私立中学と公立中学の学費の違い!中高一貫校に通わせたい時の総額を比較

高校受験の必要がなく中学から高校まで継続して学習できる中高一貫校。もともとは私立に多く見られましたが、現在は公立の中高一貫校も増えています。学習環境には大きな魅力があるものの、6年間の費用は無視できません。

中高一貫校に通わせる場合の教育費について、私立と公立で金額を比較してみましょう。

この記事のポイント

1.私立中学3年間+私立高校3年間はいくらかかる?

中高一貫校の学費を見る前に、まずは東京都が公表する調査結果の令和3年度版から、一貫校ではない私立中学校3年間と私立高校3年間の学費を見ていきましょう。※1

以上から、一貫校ではない私立中学校と私立高校にそれぞれ3年間ずつ在籍する場合の合計費用は、約470万円。私立中学校のほうが私立高校よりやや学費が安い傾向があります。

なお、これらの費用に含まれないものとして、私立の場合は平均10万円〜30万円の寄付金が発生します。

※1 私立中学校、私立高校は学校によって大きく金額が異なります。各学校の正確な学費については、学校の公式サイトやパンフレット等でご確認ください。
※2 「その他」には、制服などの指定品・教材・海外研修費積立費などが含まれています。

2.中高一貫校で私立と公立を比較 費用はいったいいくらかかる?

では、中高一貫校の場合、私立と公立6年間でいくらかかるののでしょうか?

注意が必要なのは、公立の中高一貫校では中学校に相当する「中等教育学校の前期課程」は授業料が無償になること。そのため、公立の学費は私立より安くなります。

学費を公開している東京都の中等教育学校の例および東京都の私立中学校と私立高校の学費の平均値から見ると、6年間の合計費用は以下のようになるでしょう。

したがって、
・中等教育学校の6年間総額 約187万円
・私立中高一貫校の6年間総額 約489万円
となります。

また、中高一貫校であっても中学1年生から塾に通うお子さまも少なくありませんので、塾代も考慮する必要があるでしょう。「子どもの学習費調査」の学校外費用から計算すると、公立・私立ともに6年間で200万円ほどです。

よって、学費は私立は公立より約2.6倍、塾代も合わせると約1.8倍となることが分かります。

※3 その他の費用については東京都の調査詳しい記載がないため、文部科学省の「子どもの学習費調査」を参照しています。
※4 私立中高一貫校は学校によって大きく金額が異なります。各学校の正確な学費については、学校の公式サイトやパンフレット等でご確認ください。
※5 私立中高一貫校では、高校入学時も入学金がかかるケースが多く見られます。学校にもよりますので、正確な金額は各学校の資料等をご確認ください。
※6 「その他」には、制服などの指定品・教材・海外研修費積立費などが含まれています。

3.私立中高一貫校に入学が決まったら必要になるお金とは

このように、私立中高一貫校に入学が決まると入学金や授業料の他にもさまざまなお金が必要になるものです。

あらためて支出の内訳をリストアップすると、概ね次のようになるでしょう。

【入学が決まったら必要になるお金】
・入学金
・授業料
・生徒会費
・修学旅行費
・制服などの学校指定品の購入費
・学用品
・通学費
・昼食代
・寄付金
・その他

修学旅行費は、行き先や内容などの関係で学校によって金額が大きく異なります。通学費も学校と自宅がどのくらい離れているかで、生徒間でも差が見られるところです。ちなみに、「子どもの学習費調査」では、平均約14万円の通学費がかかると言われています。

私立の場合、生徒の昼食はお弁当持参や購買部での購入が多いでしょう。昼食代も生徒によって大きくことなると言えそうです。

4.中学受験準備から入学が決まるまでにかかる費用は?

中等教育学校にせよ私立中高一貫校を志望するにせよ、必ず通らなければならないのが中学受験。中高一貫校へ行くには、受験準備から入学が決まるまでの期間にもお金が必要になることが多いものです。入学が決まるまでにかかる教育費でも、特に塾代は大きな支出となります。

中学受験のために小学4年生から小学6年生まで通塾する場合、塾代は次の金額をイメージしておくとよいでしょう。

【中学受験のための塾代】(4年生〜6年生・季節講習を除く)※7
・4年生 約44万円(年間・週3回授業)
・5年生 約54万円(年間・週4回授業)
・6年生 約63万円(4月〜1月・週4回授業)

つまり、合計約160万円かかることになります。

これ以外に、入会金や春期講習・夏期講習・冬期講習などの費用も発生。季節講習を受ける場合は、合計で50万円〜100万円ほど上乗せされます。

小学4年生から3年間塾に通うとして、総額200万円以上は必要になると考えておきましょう。

また、入試を受けるにあたって受験料も必要です。東京都の場合、受験料の平均は約2万3000円となっています。

※7 正確な金額は、塾や回数、科目、授業形態、時期によっても異なります。塾公式サイトまたはパンフレットでご確認ください。

5.学費の準備の仕方

これまで見てきたように、中高一貫校に通わせるには大きな額の学費を準備する必要があります。しかし、なかなか多額の教育を準備するのは容易ではありません。そこで、公的な支援制度や民間の保険、教育ローンなどを上手に活用していくことも考えておきましょう。

5−1.国や自治体による支援制度

受験を考える段階から目標金額を計算しつつ貯蓄計画などを立て、可能であれば各種奨学金や国・自治体による支援制度の利用も検討してみてください。

以下は入学金や授業料の負担を軽減する支援制度。いずれも、ご家庭の世帯年収が条件になっています。

【国や自治体による支援制度の例】(東京都・神奈川県の場合)
・国の制度:高等学校等就学支援金制度
・東京都:私立高等学校等授業料軽減助成金事業
・東京都:多子世帯における授業料支援
・東京都:私立小中学校等就学支援実証事業
・神奈川県:私立高等学校等生徒学費補助金
・神奈川県:私立学校生徒学費緊急支援補助金
・神奈川県:私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関する実証事業

授業料以外の教育費(教科書費・学用品費・学校外活動費・修学旅行費など)の負担を軽減する制度では、「高校生等奨学給付金」があります。全国の都道府県が窓口となっており、新入生は4月〜6月、2年生・3年生は6月〜7月頃に申請可能です。※8

※8 申請時期について、最新情報は都道府県公式ページをごらんください。

5−2.学資保険

公的な支援制度以外では、各種保険会社が取り扱っている学資保険も役立つでしょう。学資保険の中には、毎月学費を積み立てて入学の時期に満期を迎えるというプランもあります。

学資保険の保険料は口座から天引きされるため、「自分で計画的に貯金していくのは大変」というかたにも安心。返戻率によっては、積み立てた金額より多くの保険金を受け取れる場合もあります。

5−3.教育ローン

もし事前に学費を十分に用意するのが難しい場合は、教育ローンを利用することも可能です。返済時に手数料はかかるものの、一度支払いを立て替えてもらい、その後少しずつ返済できます。

在学中は手数料のみの支払いにする、就職後は子どもの口座から返済するなど、さまざまな返済方法が用意されているので、条件・状況に合わせてご活用ください。

6.私立、公立をそれぞれ選んだ保護者のそれぞれの理由やコメント

資金については以上となりますが、実際に中高一貫校に通わせているご家庭ではなぜ中高一貫校を選んだのでしょうか。実際に中高一貫校にお子さまを通わせている保護者に伺いました。

〜公立中高一貫校(中等教育学校)に子どもを通わせている保護者〜

  • 「授業の質が高いです」
  • 「実際に入学してみると、行事や部活が盛んで充実した学校生活を送ることができる」
  • 「公立なので授業料が安い」
  • 「全体的に自由な校風がいい」
  • 「受験勉強のフォローはないものの、考える力を伸ばす教育を受けられている」

〜私立の中高一貫校に子どもを通わせている保護者〜

  • 「部活動が盛んで良い」
  • 「都心でありながら静かな環境で学べている」
  • 「文武両道の校風が大きな魅力」

志望校選びの際は、偏差値や必要になる教育費とともに、こうした授業の様子や教育方針、部活動、設備などもぜひチェックしてみてください。

まとめ & 実践 TIPS

人気の高い中高一貫校に進学するには、中学受験準備から入学が決まるまでに200万円以上、入学から卒業までに中等教育学校では約187万円、私立中高一貫校では約464万円かかるという計算です。

計画的に教育費を準備するとともに、世帯年収が条件に合うようであれば国や都道府県の支援制度を上手に活用していきましょう。必要に応じて民間の学資保険や教育ローンも検討してみてください。

出典:
令和3年度 都内私立中学校の学費の状況|東京都
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/12/09/05.html

令和3年度 都内私立高等学校(全日制)の学費の状況|東京都
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/12/10/17.html

都立高等学校、中等教育学校(後期課程)の授業料・入学料及び特別支援学校高等部の授業料について|東京都
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/admission/tuition/tuition/tuition.html

平成30年度子供の学習費調査|文部科学省
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00102.html

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