奨学金とはどのような制度?主な制度5つとチェックしたいこと

進学したいけれど学費を準備できそうにない、そんな時に選択肢の1つとして考えたいのが奨学金です。特に最近は、新型コロナウイルス感染症の影響で奨学金への関心が高まっているようです。

とはいえ、奨学金の実施主体や制度内容はさまざま。どの奨学金を利用すれば良いか迷ってしまうかもしれません。そこで、どのような奨学金があるのか、高校卒業後の奨学金の種類や内容、奨学金を借りるポイントについて、主に貸与型を中心にお伝えします。

この記事のポイント

奨学金とはどのような制度か

奨学金は、経済的理由で進学が困難な学生が学資を借りたり、給付を受けたりすることができる制度です。
奨学金を利用するには、いくつかの基準をクリアする必要がありますが、主な基準は、家計基準と成績基準の2つです。基準をクリアすれば利用できるとはいえ、何十万、何百万円ものお金が動くわけですから、利用する前には利用後のことも考えて申し込みをしたいですね。

奨学金を利用できる人は?

利用できるのは、高等学校・高等専門学校・大学・短期大学・専門学校・大学院などに通っている学生です。浪人生でも利用できる場合があります。

奨学金の種類

奨学金には、貸与型と給付型があります。それぞれの違いについて確認しましょう。

貸与型

貸与型は、お金を借りるタイプの奨学金です。
借りるわけですから、返さないといけません。返還時に利子がつく有利子タイプと利子がつかない無利子タイプがあります。

給付型

給付型は、返還不要の奨学金です。
利用条件は、貸与型より厳しくなります。

なお、貸与型・給付型、それぞれ申し込む時期によって予約採用と在学採用があります。大学や専門学校などに進学する前に申し込むのが予約採用、進学してから申し込むのが在学採用です。

予約採用は高校3年生の秋から冬にかけて奨学金採用結果がわかります。結果がわかっているので、お金の心配をせず、受験に挑めますね。また、予約採用で採用されなかった、あるいは、予約採用を申し込まなかったけれど、あとから申し込みたいと思ったら、進学先の学校でも在学採用を申し込むことができます。

主な奨学金制度5つ

1:大学独自の奨学金制度

大学によっては、独自の奨学金制度を実施しているところがあります。
100種類以上もの奨学金制度を設置しているところもありますから、進学先の大学の奨学金制度を事前に調べておくと計画的な申し込みができます。

大学によって奨学金の内容や条件はさまざまですが、たとえば、青山学院大学の貸与型の場合、対象者は日本学生支援機構の奨学金に申し込んだけれど採用されなかった人、学業が優秀な人などの条件があります。月額約6万円を無利子で貸与され、卒業後、最長20年間で返還していくことになります。

4年間貸与を受けると、総額で250万円ほどになりますから、20年かけて返していくなら、返還額は、月約1万円ということですね。

ただ、大学独自の奨学金の場合、貸与型奨学金は数少なく、給付型のほうが充実している傾向にあります。

2:日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度

日本学生支援機構の奨学金には貸与型と給付型があり、給付型はいわゆる大学無償化と言われている奨学金で、入学金と授業料の減免と奨学金の支給がセットになっています。

貸与型の場合は、無利子の第一種と有利子の第二種があります。貸与金額は下記の通りで、在学している期間、貸与されます。

採用されるには、学力基準と家計基準をクリアする必要があり、たとえば、第一種の予約採用の学力基準は、全履修科目の平均が3.5以上となっています。

返還は貸与が終了してから7か月目から始まります。3月で卒業したら、10月から返還がスタートするということですね。

第二種の場合、返還の際は利子がつきますが2021年6月現在、利率は固定方式の場合0.268%、約5年ごとに利率が見直される利率見直し方式の場合0.003%となっています。ただ、この利率は、申し込み時点ではわかりません。

通常、お金を借りる時は、利率がわかった上で申し込むものですが、奨学金の場合、利率がわかるのは貸与終了時です。
奨学金を申し込む時点では、まだ利率が分からない状態で、どちらの利率方式にするかを選択しなければいけませんので、少なくとも、その時の利率はチェックしておきましょう。
なお、利率方式については、あとから変更することも可能ですのでご安心ください。

3:民間育英団体による奨学金

民間団体による奨学金も、多くの場合、家計基準と成績基準、大きく2つの要件が設けられています。さらに、特定の学問を学んでいる、親が病気などで死亡したなど、利用できる人が限定されている奨学金もあります。

貸与型と給付型いずれもありますが、給付型と貸与型がミックスされた奨学金もあります。

たとえば、保護者が交通事故で死亡・後遺障害をおっている子を援助する交通遺児育英会は、進学先が大学の場合、月額2〜4万円の無利子貸与に加え、月額2万円を給付するという内容です。返還は、最長20年、貸与終了後7か月目からスタートします。

4:地方公共団体による奨学金

地方公共団体が実施している奨学金制度は、給付型と貸与型それぞれありますが、申し込み資格として学生の保護者等がその自治体に住んでいることを条件のひとつとしているケースが多くあります。

たとえば、港区は国の大学無償化制度をさらに手厚くした区独自の給付型奨学金を実施していますが、利用できるのは、保護者が区内在住である学生です。

また、無利子の貸与型奨学金制度もありますが、こちらも保護者が区内在住である必要があります。また、自治体によっては連帯保証人が必要で、連帯保証人にも住所要件が適用される場合があります。

貸付額は、港区の場合、国公立大学自宅通学の場合、月額45,000円以内、私立大学自宅外通学なら64,000円以内となっています。返還は、貸付が終了翌月の1年後からスタートし、12年以内に終える必要があります。

自治体によって内容はさまざまですから、お住まいの自治体の奨学金制度を調べておくとよいでしょう。

5:専門学校独自の奨学金制度

専門学校にも奨学金制度を実施している学校は数多くあります。入学金や授業料の減免、学生寮の寮費が支給される奨学金、中にはマンションの仲介手数料を奨学金として給付するなどユニークなものもあります。

その他、一定の資格取得などで奨学金の給付があったり、奨学金を受けるために面接や論文試験に合格する必要があったりと、家計基準より学業を重視する傾向が強いのが特徴です。

奨学金を借りるときチェックしたいこと3つ

1:返す必要があるかどうか確かめておく

奨学金を延滞している人ほど、申し込み手続きを行う前に返還義務があることを知らない割合が多いという調査結果があります。検討段階で、返還が必要かどうかは、忘れずに確認しておきましょう。

2: 返還するとき利子のつくタイプであるのか確認しておく

返還が必要かどうかに加え、利子がつくタイプのものか無利子タイプのものか、利子がつくならどの程度の利率かも、あわせてチェックしておきましょう。

3:居住地や専攻科目が奨学金の条件に当てはまるか確認しておく

居住地や学ぶ科目が利用条件に入っている場合もあります。自分の場合は該当するか確認しておきましょう。

奨学金を借りるときの注意点

入学金としては利用できない

奨学金の振り込み時期は、予約採用だとしても、進学してからです。奨学金によっては、初年度は入学金を上乗せして支給するものもありますが、入学前に振り込まれるわけではありません。入学金は別途準備する必要があります。

借りている間は成績に注意が必要

奨学生として採用されたとしても、成績が不振になると奨学金が停止されたり、打ち切られたりすることがあります。
特に日本学生支援機構の奨学金は、給付型も貸与型も奨学生として適格性が採用後も確認されます。せっかく採用された奨学金です。成績は落とさないよう、日頃から勉学に励みたいですね。

まとめ & 実践 TIPS

経済的理由で進学をあきらめることがないよう、資金が足りないなら、奨学金を活用したいものです。
奨学金の種類はたくさんありますから、利用しやすい奨学金を見つけてください。ただ、貸与型は子どもが借金を負うことになり、社会人になってから10年から20年そのお金を返さないといけません。それでも奨学金を借りて進学して良かったと思えるよう、返すことまでしっかり考えた上で奨学金を申し込みたいですね。親子で話し合ってみてください。

前田菜緒

前田菜緒

ファイナンシャルプランナー、公的保険アドバイザー。保険代理店に7年間勤務後に独立。子育て世代向けにライフプラン相談、セミナー、執筆などを行っている。相談は、夜、子どもが寝てからでも可能で未就学児ママに配慮したサービス体系になっている。2児の母。FPオフィスAndAsset代表(https://www.andasset.net)

出典:
青山学院大学「学費・奨学金・教育ローン」
https://www.aoyama.ac.jp/life/expenses/

独立行政法人日本学生支援機構「奨学金」
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/index.html

公益財団法人交通遺児育英会「奨学生募集のご案内」
https://www.kotsuiji.com/howto/

港区「奨学資金」
https://www.city.minato.tokyo.jp/gakkouuneishien/kodomo/gakko/syougaku/index.html

北九州市「大学奨学金」
https://www.city.kitakyushu.lg.jp/kyouiku/file_0085.html

学校法人メイウシヤマ学園「教育ローン・奨学金」
https://www.hollywood.ac.jp/dormitory/

日本電子専門学校「学費・学費サポート」
https://www.jec.ac.jp/entrance/support/original.html#scholar01

プロフィール

子どもの教育資金を考える女性FPグループ

メンバー全員が子育て経験を持つ女性FPのグループ。各自の子育て経験や得意分野を活かして、消費者向けのセミナーや相談業務、執筆、監修などを手掛けている。教育資金に関する情報発信の機会も豊富。

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