幼児期から「イメージ」する力を伸ばすと、想像力や社会性が豊かになる!

砂場で砂をプリンに見立てて遊んだり、友だちとごっこ遊びをしたりするとき、子どもは頭の中で「イメージ」をふくらませています。幼いころから、こうしたイメージをもつ力を育てることで、想像性や創造性、社会性などが伸びやすくなるといいます。発達心理学を専門とする法政大学文学部心理学科の渡辺弥生教授にお話をうかがいました。

1歳半でイメージをもてるのは本当にすごいこと!

子どもが初めて何かができるようになったときには、親としてこのうえない喜びを感じるものです。「立った」「歩いた」「話した」などが特に成長の節目として喜ばれますが、さらにここに「イメージ(表象)を獲得した」を入れていただきたいと、発達心理学者として思っています。

イメージ、表象といっても、ちょっとわかりにくいかもしれませんね。子どもは1歳半くらいになると、砂をプリンに、積み木を自動車に見立てて遊ぶなど、自分のイメージをもつようになります。こうしたイメージを心理学的には表象といいます。

意外と見過ごされがちですが、まだ1年半しか生きていない子どもがイメージをもつことができるのは本当にすごいと思いませんか。イメージの獲得は、子どもの知的・精神的な成長において、きわめて大きな一歩と言えます。ですから、初めて何かに見立てて遊んだときは、「イメージをもった!」と大喜びしていただきたい気持ちです。

社会で仕事をするうえでもイメージする力が求められる

イメージがなぜ重要かというと、想像性や創造性、社会性などのベースになるからです。1歳半頃からイメージをもてるようになり、4歳以降になると友だちとイメージを共有して「ごっこ遊び」を楽しむようになります。こうした遊びを通し、イメージをもつ力はより豊かになり、友だちと協同することで社会性も高まります。

その後も大人になるまで、イメージする力は非常に大切です。例えば、会話は言葉を通してイメージを共有する行為ですし、本を読んだり音楽や映画を鑑賞したりするのはイメージを楽しむことに他なりません。さらに仕事においても、「これとこれを結び付けたら、こうなるかもしれない」などとイメージをふくらませながら新しいものをつくり上げる力が求められます。社内外の人とのコミュニケーションを豊かにするうえでも、イメージする力は支えとなるでしょう。

何気ない遊びがイメージをする力を伸ばす!

ところが、最近の小・中学生を見ていると、「友だちと遊ぶ力がないな」と感じることが少なくありません。これは自分がイメージをもったり、相手とイメージを共有したりする力が弱くなっているのが原因かもしれません。

ですから幼児期から、イメージをもつ力を伸ばすことをぜひ意識していただきたいと思います。例えば、子どもが「これ、○○に見えるね」と言ったら、「そうだね。ママは△△にも見えるな」と自分なりのイメージを伝えましょう。すると、「本当だ。○○にも△△にも見える!」と、子どもなりにイメージを広げていくでしょう。また、家の中でごっこ遊びをしていたら、一緒に楽しむのもよいでしょう。じっくりと絵本を読んであげてイメージをふくらませるのもよい方法です。

イメージをもつ力を伸ばすポイントは、保護者自身が子どものイメージの世界に入り込んであげることです。子どもと上手に関われる人は、一緒にイメージ遊びを楽しめる人だと思います。一見、何気ない子どもの遊びがクリエイティビティーやコミュニケーションの力につながると考え、ぜひ一緒に楽しみながらイメージをもつ力を伸ばしてください。そんなひとときは、保護者にとっても楽しい時間になるに違いありません。

プロフィール


渡辺弥生

法政大学文学部心理学科教授。教育学博士。発達心理学、発達臨床心理学、学校心理学が専門で、子どもの社会性や感情の発達などについて研究し、対人関係のトラブルなどを予防する実践を学校で実施。著書に『子どもの「10歳の壁」とは何か?—乗り越えるための発達心理学』(光文社)、『感情の正体—発達心理学で気持ちをマネジメントする』(筑摩書房)、『まんがでわかる発達心理学』(講談社)、『子どもに大切なことが伝わる親の言い方』(フォレスト出版)など多数。

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