【吉村作治さん】学校を子どもたちのテーマパークにしたい

いつか失敗を自慢できる子どもになってもらえるように

たとえ子どもが何かに失敗したとしても、すぐに諦めさせたり、その子どもの評価を下げたりするようなことはしたくないですね。まず私たちがしてあげるべきなのは、何に失敗したのかを明確にすることです。たとえば、失敗したのが受験だとしても、それは長い人生のなかでは単なるプロセスに過ぎません。人生そのものを失敗したわけでも、その子の夢が完全に閉ざされたわけでもないんです。むしろ、失敗を体験できたことはすばらしいことです。

僕はいつも学生たちに、「失敗を自慢できる人間になるように努力しなさい」と言っています。成功しないと失敗を自慢できないですから。何回か失敗したって、最終的に成功すればいいんです。その体験を自慢しながら語れるときがやってくれば、その失敗はとても重要な経験になります。

先生は子どもたちを楽しませるガイド役

先日、ある中学校を訪問したのですが、僕が教えたことと言ったら石器の作り方と使い方。石1個の話で45分間があっというまに過ぎました。僕が子どもたちの目の前で石を切ってみせると、嬉々として見入っていましたよ。実は大学でも、僕は「ぬりえ」をやっています。やっぱり授業は楽しくなくっちゃだめなんですよ。

今、先生になっている方々は、もちろん能力があるんでしょうけど、先生を仕事としか思っていない人が多すぎるんじゃないかと思います。子どもたちに「教えよう」なんてとんでもない。自分は子どもたちのテーマパークにいるんだと思って、どんどん子どもたちを楽しませてほしいですね。

メッセージ from Yoshimura

自分の子どもを周りの子と絶対に比較しないであげてほしい……。

子どもにとって、もっとも身近な存在で、いつだって味方で、どんなことをしたってかばってくれるのは、親しかいません。それなのに、学校の成績を唯一の価値判断にして、子どもに無理やり知識を詰め込もうとすると、子どもは親を警戒するようになります。逆に、少し放っておくぐらいの気持ちでいると、子どもは親に関心が向いて、親を喜ばせるために、勉強とかお手伝いとか、いいことをしようとがんばるものじゃないでしょうか。

子育て・教育Q&A