人々の卒業後の進路

農学を学んだかたは、官公庁や農業試験場の研究員、農業改良普及員などの公務員、あるいは農協などの農業関係団体に就職する人や、食品や医薬品メーカーなどの一般企業で働く人が多く見られます。
近年はバイオテクノロジーを扱う企業が増加していますので、育苗部門やコンピュータ関連の職種への就職も主な選択肢の1つでしょう。

農業試験場の研究員

農業試験場とは、農業技術に関する試験・調査・研究を行ったり農業従事者に指導を行ったりする機関です。国立の農業試験場もあれば、都道府県の公立農業試験場もあります。

農業試験場では、作物の種苗管理、家畜・家きんに関する動物衛生、大型の農機具の操作や農場での作業、実験に使う動物の飼育などさまざまな仕事が見られます。

たとえば作物に関する仕事内容では、新品種の栽培試験、種子の品質検査、品種登録の実施、優良な種苗の流通確保など。家畜・家きんに関する仕事内容では、病気に使う薬やワクチンなどの製造・管理、病理組織標本の作成、微生物の分離・培養・遺伝子検査といった業務が見られます。

どのような業務を担当するかは、それぞれの施設や募集される職域によって異なります。

農業改良普及員

農業改良普及員は、農業従事者に対する農業や生活改善に関する技術と知識の普及を担う都道府県の職員(公務員)。都道府県各地に設置された農業改良普及所などに勤務します。

農業改良普及員として働くには、卒業後に公務員や農協職員として実務経験を積み、資格試験に合格しなければなりません。

農業改良普及員の仕事内容は、農業技術や経営の指導、環境に配慮した農業の指導、安心・安全な栽培・販売方法の提案などです。

実際に農業に従事している人とコミュニケーションをとりながら、農場に足を運んで仕事を進めていきます。

農協などの農業関連団体職員

農協は、農業者の協同組合。農業従事者である組合員のもとで組合の業務を担うのが、農協の職員です。

仕事内容は、経営相談、品種や栽培基準の統一、生産物の販売、資材・農機具・燃料の供給といった農業に直接関わるものから、組合員を対象とした銀行のような業務(貯金・貸付)、組合員の病気・ケガ・災害・事故の際にサポートする保険のような事業(共済)、団体の管理・総務など多岐にわたります。

農業指導や資材・資金提供などをとおして組合員をサポートしていく仕事ですので、地域の農業従事者としっかりコミュニケーションをとれることが大切です。

食品メーカーなどの社員

農学を学んで食品メーカーなどに就職する場合、研究、製造技術、品質管理などの職種があります。

研究職の場合は、会社の研究所に勤務しながら基礎研究を行ったり、新製品の開発に関わる研究を行ったりします。

製造技術職では、効率的で安全な製品製造のために工場で作業員の勤怠管理や機器の設計・メンテナンスを担当。品質管理職は、そうした製品の品質や安全性を検査するとともに、問題のある製品がある場合は原因を調査・報告するなどの役割も担います。

農学を学べる大学選びのポイント

農学を学べる学科は農学部に設置されているのが一般的です。大学によっては、畜産学部、園芸学部、生物資源学部などに置かれていることもあります。

学科名については、農学科だけでなく、緑地・環境学科、生物資源学科、生物生産化学科など、多様な名称が見られるのが特徴。その大学の特色がわかるよう考慮された名称となっていますので、自分の学びたい内容に近い名称を手がかりに検討するとよいでしょう。

もちろん、学科名だけからは扱う研究内容まで把握できないこともあります。必ず大学案内や公式サイトなどでどのような研究をしているのかもチェックしてください。

「農学に興味はあるけれど、どの分野に進むか迷っている」という人は、幅広い内容の講座を設置している大学を探すとよいでしょう。

まとめ & 実践 TIPS

農学は農業の技術や理論、生産性向上や地球環境などの研究を行う学問領域。作物や家畜・家きんなどの特徴、育て方、害虫に関することだけでなく、最新技術であるバイオテクノロジーなども含む多様な分野が含まれます。

卒業後は、農業に関する公的機関の研究員や指導員、農協など農業関連団体の職員、食品メーカーなどの研究員など、農学の知識を生かす分野で働く人が多く見られます。

基本的には「農学部」で学べますが、各大学で特色ある名称を用いた学科が設置されていることも。大学選びの際は「農学のどの分野を学びたいか」を意識しつつ、カリキュラムや大学がもつ関連施設などに注目してみてください。

出典:
農学|マナビジョン
https://manabi.benesse.ne.jp/shokugaku/learning/system/065/

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