フリースクールの多様さ浮き彫り 学校出席扱いに差

不登校の子どもたちを受け入れているフリースクールについて、文部科学省が制度的位置付けを検討しているほか、超党派の国会議員連盟もフリースクールを教育機関として「公認」するための法律案を準備していることは、当コーナーでお伝えしました。制度的公認のネックになっているのが、フリースクールの多様さです。文科省が初めて実施した実態調査からも、その多様性が浮き彫りになりました。

調査は2015(平成27)年3月、各地の教育委員会に照会して把握した義務教育段階の子どもが通っている、民間教育施設474か所を対象に実施しました(回答319施設)。通っている子どもの人数は、回答のあった317施設で計4,196人(小学生1,833人、中学生2,363人)となっています。未回答の施設、調査対象から漏れた施設などを考えれば、全国ではさらに多くの子どもたちが、フリースクールにいると見られます。フリースクールに通う不登校の子どもたちに対しては現在、在籍する小中学校の校長が認めれば「出席扱い」にすることができるようになっています。4,196人のうち「出席扱い」を受けているのは、小学生が969人(52.9%)、中学生が1,372人(58.1%)の合計2,341人(55.8%)でした。

フリースクールの最大の特徴は、その多様さです。たとえば、施設の形態は「特定非営利活動法人(NPO法人)」が45.8%で最も多いのですが、ほかにも、法人格のない任意団体、株式会社、個人など、さまざまな形態があります。1施設当たりの子どもの数は平均13.2人ですが、「1~5人」という施設が全体の4割を占める一方、100人以上も子どもがいる施設もあるなど、規模もさまざまです。学習活動の内容(複数回答)は、「相談・カウンセリング」と「個別の学習」がそれぞれ9割、「社会体験」が7割、「授業形式による学習」が4割などで、カウンセリングや体験活動などを交えながら、子ども一人ひとりが自分に合った学習をしているところが多いようです。

スタッフは合計2,864人(1施設当たり平均9.1人)ですが、そのうち3割は「無給」で、ボランティアなどによって運営されているようです。スタッフ全体のうち教員免許を持っている者の割合は4割でした。フリースクールの1か月当たりの会費(授業料)は、「1万超~3万円」「3万超~5万円」が各4割などで、平均約3万3,000円。加えて、平均約5万3,000円の入会金を徴収しています。経済的に運営が厳しい施設が多く、関係者からは公的な財政支援を求める声が上がっています。

多様さはフリースクールの魅力の一つである半面、教育機関として「公認」するのに必要となる基準が策定できない、という悩みともなっているようです。文科省がフリースクールを教育機関として公的にどう位置付けるのか、その検討の行方が注目されます。フリースクールを選ぶ際には、その多様さを十分に理解したうえで、それぞれの子どもに合った施設を選ぶことが大切であると言えるでしょう。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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