「アクティブ・ラーニング」時代の教員養成とは‐渡辺敦司‐

中央教育審議会では現在、学習指導要領を改訂する検討が進められています(小学校は2020<平成32>年度から、中学校は21<同33>年度から、高校は22<同34>年度入学生からの見通し)。そこでは、教科を超えて、21世紀にふさわしい知・徳・体である「資質・能力」(コンピテンシー)をどう育てるかが、大きな課題になっています。そんな新しい時代の教育には、先生にも、新しい時代に対応する資質・能力を身に付けてもらわなければなりません。中教審が昨年末に行った教員に関する答申(外部のPDFにリンク)では、改訂の目玉である「アクティブ・ラーニング」(課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び、AL)に向けた養成や研修に力を入れようとしているのが特色です。

ALは、話し合い・調査・フィールドワーク・発表といった、さまざまな活動を取り入れることによって、単に知識を丸暗記するのではなく、「活用」するための思考力・判断力・表現力や、自分とは異なる考えや立場の人とも協力して物事を成し遂げる力など、幅広い資質・能力を育てようというものです。次期指導要領では、どの教科・領域等(特別活動なども含む)でも資質・能力を育てる観点から、ALを取り入れることになります。共通する資質・能力は、学校教育全体で総合的に育てることにしていますから、先生にも、教科の内容だけ教えていればよいのではなく、他の教科でどういうALをし、子どもたちにどういう資質・能力が育っているのかという点に目配りしながら、自分の教科の授業を組み立てていく力(カリキュラム・マネジメントの視点)が必要になってきます。

そこで、大学の教職課程では、ALの視点に立った指導・学習方法や、カリキュラム・マネジメントを含めた教育課程編成の方法も学ぶことにします。AL時代には、ただ教科書を子どもに教えるというだけでは済まず、先生が自分で工夫し、子ども一人ひとりの様子もじっくり観察しながら、授業の活動や展開を考えていかなければなりません。そんな工夫を重ねていける先生を育てていこうというわけです。
これからの教員養成では、あまり細かいことを教え込まず、教職志望者に「学び続ける」覚悟を求める方向性であることも、既に紹介しました。ALに関しても、教職課程で卒業後すぐ完璧な授業ができる力を付けさせることは、どだい無理な話です。そのため、学校で先生が集まって授業研究会をしたり、教職大学院なども含めて学校の外で学ぶ機会を増やしたりするよう求めています。今後は、一人ひとりの先生に学んでもらう時間や、学校全体で研究会を行う余裕を生み出す政策が、ますます必要になるでしょう。

人は一生学ぶものであり、学校教育には、そのための力を子どもに身に付けさせることが求められます。そうでなければ、これも既に当コーナーで紹介したとおり、今はまったく存在しない仕事に就くこともできません。そんな子どもたちを育てるには、先生にも、長い教職生活の全般にわたって、学び続けてもらうことが不可欠なのです。

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

おすすめトピックス

子育て・教育Q&A