反抗期の子の言葉遣いにイライラ[教えて!親野先生]

【質問】
長女がスマホとテレビと芸能人に夢中で、やるべきことをやらずにダラダラしています。「ちょっとは勉強したら?」と言ったら、「はっ? うざい。今ので、やる気なくなった」と言われ、「自分の部屋くらい掃除したら?」と言った時は「うっせえ! ほっとけ」と言われました。反抗的な言葉遣いにイライラします。

相談者・ゴマクリーム さん (中学2年生 女子)

【親野先生のアドバイス】
ゴマクリームさん、拝読しました。

こういう時はつらいですね。ひどい言葉遣いにイライラしたり、「育て方が間違っていたのか?」と感じて空しい気持ちになったりすると思います。
でも、これが反抗期というものなのですね。順調な成長の証であると考えて、冷静に受け止めてほしいと思います。保護者のほうに冷静な部分がまったくないと、感情に飲み込まれてしまい、必要以上に険悪な対立を招くことになります。

よくあるのが「偉そうなことばっかり言っているけど、お前は小さい時から口ばっかりのひきょう者だよ」とか「もともとずるい性格なんだよ」などと、人格を否定するような言葉をぶつけてしまうことです。
それによって子どもが深く傷つくと、反抗期が終わってからももとの関係に戻れないということになりかねません。

この時期の子どもたちは、さまざまな悩みやストレスを抱えています。
身体的な変化が激しく、それだけでも不安なのです。
精神的にも自我の確立という大きなテーマに臨んでいるわけで、自らを見つめ直すために、「自分とは何者なのだろう? 自分はどう生きていけばいいのか?」などと考えていたりします。同時に、今まで当たり前と思ってきた社会の常識や、大人たちの価値観に対する批判的な目も育ってきます。
また、友達関係の中でどう振る舞うべきかと気を使ったり、難しくなる一方の勉強への焦りを感じたりもしています。
そういったことを口に出して言わなくても、内面では疾風怒濤(どとう)の時期です。せめて家の中ではリラックスしていたいのであり、当然ダラダラすることになります。ちょっとした言葉に過敏に反応したり、衝動的に行動したりしてしまうのも無理からぬことなのです。

それに対して、保護者が細かいことでいちいち小言を言ってもどうなるものでもありません。それで改善するというものでもなく、お互いのイライラが募るばかりで逆効果になるだけです。ですから、たいていのことは目をつむって受け流したほうが賢明です。
そういうところをつつくよりも、ちゃんとやっている時に「ありがとう」「助かるよ」「がんばっているね」と肯定的な言葉を贈ってあげてください。

同時に、子どもの言葉や行動に対して共感してあげるよう心がけてください。
たとえば、子どもが「部活、ホントに疲れる」「あー、塾なんて行きたくない」「宿題多すぎてやる気が出ない」などと言った時、「何を言っているの。ちゃんとやらなきゃダメでしょ」と正論を押しつけてしまいがちです。
そうではなく、「大変だね。あなたも忙しいね」と共感してあげてください。愚痴を聞いてもらえるだけで、ささくれ立っていた気持ちも安らぎます。
また、子どもは「自分の大変さをわかってもらえた」と感じて、保護者に対する信頼が高まります。
共感的に聞いてくれる保護者なら、子どもは何かあった時も素直に言えるようになります。

この反対に、保護者が子どもの話を聞かずに正論ばかり押しつけていると、子どもは保護者に何も言わなくなります。
そして、共感してくれる相手を求めるようになります。
すると、夜の街やネットの出会い系サイトでそういう相手を探すことになります。

さて、たいていのことは目をつむって受け流そうと言いましたが、何ひとつ声かけをしないで無視するということではありません。
「おはよう」「朝ご飯できているよ」「行ってらっしゃい。気を付けてね」「お帰り」などのちょっとしたあいさつや声かけは大切です。
これによって、子どもは保護者が自分のことをちゃんと心に留めていてくれると感じることができます。反応がなくても、うるさそうにしていても、内心はうれしいのです。
こういう言葉かけがまったくないと、子どもは見捨てられたように感じてしまいます。
とがめるニュアンスが入っていたり、押しつけがましかったりすると子どもは嫌がりますが、それがない声かけなら大丈夫です。

さて、もう一つ大事なのは、子どもが人間として許されないこと、人の心や体を傷つけること、危険なこと、反社会的なことなどをした時、あるいはしそうな時にどうするかです。
もちろん、この場合は受け流してはいけません。
こういうことについては、はっきり「ノー」と言わなければなりません。
「ダメなものはダメ」と言うべきであり、ここはいい加減にしてはいけないところです。
これは、保護者として、人間として、絶対に譲れない一線ですから、子どものためにも勇気と決意を持って臨みましょう。

実は、子どもも何がダメかということはうすうすわかっています。それなのに、保護者や先生がはっきりダメと言ってくれないと、子どもはその人に不信感を持つようになります。
「この人はずるい。逃げている。真正面から向き合ってくれていない。自分のことを本当には心配してくれていないのだ」
というように感じてしまうのです。
学校でも、そういう先生に対しては子どものほうが相手にしなくなります。

それに、子どもはうすうすわかっているだけで、はっきり絶対にダメとわかっているわけではありません。ですから、「これは絶対にダメなんだ」とはっきり言ってあげる必要があります。
それでないと、正しい倫理観が育たないまま大人になってしまう可能性があります。
たいていのことは受け流していいですし、そのほうがうまくいきます。でも、人間として許されないことにおいては、話は別です。そこの見極めをしっかりすることが大切です。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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