小学校1年生なのに、いまだに片付け物の管理ができません[教えて!親野先生]

今週の相談

 

小学校1年生の男の子の母です。いまだに片付けや物の管理ができません。私が注意すれば、「自分も片付いていないじゃないか」というかなりきつい返事が返ってきます。今のうちに直したいと思っています。片付けやすいように私なりに工夫をしているつもりです。(たつまま)

 

【親野先生のアドバイス】

たつままさん、拝読いたしました。

片付けができない、物の管理ができない、整理整頓ができない、だらしがない……。こういったことは、実にたくさんの親たちの悩みの種です。私も何回もこのような相談を受けてきました。

実際、私が受け持ってきた子の中にもこのような子はたくさんいました。私の実感ですと、子どもの約1割はこれに当てはまると思います。ですから、クラスに3,4人はいるということになります。

放課後、教室の整備をしていると、彼らの机の下や周りにいろいろな物が落ちているのを発見します。それを拾って机の中に入れてやろうとすると、とんでもないことになることがあります。入れてやろうとしても、すでに机の中は満タンで、それ以上何も入りません。そこで、これではいけないと、机の中に入っていた物を一度出して全部入れ直そうとします。ところが、この後はたいてい後悔することになります。というのも、彼らの机の中に詰め込まれていた物を一度出すと、二度と入らなくなることがあるからです。どうしてこんなに大量の物を入れることができるのかと、不思議に思えるほどです。

ところで、私の経験ですと、このように片付けや整理整頓ができない子をできるようにするということは至難の業です。

私もあの手この手でやってきました。多くの親や教師がいろいろと試みてきました。でも、はかばかしい成果があがったという話は、今までただの一度も聞いたことがありません。

私はこれは、かなり難しいことだと思います。ですから、どうしても直してやろうと思いすぎない方がいいと思います。どうしても直してやろうと思いすぎると、四六時中ガミガミ言うことになります。子どもの方も、だんだん返す言葉がきつくなっていきます。

そして、親が子どもを見るときに、このことばかりが目に付くようになります。そうすると、その子のもっているほかのいい面がまったく見えなくなっていきます。その子は、片付けや整理整頓が苦手でも、心が優しい子かもしれません。または、絵を描いたり物を作ったりするのが上手な子かもしれません。でも、そういう面がまったく目に留まらなくなってしまうのです。

こうなると、子どもは自分に自信をもてなくなります。親の愛情を疑うようにもなります。それによって、子どもは心に精神的な傷を負うことになります。いわゆるトラウマというものです。

そして、だんだん親子の人間関係にも深刻な影響が出てきます。ひいては、このことによって、親子の断絶ということにもなりかねません。元はただ片付けや整理整頓が苦手というだけのことから、ここまでいってしまうこともあるのです。実際にそういう親子はたくさんいるのです。

ですから、どうしても直してやろうと思いすぎないようにしてください。でも、それはまったく何もしないということではないのです。親として、いろいろと工夫をしてやってください。少しでも片付けや整理整頓がうまくなるように、具体的な工夫をしてやってください。

「片付けやすいように私なりに工夫をしているつもりです」これは、とてもいいことですね。片付けタイムを作って一緒に片付けるとか、その子が片付けやすいように、何種類かの箱を用意するとか、ストップウオッチやタイマーで遊び心をくすぐりながら片付けさせるとか、片付けをがんばったときに記念写真を撮ってやるとか……。

その子に合わせた、具体的な工夫をしてください。今より、ほんの少しだけ向上することを目指した工夫をしてください。1センチではなくて、1ミリの向上を目指してください。

でも、そのとき、あまり成果を望まずにやってください。成果を望まず、淡々と親としてやるべきことをやってください。そして、それを楽しんでください。その子のその現実を直そうとしすぎるのではなく、その子のその現実と付き合うつもりでやってください。

なんの成果もないからといって、決して感情的に叱りつけたりしないようにしてください。それは百害あって一利なしです。その感情的な爆発は、必ずあなた自身に跳ね返ってきます。あなたが子どもにきつい言葉をぶつければ、それはいつかあなたに返ってくるのです。

親としてはイライラするかもしれませんが、その子の身になってみてください。その子自身、自分をなかなか変えられないのです。大人でも、なかなか自分を変えられないのではないでしょうか。私も、なかなか自分を変えられません。

大人はこう思っています。大人になる前に、子どものときならいろいろなことが直せると。でも、それは迷信です。この迷信のために、今までどれだけの子どもたちが傷つけられてきたかしれません。この迷信のために、どれだけ多くの人たちがトラウマを負わされたかしれません。ですから、あまり成果を望みすぎないで、楽しみながら淡々と進めてください。と同時に、その子のいい芽を伸ばすようにしてください。その子の好きなことやよくやっていることに、その子のいい芽が芽生えているはずです。

それを大いにほめて伸ばしてやってください。そうすると、その子は自信を持って生活できるようになります。親もその子のいい面をたくさん見られるようになります。いい面が前面に出てくるようになると、苦手な面があまり目に付かなくなってきます。

特に苦手な面で向上していなくても、それが目に付かなくなってくるのです。
これはとても大事なことです。というのも、親の精神衛生状態がよくなるからです。こうなってくれば、親も明るく楽しく子育てできるようになります。ぜひ、この方向でやってみてください。

今すぐに、進む方向を変えてください。方向が違っていると、進めば進むほどまずくなるということになります。

私ができる範囲で、せいいっぱい提案させていただきました。少しでもご参考になれば幸いです。たつままさん親子に幸多かれとお祈り申し上げます。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

おすすめトピックス

子育て・教育Q&A