高校で国際リーダー養成、「SGH」全国50校指定へ‐渡辺敦司‐

文部科学省は、国際社会で活躍できる人材を高校時代から育成するため、新年度から全国50校程度を「スーパーグローバルハイスクール」(SGH)(外部のPDFにリンク)に指定することを決め、現在、審査を行っています。英語はもとより、国際的な課題を追究する学習などをとおして、コミュニケーション能力や問題解決力など、国際的に活躍できる素養を身に付けさせることを目指しています。

SGHの構想については以前にも紹介しましたが、政府の教育再生実行会議が2013(平成25)年5月の第3次提言(外部のPDFにリンク)で提唱したあと、同6月に閣議決定された「日本再興戦略(外部のPDFにリンク)」にも盛り込まれました。概算要求では100校の指定を目指していたのですが、予算折衝の結果、半分の50校に絞られています。
対象となるのは、国公私立の高校と中高一貫教育校(中等教育学校、併設型・連携型の中・高校)で、指定期間は5年間。国際化を進める大学とも連携して、グループワークやディスカッション、論文作成、プレゼンテーション、プロジェクト型学習、海外でのフィールドワークや成果発表などに取り組むことをとおして、現代社会に対する関心と深い教養、論理的思考力、批判的思考力、コミュニケーション能力、問題解決力、行動力等を育成することを目指しています。帰国・外国人生徒を積極的に受け入れることはもとより、大学から派遣された「帰国・外国人教員(外部のPDFにリンク)」が英語で授業を行います。
注意したいのは、単なる英語力の向上を目指すものではないということです。英語ができることは当然ですが、それはあくまでコミュニケーションの手段としてであって、その先に求められる国際的素養を高校生のうちから培い、将来、グローバルな社会やビジネスで活躍できる人材を育てようとしています。
指定された高校には1校当たり年間1,600万円までの支援額が配分される一方で、指定4年目以降には

(1)国際化に重点を置く大学へ進学する生徒の割合
(2)海外大学へ進学する生徒の人数
(3)課題研究が大学選択に影響を与えた生徒の割合
(4)大学在学中に留学・海外研修に行く卒業生の数

を「成果目標」として検証されます。裏を返せば、進学した生徒にはそうしたことが期待されているということでもあります。

また、学校によっては、国際バカロレア(IB)認定校や、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)と兼ねる場合もありますから、そうしたSGH指定校に進学するにはさらに高い能力が求められそうです。

SGHによる人材育成はある意味でエリート教育とも言うべきものですが、SGH指定校にはグローバル・リーダーを育てるカリキュラムをつくる「研究開発学校」という位置付けもあります。グローバル化は国内にいても無縁ではありませんから、SGHの成果がSGH内にとどまらず、ほかの高校にもよい影響を与えることが期待されるでしょう。


プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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