自由な校風の学校、面倒見のよい学校、どちらを選ぶ?【中学受験】
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志望校選びの際に、生徒の自主性を尊重する自由な校風の学校がよいか、決まり事は多いけれど面倒見のよい学校を選ぶか、迷われるかたもいらっしゃるかと思います。それぞれの特徴と学校選びの注意点について、森上教育研究所がお伝えします。
校風を見極めるには生活面での学校の関わり方を確認
学校生活における決まり事の多さが校風を反映
まず、気になる学校の校風が自由なタイプなのか、面倒見のよいタイプなのかを見極めるうえでは、学校内での生活面への学校の関わり方に最もその学校の特徴が表れます。
たとえば、教科書などの勉強道具を学校に置いたまま帰っても何も言われない学校がある一方で、巣鴨(東京都)のように全部持って帰るように指導する学校があります。
教材を持ち帰るというのは言うなれば当たり前のことですが、こうしたルールをわざわざ定めている学校は総じて面倒見のよい学校といえるでしょう。
一方で自由な校風の学校の代表ともいえる麻布(東京都)の場合は、勉強道具の持ち帰りのルールどころか、校則もありません。授業中に外出しても何も言われません。秩序を学校側が提供するのではなく、生徒が自分たちで秩序をつくっていくというスタイルです。
生徒会活動や行事の運営の仕方にも大きな違い
生徒会活動や行事も校風が反映される部分です。
自由な校風の学校では多くの場合、生徒会活動や行事が生徒自身の自由な発議で活発に運用されています。たとえば「渋幕的自由」で有名な渋谷教育学園幕張(千葉県)では、文化祭などの行事を生徒会が自主運営で行い、校外活動を生徒自身が企画しています。
一方で横浜共立学園(神奈川県)のように生徒会においても生徒からは発議や話し合いを行わない、学校にポスターを貼ることもいけないといった厳しいルールを課す学校もあります。
こうした学校は生徒の自由度は少ない半面、確固とした思想を持ち、筋の通った考え方を持つ学校ともいえます。
宗派の違いや伝統校か否かによる校風の違いも
私立中学に多いキリスト教系の学校は宗派によっても、ある程度校風が分かれます。
プロテスタント系の学校では、女子学院を筆頭に決まり事が少なく自由な校風の学校が多く、カトリック系ではどちらかといえば決まり事が多く面倒見がよい学校が多い傾向にあります。
また、女子校では伝統校に面倒見がよい学校が多い傾向です。
たとえば伝統校の豊島岡女子学園(東京都)は勉強の量が多く生徒の学校生活での自由度はやや少なくなります。一方男子校では伝統校に自由な校風の学校も多く、麻布や開成、武蔵(すべて東京都)といった伝統校が比較的決まり事が少なく自由な校風です。
今後は全体に勉強の自由度は上がり、生徒の自主性が求められる傾向に
新たな学力観に基づいて自主的な学習を
ここまで述べたように現状では自由な校風の学校と面倒見のよい学校とがありますが、注意したいのは、全体として学びの自由度は上がる傾向にあり、これまで面倒見がよかった学校についても以前ほど生徒を構ってくれなくなってきている点です。
たとえば、最近増えている「IB(国際バカロレア)認定校」などでは、従来の一斉授業を行わず生徒は自らに必要な勉強を選び取って自由に進める度合が高くなっています。
IB認定校以外でも新たな学力観とICT機器の導入などの影響もあり、学校という場にとらわれず自分で勉強できる環境がどんどん整ってきています。この状況が進めば、面倒見がよい学校に任せておけば安心、ということはなくなり、どんな校風の学校に進学した場合でも自分自身を律して自らの目標に向かって自主的な学びに向かう姿勢が生徒には求められます。
もちろん、そこまで上位の大学への進学をめざすわけではなくMARCHクラス以下の大学の一般入試に受かればいいという考え方であれば、面倒見のよい中堅のマンモス進学校で学校の用意する補習などで受け身の学習を行っていても十分です。
ただ、MARCHクラスよりも上位の大学をめざすのであれば、新たな学力観に沿って自主的な学びに取り組む必要があることは認識しておきましょう。
まとめ & 実践 TIPS
自由な校風の学校か、面倒見のよい学校かは、学校生活における決まり事の多さ、生徒会活動や行事の運営の仕方に表れます。
また、キリスト教系の学校では宗派によってある程度校風が分かれ、プロテスタント系の学校では自由な校風、カトリック系では面倒見がよい学校が多い傾向にあります。
女子校では伝統校に面倒見がよい学校が多い傾向にあります。
ただし、全体として学びの自由度は上がる傾向にあり、学校は以前ほど生徒を構ってくれなくなってきています。どんな校風の学校でも自分自身を律して自らの目標に向かって自主的な学びに向かう姿勢が求められることに注意が必要です。
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