入試から高校入学まで 第4回 こんな心配をしていませんか?[高校合格言コラム]
こんな心配をしていませんか?
前回は「学力のイメージ」についてお話ししました。今回は、保護者のかたの在り方についてお伝えします。
入学先が決まると、保護者のかたはまた新たな心配を始めます。保護者という存在は、我が子のことになると、常に心配し続けているようです。
●ついていけるかしら……
志望校合格を喜んだのもつかの間、入学が迫ってくると、今度は入学予定の学校が我が子にはレベルが高すぎたのではないかと心配するかたがいます。入学後に授業についていかれず落ちこぼれるのではないか、成績順位が真ん中以下になってしまうのではないか……と心配するのです。
が、入試というものは、学校が自校の生徒としてその受験生を受け入れられるかどうかを見るものです。受かるということは、当然そのラインに達していると学校側が判断したということ。受験とは、「まぐれで落ちる」ことはあっても、「まぐれで受かることはない」ものです。ですから、合格したということは、その学校の生徒としてやっていける実力はあるということです。心配をする必要はまったくありません。
ただし、どんな学校でも落ちこぼれる生徒は必ず出ます。それは、入学してから勉強への意欲がわかないケース、ゲームやスマホなどにはまって勉強がおろそかになるケース、家庭内のゴタゴタなどで精神が不安定になって勉強が手に付かなくなってしまうケース……など、いろいろです。
●着実に努力し続けられる子どもなら心配ない
毎日の予復習をコツコツとやり続けることができるタイプの子どもならば、落ちこぼれる心配はまずありません。
また公立中学校での成績はさまざまなレベルの子どもたちの中での順位です。それに対して、高校入学後は同じようなレベルの生徒たちがそろった中での競争ですから、黙っていても上位にいられるというようなことはなくなります。そういうことをわかったうえで、「まぐれ合格はないのだ」と自信を持って高校に送り出しましょう。
●成績は下がって当たり前
私のところには今の時期、「○○高校に受かったのですが、入ったらどこの塾に通わせればいいでしょう?」という電話がかかってきます。常にどこか勉強する環境に入れておかないと不安、そんな保護者のかたが増えています。
高校受験の塾生活を経て、またすぐに塾通い。こんな調子では3年間持ちません。何でもそうですが、たるみの時期があってこそ集中できるのです。
レベルの高い高校の場合には、ほとんどの子が中学校では成績上位の子であったと思います。そうした子が入学試験を経て、選抜されて入学してくるわけです。中学校時代の学力中位層はごくわずか。ですから高校に入って中間試験・期末試験で下半分になることがごく普通にあります。できる子であればあるほど小中学校時代にはなかったことで、保護者のかたにとっては初めての経験で、大ショックを受けます。
●子どもが自分の意志で行動するまで待つ
また、受験に向けてひたすらがんばってきていたり、保護者や塾の言うとおりに過ごしてきていたりすると、そうした生活から解放されたとたん、自分では何をどうしたらいいかわからなくなる子もいます。おまけに思春期に入って、自分の内面に目が向いたりすることで、勉強をはじめいろいろなことに懐疑的になる子もいます。
高1の1学期の成績が悪いと、保護者のかたはすぐさま「このままでは大学に入れない!」「落ちこぼれる!」とパニックになります。学校の勉強のフォローのための個別指導塾を探してきて、入れたりします。
ですが、高校に入っても保護者のかたがレールを敷いたりすれば、お子さんの依存心、受け身の姿勢はさらに強まり、ますます親任せになります。自分では何も決められなくなります。成績以上に、このことがお子さんの人生に大きなマイナスになります。
心配せず、焦らず、お子さん自身が自分の意志で行動できるよう待ってあげてください。