私立中学校 受験後のお金の支払い

首都圏の私立中学校の入試は、一般的に2月1日から解禁となり、一斉に入試が始まります。数日後すぐに合格発表。手続き締切日までに入学金の支払いを行わなければ、入学の権利はなくなります。こうした注意点について、ご説明しましょう。

■事前に志望校の優先順位を決め、お金の準備をしておこう

手続き締切日が、「第1志望 → 第2志望 → 第3志望……」という順番なら、順位の高い志望校へ入学金を支払うことで受験は終わりです。しかし、たとえば第1志望前に第2志望の手続き締切日があると、先に第2志望校へ入学金を支払わなければいけません。その後、第1志望校へ合格していたらうれしいことですが、入学金は二重に支払うことになります。

最近は、他校の受験も配慮して、入学金の一部の納入金で入学手続きが可能だったり、入学辞退者には入学金以外の施設費を返還したりする学校もあります。しかしその場合、期限が設定されている学校もあります。期限前に忘れずに手続きをしましょう。

中学受験は保護者と子どもの二人三脚です。合格に向けて、親子で何年間も歩んでこられたことでしょう。2月1日以降は、短期間で結果がわかり、学校を決めなければいけません。私も経験がありますが、この期間はまるで嵐のような日々です。初めての経験にとまどっているお子さんもいるかもしれません。受験の結果にこだわらず、事前に決めている志望校の優先順位どおりに、淡々と行動しましょう。そして、受験後のお金の支払いは、子どもの気持ちに負担をかけないよう、保護者がしっかり準備しておきましょう。

■入学時の学費はどうなっているの

文部科学省は、2年に1度「子供の学習費調査」を実施しています。昨年12月24日に、2014(平成26)年度の統計が発表されました。その中から、公立中学校と私立中学校の学習費の違いを見てみましょう。

下表のように、公立中学校は義務教育なので授業料はかかりません。一方、私立中学校の授業料は43万5,917円/年で、約3万6,326円/月の授業料です。年間の学習費総額は、公立中学校48万1,841円、私立中学校133万8,623円。私立中学校のほうが、公立中学校より2.78倍多く必要なことがわかります。

納入方法は、年度初めに一括払い、分割払い(毎月・半期・四半期・指定回数払い)など選択できます。各学校の募集要領で確認しておきましょう。

公立中学校と私立中学校の学習費の違い

(*)学級・児童会・生徒会費・教科書費・学用品・実験実習材料費・通学用品費など
(**)家庭教師費・学習塾費・家庭内学習費・地域活動費・習い事の月謝など

  • ※文部科学省/2014(平成26)年度「子供の学習費調査」
  • http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001065339&cycode=0

私立の中高一貫校の場合、高校へ進学する時は、中学校入学時に支払った入学金とは別に、もう一度入学金が必要な学校があります。これも計画に入れておきましょう。

■今後の進路選択により教育費は異なる

中学校入学の後、その先の高校・大学を経て、社会に出るまでは案外あっという間です。その社会は今、大きな変革期の真っ只中にあります。大学入試も、これまでの「知識・技能」中心の入試に加えて、「思考力・判断力・表現力」までを問う入試へ変わろうとしています。ベネッセ教育情報サイト内でもたびたび記載があるように、これからは正解のない問題に対して、主体的に課題を発見して解決策を見つけ、多様な価値観を持つ人たちと協働することが求められています。キーワードは、「主体的・多様性・協働性」。大学入試改革は2020(平成32)年度からのようですが、既に始まっていると考えてよいと思います。

しかし、いかに世の中が変わろうと、変わらないのが子どもの好きな道に進めるようにしてあげたい親心。高校・専門学校・大学・大学院・資格取得・海外留学etc……と、いろいろな進路選択があります。それによりお金の援助額も異なってきます。

中学生くらいから第2反抗期となり、接し方も難しい時期になります。お子さんの主体性を尊重しながら、「いつまで、どこまでお金を出してあげられるか」など、親子でお金のことを話し合えるよい関係を築いていただきたいと思います。

プロフィール


山本節子

専業主婦の時代、15回の不動産売買の経験をキッカケに、FPや日本証券アナリスト検定会員補の資格を取得。現在は買い手の立場に立った相談業務、セミナー講師、雑誌や書籍の執筆などを行う。(株)リスタート代表。

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